第14話 仲直り

 絶対に田中さん、怒ってるよなあ……


 ひょっとしたら揣摩さんとクラス委員をやる事に対してかもしれないけど、それはオレの思い上がりかもしれない……

 自分が悪いなら謝りたいし田中さんとの関係を修復したい。

 とにかく田中さんにメッセをしようとスマホを立ち上げたけれど指は固まったままだ。


 何て打てばいいか分からない……


 いっそラブレターでも書いてみようか??

 でもドン引きされるに決まってる……

 で、こう言うと

『“決まってる”なんて決まってない!! 思い上がらないで!!』って言われちゃうんだよなあ~

 どうする?オレ?


『?!』


 その刹那、オレの頭の中で妙案が閃いた!


 これが吉と出るか凶と出るか??



 ◇◇◇◇◇◇


 思いっきり不審者だが……


『こっち見て!』と『好き♡』と書かれた“推し活うちわ”を両手に持ち、『千景しか勝たん』と手書きした鉢巻を締めた。

 オレの計画を話すと姉ちゃんは大ウケして『推し活ハッピの代わりに』とピンクジャージを借してくれた。もちろん背中にも『千景しか勝たん』と書いたゼッケンをくっ付けた。


 このでまだ明かりの漏れている漫研の部室の前に立った。

 もう廊下が暗くなる時間だったので通る人も居なかったが……例え誰に見られても怯むオレでは無い!!


 やがて部室のガラスの向こうに二人の人影が見え、中の明かりが消えた。


 そしてガラガラと引き戸が開いた。


「キャアアア!!!!」

 最初に響いたのは田中さんの相棒?の佐藤さんの声だ。

 そして次に……

「アンタッ!! 何やってんの??!!」と叫ぶ様な田中さんの声。


「何って……見ればわかるだろ?!デマチ」


「えええええ????」とさすがの田中さんも息を吞んだ。


「アンタ!!私をバカにする気??!! こんな事して!!ヘタすりゃセクハラ案件だよ!!!」


「とんでもない!! オレはめちゃくちゃ本気の真剣だよ!! うん!案件になるんならなってもいいよ! でも『推し活、デマチは市民権を得てる』って千景が言ってたよね!」


「プッ!アハハハハハ!!!」

 腹を抱えて大笑いを始めたのは佐藤さんだ。

「確かにこりゃ……『千景しか勝たん』わ! 後は“若いお二人”で好きにやってよ」と手を振る。


「ああ!待ってよ!!」と田中さんは佐藤さんを引き留めようと手を伸ばしたが……ため息をついてその手を下ろした。


「まったく!!ホント!アンタってどうかしてる!! 恥ずかしいったらありゃしない!!」


「大丈夫!! 恥ずかしさや煩わしさはすべてオレが請け負うから!! どうかオレと付き合って下さい!!」と深々と頭を下げる。


「まったく背中にまで『千景しか勝たん』って入れられたら……もう!付き合うしかないじゃん!」

 言いながら千景は吹き出して……

 二人で大笑いした。





                         第15話へ続く



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