第5話、一応転校したみたいだ
「そういえば、今日は来ていないですが、今日から転校することになった、目眩来 旋(めくるめく めぐる)ちゃんとみんな仲良くしてあげてくださいね」
担任の先生の紹介に、クラスがざわめいた。
「今日休みなのか…」
「どんな子なんだろう…」
細い体、透き通るような肌、淡い銀髪に大きな水色の瞳。
まるで……絵本の中の妖精みたいな、そんな少女が教室に立っていた。
「……え……うそやろ……」
苺堂那都は、思わず声を漏らす。
めぐるが、その視線を見つけて、にこぉ~っと嬉しそうに笑った。
「ご主人さまぁ……えへへ、隣に座っていい……?」
「ちょっ、こ、ここ、学校やけん!変なこと言うなて!」
でもその声は、教師にも聞こえなかった。
――そう、蘇生はしたけど、めぐるの存在は「特定の人間にしか認識されない」らしい。
その対象が今のところ、なつだけというだけの話で。
「お隣の席、空いてるし……ここ、いいかな?」
「は、はい……!」
なぜか席も“用意されていた”。名前も、生徒名簿にも登録済み。
きっと、めぐるの存在はこの世に“復元”されつつある。
だが――
「なつちゃ~ん……えへへ、ひざ……触ってもいい……?」
「や、やめ……授業中やろ!?ほんとばかっ!」
隣の席で、めぐるはこっそり那都のスカートの裾に指を伸ばし、ちょんちょんと触れてくる。
「授業つまんないの……でも、なつちゃんの体温……すごく落ち着くの……」
顔を赤くして震える那都とは対照的に、めぐるは満面の幸せそうな顔。
筆箱に顔をすり寄せて「なつちゃんの匂いするぅ……」とふにゃふにゃ。
「このまま、ふたりで保健室いこ……?ベッド……いっしょに寝よ?」
「っ……あんたほんと……どこでそんな誘惑覚えたと!?」
蘇生紅茶の副作用なのか、それともめぐるの本性なのか。
もはや学校でも、那都はふにゃふにゃ幽霊彼女(仮)に甘え倒され、困惑と愛しさでどうにかなりそうだった。
「うち……めぐるちゃんが、幽霊やったころより……今の方がヤバいと思う……」
でも心のどこかでは――
(もっと、甘えてほしいって……思っとるうちが、一番ヤバいんやろね)
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