第2話、お化けちゃんの秘密

夜の校舎はいつも静かで、誰もいないはずなのに、なつは毎晩ここに来ては幽霊ちゃんと話すのが日課になっていた。


「ご主人さまぁ…じゃなくて…なつちゃん、今日はなんで、はやく来たの?」

ふわふわの髪を揺らしながら、小さな体を震わせて甘える幽霊ちゃん。


「そげん、そげん言わんとよ。うち、早う会いたかったとよ」

博多弁を強めに響かせながら、なつは照れたように目をそらす。


幽霊ちゃんはそんななつの頬を、まるで小動物が安心するみたいに、そっと手で包んだ。


「ねぇ、ご主人さま……わたし、もっといっしょにいてもいいの?」


なつはドキドキしながらも、大きくうなずいた。


「もちろんやけん!でも、おばけやけん、さわったら消えてしまいそうで怖いんよ」


幽霊ちゃんはいたずらっぽく笑った。


「えへへ、ごめんね。わたし、わるいことしてないよ。ただ……さわってほしいなと」


「そ、そうやったと?そげん言われたら……」


なつは思わず手を伸ばそうとするが、すぐに止めてしまう。


幽霊ちゃんはその様子を見て、ふにゃっと声を漏らした。


「わたし、なつちゃんのこと、ほんとに好き……から、はなれたくない」


「うちもや。こんなにすきになるなんて、思っとらんやった」


夜の静けさに二人の声だけが溶けていく。


しかし、そんな甘い時間の中で、幽霊ちゃんの天然無防備な行動がぽつぽつと起こりはじめる。


ある日、なつが制服のリボンを結び直していると、幽霊ちゃんはぽつりと言った。


「ご主人さま……なんで、そんなに体のちかくにひもがあるの?」


「それはね……リボンっていうとよ、ちょっとおしゃれで大事なもんやけん」


幽霊ちゃんは真剣な顔でリボンに手を伸ばし、ふわりと触れてしまう。


「わたし、はじめてみた……きれい」


なつは慌てて手を引き、顔を真っ赤にした。


「そ、そうやけん……ちゃんと触らんでよ!こらえてよ!」


幽霊ちゃんは無邪気に首をかしげて、無防備に笑う。


「えへへ、ごめんね、ご主人さまぁ……」


なつはそんな幽霊ちゃんを見て、ますます守ってあげたくなるのだった。

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