序章20話 Nazarick第九階層“ロイヤルスィート”

 第九階層“ロイヤルスィート”は、ギルメンが好き勝手に、改装と増築を繰り返した結果、ギルメンの居室だけでなく、ショッピングセンターや映画館に「最古図書館Assurbanipal」を付帯させた、第十階層の“玉座”「最古図書館Assurbanipal」から、第九階層へ繋がっている。グランドマザーからの迷宮の出入り口は、一つは「最古図書館Assurbanipal」へ繋がる、撤退用の隠し通路となっている。


 ギルメンの居室は、ギルドメンバー最大100人ということで、百室用意してあったが、情報漏洩等の問題から、ギルメンを増やすことができず、使っていない部屋が多かった。ギルメンの居室の一つを、部屋が無かった、守護者統括アルベドの居室とした。タブラ・スマラグディナが、内部を改装し、ニグレドとルベドの居室も一緒に設置した。

「エクレアは、私の部屋ね」

 餡ちゃんは、そう言って、歩いていた、エクレアを抱き上げていた。

「ちきしょう、もっとモフモフなのになぁ、糞運営」

 相変わらずの接触部位と面積制限に、愚痴を零す餡ちゃん。


 Nazarick第九階層は、綺麗好きな餡ちゃんこと、餡ころもっちもちの意見で、整理・整頓・清掃・清潔・躾が、徹底される空間となった。

「ゴミは、すべて、持ち帰るコト」

餡ちゃんによって、可決されたルールは、破ると、餡ちゃんに許されるまで、正座のままで居なければならない。鳥頭な愚弟は、良くゴミを散らかして、餡ちゃんに正座させられていた。


 ブループラネットは、360度全天モニタが好きで、第六階層の空について、説明会をおこなっていた。最初の頃は参加者が多く、星座の話とか、サトルとか私は面白くて聞いていたけれど、徐々に参加者が減っていた。サトルとやまいこくらいだったな、最後まで参加してたの。


 ブループラネットは、綺麗だった頃の地球探しに、参加して帰ってこなかった。


 妖怪博士こと、死獣天朱雀の爺ぃ様は、人類にとっての世界が滅びるだけという話をして、新たな世界での生残策という話をしていた。遺伝子と身体情報を有した、多様性幹細胞粘体スライムは、一つの解答だって、獣王メコン川が言ってたな。


 第九階層の給排水を含めた処理システムだけでなく、食料生産システムを含めて、アーコロジーと同じシステムになっていて、環境循環システムに、様々な粘体スライムが使われている。

(ま、目には映らない、公然の秘密・・・)

 アーコロジーの住民は知っても、知らないこととして言葉にせず、アーコロジーの外側の住民は、知る手段がない、ネットを流れる情報には、徹底した制限がかかっている。

(遥か昔、サケの切り身が、海を泳いでいる・・・そんな子供が居たらしい・・・)


 サトルとの赤子ねぇ・・・二人の遺伝子と身体情報から、受精卵を創ることができるか・・・

「サトルの子供、抱きたくない?」

(私クミコ自身が、確かに望んでるよ、あけみ・・・)

 “YGGDRASIL”で、ピンク色の肉棒な粘体Pink Elder Oozeな私は、リアルでも粘体スライムと人間体「クミコ」になるのか・・・


 

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