5話

【友だちに身バレしました】


【オハナシするから連れてきなさい】


というわけでギャル山さんを引き連れて帰還。何気にギャル山さん自宅に招くのって初めてだな。

ちょっとした話題作りぐらいに思っていたらしいギャル山さんはわざわざ友人宅に連れ込まれ、V本人を前にしてビビっている。お姉は長身に派手な顔立ちでちょっとツリ目だからなー初見の人には怖く見られる事が多い。まぁ今は膝の上でゴロゴロされてる平蔵くんで大分緩和されてるけど。


「まぁ、こっちも迂闊だったからことさらに責めることはしないわ。安心して」


「あ、はい…あの、こういうのってそんなにヤバいんですか」


「とっっっってもヤバいわね」


VTuberにとって身バレ=死も同義らしい。そういった弱みを見せるとアンチやら対立煽りやらがこぞってあることないこと騒ぎたて、炎上させようと攻撃に走るんだそうな。なにそれ怖い。まぁネットなんて基本悪意に偏りやすいしな。正義の御旗でドブに落ちた弱者をブッ叩いてるなんてよく見る光景だし。


「配信だと声にちょっと加工入るんだけど、よくわかったわね」


「声もですが話し方が似てるなと思ったし、そういえばあーちゃんもあんなプレイしてたな、と」


「なるほど。少し対策を考える必要がありそうね」


なんで今後も配信に出るみたいな話で進んでるんだろうか。

というかギャル山さんとは息抜きにいっしょにゲームしたりする仲ではあるが、よく見てるなあ。


「普段から声とプレイスタイルが結びついていないと簡単にはわからないと思います」


「ふむ…まぁ一応運営に確認いれるわ。未成年の今後に響いたら困るし」


「あの、お姉様」


「ん?」


「なんで今後も配信出る前提なん?」


二人に信じられないものを見るような目で見られた。え、そんな変なこと言った?


「逆に聞くけどもう出ないの?」


「そうだよ、勿体ないよあーちゃん」


お姉はともかくギャル山さんまであっち側ってどういうことだ。


「勿体ないってなにさ」


「あーちゃんゲーム上手いんだから、もっと人に認められないと勿体ないって」


「組員さんからもまた来て欲しいって要望多いわよ?」


「えぇ…」


別に認められたいとかじゃないんだけどなあ…ゲームはあくまで息抜きだし。あと何度も言ってるけど私は別に神プレイヤーとかそんなんでもないし。

というか、リアル身内が配信にのるとかこれこそ炎上に繋がらんの?


「あんたが弟だったら少し変わったかもね」


「男と女でそんな違いが…?」


アイドルの彼氏バレがヤバいとかそんな感じだろうか。え、でも弟だよね?身内だよね?


「リスナーに真偽はわからないからね。普通に彼氏だと邪推する人も多いのよ」


ウチはそれほどそういうことは厳しくないけどね、とお姉は続けた。

そんなもんか。うーんバーチャルの存在でもそういう処女性?みたいなものを求められるのか。大変だなあ。


「うちも勿論秘密守るからさ、やろうよあーちゃん」


「というか、出て。いい波が来てるからチャンスを逃したくないの」


「それは会社の都合じゃん…」


ギャル山さんがキラキラした目で見てきて、お姉は珍しく手を合わせて頼み込んでくる。

うーん…。


「配信」


「ん?」


「楽しかったでしょ?」


「う…」


それはまぁ、楽しくなかったと言えば嘘になる。友人とワイワイダラダラと遊ぶのとは違う、見知らぬ大勢の人たちが自分のワンプレイごとに盛り上がったり、称賛してくれたり、ミスったらフォローしてくれたり、ネタで雰囲気を盛り上げてくれたり。

私の小さな発言にもすぐに反応くれて、小ボケにもすぐツッコミが返ってきたりネタを拾ってくれたり、ボケにボケで返す人なんかもいたりして。

そういうコミュニケーションは、まぁ率直に言って楽しかった。


「別にあんたもVTuberにならないか?とは言わないわ。ゲスト扱いで、息抜き程度でいいからやってみない?」


「うんうん、うちも力になれることがあったら手伝うからさ」


平蔵くんも同意するようににゃー、と鳴いた。



【ナイトメアナイト】まだまだ擦ります。ゲスト有り【緋影レン/にこっとぷれい】


「やっほ~、にこっとぷれい3期生、お嬢様ギャルの緋影レンです。今日もゆるっとよろしくね」


『やっほー』

『やっほー』

『やっほー』

『ほうゲストですか』

『もちろんあの人ですよね』


「早速ゲストに出てもらいましょう。はい挨拶どうぞ」


「えーと、どうも、妹です」


『妹ちゃんきちゃああああああ』

『神プレイヤーきちゃあああああ』

『まだ名前とかないのw』

『アバターもなしか』


「あくまでゲストですから。デビューしたとかでもありませんし」


てかここでも神プレイヤー扱いってなんだ。


「名前決める?」


「いいよ、”妹”で」


「じゃあひとまずそれで」


『いいのかw』

『つまり実質俺らの妹でもあると』

『俺が、俺達がお兄ちゃんだ』

『お姉ちゃんもおるやで』

『妹よ、お兄ちゃんに甘えてごらん』


「おいこら組員ー、人の妹をNTRなー」


「どういうスタンスで返せばいいのこれ」


「乗らんでよし」


『辛辣ゥ』

『ヒエッ…』

『だがそれがいい』


「じゃあ準備運動はこれぐらいにして、ゲームやろっか」


「うっす」


『今日はどんな神プレイが見られるのか』

『楽しみ』

『お嬢が楽しそうにしてればワイは満足』

『それよな』

『今日こそ姉妹てぇてぇを…!』




「あーごめん、ダウンした!」


「起こす起こす…うわ、雑魚がいっぱい来た!」


『阿鼻叫喚w』

『これきっつ』

『お嬢生きろー!』

『妹ちゃん逃げて、超逃げて』




「ちょちょちょ、お姉収縮きてるって」


「こいつだけ!こいつだけやらせて!」


『無茶しよるわお嬢w』

『先っぽだけみたいにいうのやめろw』

『これ倒しても回復間に合わんのちゃうか』




『やべえ二人ダウンw』

『残りはお嬢ひとり…』

『勝ったな風呂食ってくる』

『田んぼの様子見てくる』


「お姉がんばえー」


『がんばえー』

『がんばえー』

『がんばえー』


「むーりー!」




あぁ、やっぱり配信って楽しい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る