遺書

死人

プロローグ

 己の人生について書いてみろ、と言われても難しいものがある。金稼ぎの方法の一環として探していた小説賞の中に、そんなものがあった。家のしがらみ抜きで自由に書けるとするならば、幸せなようで不幸な人生のように思う。つまり、平凡だ。しかし、他の人生と大きく違うと胸を張って言えることは「私」が中学生の時に死んでしまっていることである。いな、殺してしまった。死なしてしまった。そちらの表現の方が正確かもしれない。あまり詳しく書きすぎると自分が誰であるかばれてしまいそうなので適度にぼかしながら真実を語ろう。きっと審査員の人には、また変なこじらせ野郎がきたよと思われていそうである。私もそう思う。

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