化け狐のガッコウ
相田イオ
序章
プロローグ
教室として使用される和室に入ると、そこには十人の子どもたちがいた。下は小学校低学年ぐらいから、上は中学生ぐらいまでと様々だ。
畳敷きの部屋に、低い長机が四つ設置されている。窓際に二つある少し小さめな机は採点に使うためのものである。
畳に座っている子どもたちの見た目は、ぱっと見ただけでは町中を歩いている子どもたちと何ら変わりないように思える。
でも、中身は狐なのだ。
たまに、驚いたり体調が優れなかったりすると、変化が甘くなり耳や尻尾が現れることもあるという。
見渡すと、最年少と思われる子どもの髪からふわふわとした耳がのぞいていた。
(本当に、狐なんだ)
三上から受けていた説明で理解したと思っていたが、やはり目の当たりにするとどこが現実味が薄いのが彩音の本音だった。
時刻は、夜の七時。基本的に狐は夜行性なので教室が開かれるのは夜になっている。
彩音の姿を認めた子どもの一人が声を上げた。
「誰ですか?」
彩音はすっと息を吸って、努めて丁寧に、自己紹介をした。
「はじめまして。これからみんなと一緒にお勉強していくことになりました、速水彩音です。みんなが生活しやすくなるように、頑張ってお手伝いしたいと思ってます。よろしくね」
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