第22話 赤ちゃん
定時で上がりアパートでシャワーをして僕は急いで病院へ向った。
美紗はまだ何の兆しもないようで、食事を済ませ廊下を散歩しているらしい。
廊下を散歩している美紗と丁度会った。
「美紗、大丈夫?」
「あ、翔君、間に合って良かった。まだ少ししか痛くないんだよね。だから、散歩する様に言われて……」
僕達は、病室に戻ってその時に備える事にした。
想像していたよりも陣痛とは痛いらしい。我慢する美紗の額からはものすごい汗が流れて、僕はオロオロする事、心配する事しか出来なかった。
朝方、無事に男の子が誕生した。
はじめての対面……。ちっちゃくて壊れそうなフニャフニャしたそれは僕達の子供だ。とても軽くて元気に泣く男の子。可愛くて愛おしいとはこの子の為にある言葉だ。
「美紗。お疲れ様。ありがとう。可愛い男の子産んでくれて……嬉しい」
「翔君。パパとママだよ。嬉しいし、何だか恥ずかしよね。赤ちゃん、可愛いね」
美紗は少し眠った。その間赤ちゃんも大人しく眠っていた。
「ねぇーすっごく筋肉痛なんだけど……」
「美紗すごく腕に力入れてたからじゃない?力凄かったよ」
「え?そうだった?兎に角、疲れた。翔君、赤ちゃんカワイイね。ほら、見て私の指握ってくれる」
「赤ちゃん、可愛すぎ。こんなにちっさいのに凄くあったかい」
僕はこの大切な命を必ず守る。美紗のことも大切にする。そう自分に誓った。
誓ったはずなのに……。
子育てはホントに大変だ。眠い。
退院して2週間は美紗の実家にお世話になったが美紗の祖母が体調を崩してしまった為早めにアパートに戻って来た。買い物は全て僕の担当だ。肉、魚冷凍出来るものは週末買って冷凍する。夕飯は美紗が作ってくれた。朝ご飯は僕が用意する事になったが、夜中に何度も起きるので朝辛くて起きられない。いつもギリギリに起きて何も作れないでいた。
「ごめん。美紗、今日もインスタントのスープ」
「うん。大丈夫。いってらっしゃい。気をつけてね」
「圭。パパ行ってくるね。良い子でいてね」
「圭ちゃん、パパにバイバイ👋」
僕は美紗にキスをして慌てて会社に向かう。
僕はバタバタしているけど充実した毎日を送っていた。
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