第2話 初めての合コン

 藤田と連絡先を交換し今夜の合コンの予定を送って貰った佐藤陸は、一度大学を後にして自宅のアパートに戻り、ノートパソコンを開いてネットサーフィンをして時間を潰して。


 約束した時間の1時間前になると軽く身支度を整えてから家を出て、アパートの近くにある駅へと向かい。


 チケットを買って電車に乗って、目的の駅へと向かった。


 その後、目的の駅へと辿り着いた佐藤陸は電車を降りて、今日の合コンの会場である駅近くにある居酒屋の前に到着したのだが。


「少し早く着き過ぎたか?」


 スマホで時間を確認して佐藤陸はそう呟いた。


 今の時刻は18時35分で、合コンの開始時刻の19時までにはまだ30分近くあるので、佐藤陸は先程連絡先を交換した藤田に向かって、もう居酒屋前に辿り着いたとレインでメッセージを送ると直ぐに既読が着いた後。


「そうか、俺はもう個室に入っているから中に入ってくれ」


 そんなメッセージが届いたので、それを確認した佐藤陸は店内に入り店員に案内をされて藤田が待つ個室に入ると。


「やあ、佐藤くん、さっきぶりだね、えっと取りあえず奥の席に座ってくれないかい」


 先に個室に入っていた藤田が長椅子から立ち上がり、奥の席へ座る様に佐藤陸に向けて言ったので。


「ああ、分かった」


 佐藤陸は短くそう答えると、藤田に促されるまま壁際の一番奥の席に座ると。


 一人分くらいのスペースを開けて、藤田も佐藤陸の隣に座ると。


「それにして佐藤くん随分来るのが早かったね、そんなにこの合コンに参加するのを楽しみにしてくれたのかい?」


 爽やかな笑顔を浮かべて藤田は佐藤陸にそう話しかけて来たので。


「まあ、大体そんな感じだ、ただ、てっきり俺が一番に着いたと思っていたけど、藤田くんも随分早く店に入ったんだな」


 藤田の質問に適当に答えつつ佐藤陸がそう聞くと。


「ははっ、まあ、一応僕がこの合コンの主催者だからね、そういう立場の人間として一番に店に入っておかないといけないと、そう思っただけだよ」


 照れ笑いを浮かべながら藤田はそう言ったが、合コンに参加している以上、恐らく藤田に彼女は居ないのだが。


 イケメンでコミュ力も高くて、その上、真面目で誠実そうと来れば女子からは滅茶苦茶モテそうであり。


 そんな藤田が合コンに参加しているなんて、よく考えたら不思議だなと佐藤陸はふとそう思ったが。


(まあ、藤田くんにも彼なりの事情があるのだろうし、下手に踏み込むのは止めて置こう)


 多少気になったモノの佐藤陸は心の中でそう結論付けて、藤田にその事は聞かないでおいた。


 そんな事を佐藤陸が思っていると、藤田と佐藤陸のいる個室のドアがゆっくりと開いて、1人の女性が静かに顔を覗かせたので。


「やあ、君も今日の合コンの参加者かい?」


 その女性に向けて藤田がそう聞くと。


「えっ、あっ、はい、そうです、よろしくお願いします」


 彼女は遠慮がちにそう言ってから個室に入って来て、佐藤陸とは机を挟んで正面から向かい合う形になる壁際の席へと座ったので、佐藤陸はその女性の姿を見たのだが。


(思ったより大人しそうな人が来たな)


 佐藤陸は彼女に対してそんな印象を持った。


 偏見だが、合コンに参加するような女性は派手な服装をしていて、会話をするのが上手い明るい陽キャみたいな女子ばかりだろうと、合コンに参加した事のない佐藤陸は勝手にイメージしていたのだが。


 彼の対面に座っている女性は黒髪ロングのストレートヘアで、眼鏡を掛けていて地味な服装をしている比較的大人しそうな女性で、佐藤陸は少しだけ意外そうな目で彼女の姿を見ていると。


「ピロン」


「ん?」


 彼のスマホにレインのメッセージが届いたので、佐藤陸は地味な見た目の彼女から目を逸らして、スマホを操作してレインを見てみると、メッセージを送って来たのは彼の隣に座っている藤田で、


「今来た子をずっと見ているけど、もしかして気になっているのかい?」


 メッセージの内容はその様なモノだったので、


「いや、そういう訳じゃ無い」


 佐藤陸は直ぐにそんなメッセージを返したのだが、それから数秒後、


「恥ずかしがらなくても良いよ、今回参加してくれたお礼になるべくその子と話せる様にしてあげるから頑張って仲良くなってくれ!!」


 何を勘違いしたのか、藤田からその様なメッセージが送られて来たので、佐藤陸は何と返信しようかと少しだけ頭を悩ませていると。


 再び個室のドアが開くと、1人の女性が顔を覗かせて。


「やっ、藤田くん、来たよ……って、もう3人も居るの? 皆早いね」


 茶髪のショートヘアの美人な顔立ちの女性がそう言って個室に入って来て、藤田の対面の席に座り。


 その後の数分間の間に残りの男女1人ずつの合コン参加メンバーも個室の中に入って、開始時刻の10分前にはメンバー6人全員が集まったので。


「それじゃあ少し早いけど、今夜の合コンを始めようか」


 主催者である藤田がそう宣言して、佐藤陸にとって初めての合コンが始まった。

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