結末



 あの後領主と長男の死は表向きには病に倒れたということになった。そしてハルベルトはと言うと…


「私冒険者になることにしたんだ!」


 と領主にはならないことに決めたようだ。兄や父がなくなって暫くは部屋に閉じこもっていた。時々すすり泣く声を聞こえてきており心配していた。だが2日ほどたち気持ちに整理が着いたのだろう。俺にそんなことを告げた。


「冒険者になるのはいいと思うが…領主についてはどうするんだ?」


「それは王家が新しく領主になる人を連れてくるだろうから大丈夫なはず。それに兄さんや父さんの言っていたように私のしたいことをしたくて。なんだかんだ言っても私冒険者とかに憧れてたから。」


「そうか。ハルベルトが決めたならそれが一番いいと思うぞ。……それでハリベルっていうのは…」


「あ、黙っててごめんね。ハリベルは私の本当の名前なんだ。貴族で女だと政略結婚とかがあるらしくてさ。お父さんが男のフリをしておきなさいって。」


「いい父さんだったんだな。」


「うん。」


「それにしても冒険者か…ならまたいつか会うことになるかもしれないな。」


「え?ハーゲンは冒険者にならないの?」


「まぁな。俺は俺の目的を果たしたいしな。」


「そっか。」


「だが一生会えないということでは無いしそんな落ち込むな。」


「確かに…そうだよね。」


「そうだ。ハリベルには世話になったし…これからの冒険が上手くいくようにこれを渡すよ。また次に会った時に返してくれ。」


 そう言って俺はアイテムボックスからアイテムを取りだした。


「これは?」


「これは『浮遊する短剣フロウエッジ』と言うやつだ。ハリベルは弓術士だろ。それならこれはきっと役に立つはずだ。」


「でも私は短剣とかそんなに使えない…」


「説明不足だったな。これは武器じゃなくて装備だ。この腕輪をつけているものが戦闘を始めるとこの短剣も浮きながら戦ったり、死角からの攻撃を守ったりしてくれる。」


「そんないいものを私に?」


「ああ、ハリベルにはこの街にはいる時に助けられたからな。それのお礼だと思って欲しい。」


「そういうことなら…ありがたく貸してもらうよ!」


「それじゃ俺はまだすることがあるから二人と話したりしててくれ。」


「うん。」


 そう言って俺は今後に備えて食料などを買いに行くことにした。


 ―

 ――

 ―――

 ――――


 その後俺たちはそれぞれ準備をして街の外で別れることになった。


「それじゃみんな!また会おうね!」


「そうですね!また会いましょう!」


「次会うときはもっと強くなってるからな!」


「気をつけろよ。」


 そう言って挨拶を交わしたあとハリベルは冒険者としての第一歩を踏み出して行ったのだった。


 ――――――――――――――――――


 短いですが一章はこれで終わりです。


 第二章ではまだ残っているオークションについても触れていきます。

 とりあえず次は登場人物まとめや簡単な世界観、設定のまとめを載せます。

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