数日後



 数日間俺たち、特に三人はひたすらに魔物を狩ってレベルを上げたり修練度を上げたりしていた。

 ハルベルトは修練度やレベルについてはもちろん知らなかったため俺が一から説明することにした。本当はステータス画面を見せてあげたいところなのだがどうやら俺の配下になっていないため見ることが出来なかった。これは少し誤算だ。


 ただ、詳しいものは見れなくとも説明自体は可能なためできる限り分かりやすく説明したところハルベルトも理解をしたようだ。


 その後は三人に新たなスキルを教えたりして過ごした。



 

 そして数日後、新たなスキルも覚え、三人とも先日の追っ手程度であれば倒せるくらいに成長した。はずだ。

 念の為にカレリアとハイゼンのステータスを確認すると


 名前:カレリア=フォン=アレクトリア 職業:剣術士

 種族:不死族アンデット

 レベル:16

 称号:王女


 修練度


 剣術362

 弓術11

 槍術23

 拳闘38

 魔術48

 盾術15

 錬金術0

 鍛冶0

 調教0

 回復術103



 名前:ハイゼン 職業:剣術士

 種族:不死族アンデット

 レベル:30

 称号:近衛騎士


 修練度


 剣術782

 弓術93

 槍術107

 拳闘74

 魔術69

 盾術281

 錬金術0

 鍛冶0

 調教0

 回復術141


 という感じである程度成長した。特にカレリアは元のレベルが低かったこともあるが10レベ以上も上がっておりいい感じだ。ハイゼンの方もレベル自体はカレリアの半分ほどだが、レベルが高くなればそれだけ必要な経験値も多くなるため仕方ない。


 ハルベルトのほうは詳しい情報は見れないが魔物との戦いを見た感じカレリア以上ハイゼン未満という感じだ。これなら俺がいくつかアイテムを貸せばまず負けることは無いだろう。



「よし、それじゃ簡単だが作戦を伝えるぞ。カレリアとハイゼンを先導に進んでいく。二人ともわかっていると思うがハイゼンの称号はカレリアが近くにいることで効果が発揮されるからな。

 それでハルベルトの指示の元兄、がいると思われるところに着いたら邪魔が入らないように守ってくれ。何かあったら俺も補助に入るつもりだが万が一があるかもしれないからな。

 何か意見はあるか?」


「私は特にないです。」


「俺もないぜ!」


「ハルベルトはどうだ?」


「大丈夫だよ。」


「よし、なら三人にもう少し防具とか渡すからそれを装備し終えたら向かうぞ。」


 俺は三人に装備などを渡した後、装備し終えたのを確認するといよいよ領主の館に向かうことにした。


 ―

 ――

 ―――

 ――――



 森から領主の館まで騒ぎを起こしてはまずいということで俺を含めた四人分の気配遮断のマントを出してバレないように館に着くことが出来た。


「一応最後に確認だがハルベルト。覚悟は出来てるな。」


「うん。」


「わかった。じゃあ行くぞ!」


 そう言って俺たちはいよいよ領主の館に突撃した。

 館に入ると当たり前だが守っている騎士たちが出てくる。だが強くなった二人にとっては強敵という程でもなくスキルを使いつつなるべく殺しはしないように無力化しながら進んでいく。

 たまに無力化できずに立ち上がろうとしてくる奴がいたがそういう奴らは俺がこっそり寝かしてあげている。


 だが強敵では無いと言ってもやはり人数差は厳しい。本当は兄と出会うまでは温存しておくつもりだったハルベルトも戦闘に参加し始めた。そうしてしばらく館を走り、ついに兄がいると思われる部屋の前まで着いた。

 ここからは事前に決めた通り俺とハルベルトが中に入り二人に守ってもらうという構図を作る。


「それじゃ二人とも。頼んだぞ!」


「はい!」「任せろ!」


 そう力強い言葉を聞いた後俺たちは部屋の中に入った。部屋の中にはどことなくハルベルトと似た顔立ちの男がいる。おそらくあいつがハルベルトの兄なんだろう。そいつは俺たちが部屋に入るといきなり喋り始めた。


「やはりハルベルト。戻ってきたか。」


「当たり前だ!兄さんの凶行を止めるためなら!」


「凶行だと!ふざけるなよ!俺は生まれた時から父の跡を継ぐと信じてひたすら自分を磨き続けた。それなのに父は俺じゃなくあいつを指名したんだ。俺がどれだけ屈辱だったかお前にわかるわけが無いだろ!」


「それでも話を聞くことは出来たんじゃないのか!?」


「もちろん聞いたさ。そしたらなんて言ったと思う?「ハウザーよりもハリウッドの方が政治に向いている。」だとよ。だったら俺になぜ戦闘訓練ばかりさせた!なぜ俺に政治の知識を教えなかった!」


「それは…」


「ほら言い返せないだろ。だから俺は鍛えられたこの力で奪ってやったんだよ!政治なんかよりも力が全てだということを父に見せつけるためにな!」


 「そんなのただの言い訳だよ!納得いかなかったら話し合えばよかったじゃないか!兄さんはそれを行わずに感情だけで今回の事を起こした。そんなんじゃ領主は務まらないよ!」


「うるさいうるさい!どうな家庭を踏んでいようと結果的に俺が領主に慣れればいいんだ!だからハルベルト、お前も生かしてはおけない!」


「……話し合う気はないんだね。わかったよ。」


 どうやら話し合いは決裂したようで結局戦うことになったようだ。ハルベルトが負けるとは思えないが万が一もあるしすぐに助けられるように構えてはおくか。


 にしても……さっきまで鳴ってた後ろの戦闘音が消えたんだが大丈夫だろうか。仮に何かあったりしたらこの部屋に入るようにとは伝えてあるし…。心配だ。


 ――――――――――――――――――――


 この世界の奴隷について


 この世界の奴隷は本編にも描かれたように三種類の奴隷があります。その中でも借金奴隷、特殊奴隷は奴隷と言いつつも広義的には仕事のひとつとして扱われるので主人に反抗できないなどの縛りはあるものの、給料を払わないと奴隷から訴えることもできます。また、扱いも普通の人と同じように扱わないといけません。


 一方で犯罪奴隷だけは例外で、有罪となった者の中でも特に凶悪性が高い者がなる奴隷です。一応刑期がすぎたら解放はされますが犯罪奴隷になる者のほとんどは終身刑以上なので解放されることは無いです。また、生きていれさえすればどんなことをしてもいいため、どんな人間も犯罪奴隷だけにはならないように気をつけて?います。

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