領主&ちょっと説明回



 昼過ぎまでレベルアップに勤しんだ俺たちは昼食を取りつつ体を休めるため街へと戻って行った。たが、いつも通り門を通ろうとした時に兵士からこんなことを言われた。


「君たち。今朝領主の方で何やら起きたらしくてもしかしたら何かあるかもしれないから気をつけてくれよ。」


 気をつけろって何を気をつければいいんだ…。そもそも俺はここの領主が誰なのか知らないんだよな。


「カレリア、この街の領主が誰か知ってたりするか?」


 と王女ということもありもしかしたら知ってるかもしれないと思いカレリアに聞いてみた。


「ここですか?確か…マークスマン伯爵家がここの領主だったはずです。」


「そうか。ありがとうな。」


「いえいえ。」


 そういえばマークスマンってどこかで聞いたことがあるような…何処だったっけな?


 と俺が再び考え込んでいると街の奥の方からなにやら大声が聞こえてきた。


「この街の住人に告ぐ!ハルベルト=マークスマンは領主に刃向かった反逆者となった!見つけたものは速やかに近くの兵士に知らせよ!仮に匿っていたとしたら見つけ次第死罪とする!」


 …………あ!ハルベルトか!あのお貴族さんここの領主だったのか。ってそれよりも今なんて言ってた?

 反逆者って何があったんだ。短い付き合いだがハルベルトがそんなことをするような性格では無いのはわかる。

 なんだかんだこの世界で初めて関わった奴だ。何とかして事情が聞きたいけど…どうすれば…。


 「ハーゲン様はここの領主の人とお知り合いなのですか?」


「いや、領主じゃなくてな。さっき反逆者と言われてた奴と知り合いなんだ。だからあいつがそんな反逆のようなことをするとは思えなくてな。」


 「であれば一度本人に聞いてみるのも一つの手かと…」


「だがなぁ…どうやって探せばいいのか。」


「こういう時は案外近くにいるかもしれないぜ!」


「そんな都合よく会えるわけ……あ!」


「どうしましたか?」


「いや、そういえばハルベルトから貰ったのものがあることを思い出してな。」


 そう言って俺は初日に貰った紋章のついたコインを取り出した。


「そうそう、これだよこれ。」


「これは…なるほど。これを使えばハルベルトさんのことを探し出せるのですか?」


「ああ、捜索サーチを使えばこれの本来の持ち主の居場所を探すことが出来るはずだ。二人はどうする?先に宿に戻っててもいいぞ。」


「俺は宿でじっと待つよりも体を動かしたいしハーゲンさんについて行くぜ!」


「であれば私も。」


「わかった。それじゃ行くぞ。捜索!」


 そう俺がスキルを発動すると、コインから光が出てきて本来の持ち主であるハルベルトの方へ向かっていった…はずだ。


「よし、上手くいったな。」


「そうだ。二人には一応この装備を貸しておく。アンデット故に死ぬことは無いが痛みは感じるしな。装備があった方がいざという時に守ってくれるはずだ。」


 そう言って俺は二人に初心者向けの装備を渡した。ただ初心者向けと言っても俺が多少強化を施しているため今の二人にとっては上質な装備と言える。

 ちなみに二人に渡した装備はこんな感じだ。


 カレリアには

 

 「・魔法のスカーフ:ノーマル

 相手よりも自身の方がレベルが低かった場合受けるダメージ減(極小)


 ・身代わりの首飾り:レア

 致命傷となる攻撃を受けた時1度だけ身代わりとなる。使用後消滅する。」


 の二つを、ハイゼンには


「・騎士の篭手:ノーマル

 剣術と盾術の修練度を3%アップする。


 ・身代わりの首飾り」


 の二つだ。昼前までの鍛錬?のおかげで出会った時よりも二人は少し強くはなっている。が、ハイゼンはともかくとしてカレリアは王女だったということもありレベルが低い。そのためカレリアには守りの装備を、ハイゼンには攻めの装備を渡した。


「ありがとうございます!」


「俺はまだ修練度とかよく理解してないけどこれをつけてたら強くなれるってことだよな?なら頑張らねぇとだな!」


 喜んでくれたようで何よりだ。


 ちなみに装備の横にレア度が書いてあるがこれはゲーム時代の装備やアイテムのレア度をそのまま表しているようだ。レア度は弱い方から順に

「ノーマル、レア、エピック、レジェンダリー、ゴッズ」

 の5種類に分かれている。

 ノーマルは初心者用の効果が低いものが集まっており、二人に渡したやつもそのうちの一つだ。

 レアは少し使えるようなものが出てくる。二人に渡した身代わりの首飾りなどはこの世界に来たことで発動の条件が変わっていたりもするためもしかしたら強くなっているものもあるかもしれない。

 エピックからは俺たちのようなMAXレベルのガチ勢も使うことがある。課金アイテムもここから増えてくるのでレア度にみあった性能をしている。

 レジェンダリーは恐らく通常手段で手に入れるための最高レアだ。ボス級の魔物からドロップしたり課金して回せるガチャの目玉商品として売られたりもしている。最高レアなだけあり効果はどれも一級品だ。

 そして、最後であるゴッズは入手手段が特殊だ。ゴッズを入手するためにはゲーム内でワールドボスと呼ばれる所謂レイドボスを討伐しなければならない。そして、そのレイドボスの討伐に参加した者の中からランダムで一人の者にドロップする。そのため俺も持っているのは2つだけだ。


 こんな感じで別れており、俺が着けている装備はエピックとレジェンダリーで構成されている。

 ただ、二人にと話した時に聞いたことだがこの世界で流通している装備などのもののほとんどは高くてもエピックぐらいでありレジェンダリーは見たことがないらしい。しかもレア度なんて見えないそうでちゃんとしたレア度は分からないそうだ。



 さて、一旦振り返りはこれくらいとして…。

 二人とも準備が出来たようなのでいよいよ探しに行くことにする。


「二人ともなるべく安全にな。」


「はい!」


「任せろ!」


 ――――――――――――――――――――


 スキルについて

 主人公が康スキルの死者の軍団の時のみ詠唱をしたが、ゲームの時にもこのスキルを使う時にはボイスチャットで詠唱を必要とした。

 また、主人公は魔術の修練度をMAXまで上げているため魔術系のスキルは全て使える。だが修練度をあげていないものについてはそこまで多く使えない。要は修練度を上げていけば行くほど高ランクのスキルを使うことが出来る、ということになる。

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