メフィスト・オンライン

スパルタンEX

プロローグ



 暑い…暑い…だがやめられない。


 俺がやめるにやめられないのはあるひとつのゲームだ。そのゲームの名は『メフィスト・オンライン』だ。キャッチコピーである「このゲームでもうひとつの自分を作ろう」と言うだけあり相当自由度の高いゲームだ。


 多種多様な種族に理解しやすいゲームシステム。そして膨大な数の武具にスキルなど人気になる要素がふんだんに詰め込まれておりどの時間帯にログインしても大勢のプレイヤーがいる。


 そんなゲームで俺は魔王としてロールプレイをしている。魔王と言ってもそういう職業がある訳ではなく悪役プレイをしていたらいつの間にかそう呼ばれていた。


 そしてそう呼ばれていることからわかるように一応俺はこのゲームでも上の方のプレイヤーだと思う。

 現実では毎日部下と上司の板挟みで腰を曲げる毎日。だがゲームでは同じ悪役ロールプレイをしているプレイヤーからは憧れだと言われることもある。

 だから俺はこのしょうもない現実から解放されるためにもこのゲームをやり続けている。もちろんこのゲーム自体が面白いから続けられているのだが…。




 そして今日も今日とて大事な休日をこのゲームに費やしている。エアコンをつけ忘れた部屋で俺は頭に着けたヘッドギアを外すことなく、呪文を唱えたりしている。ただでさえ暑い中エアコンをつけない部屋にいる俺の体は体中から汗が吹きでて頬を撫でるように絶え間なく伝っていく。だが今だけはこのヘッドギアを外すことは出来ない。

 なぜなら今やっているのはレアアイテムが手に入る大規模な大会の決勝戦だからだ。俺はこの日のために何日も前から課金して装備を整えこの戦いに臨んでいる。そこまでしてエアコンをつけるために負けるのはたまったもんじゃない。


 俺はエアコンをつけたいと心のどこかで思いつつも優勝するために全神経をそこに注いでいる。相手の隙を見逃さないために目は瞬きすら許さない。頭の中は常に相手の先を行けるようにひたすら考え続けている。そうして一分、一秒と集中しているとだんだんと頭がぐわんぐわんしてきた。目の前のヘッドギアに映し出された画面も少し歪んで見える。だが今俺は優勢なのだ。このでやめるわけにはいかない。

 ボケた画面の中相手の攻撃を間一髪で避け続け少しづつダメージを与えていく。


 そうして頭の痛みや画面の歪みが大きくなっていく中俺はついに相手に勝つことが出来た。

 おそらく画面にはYouWinという文字が出ているのだろう。だが、俺の目には歪んだ画面しか映っていない。

 だが優勝したのだ。俺はその事実を受け止めるとすぐさまエアコンをつけるため席を立った。だがそれがいけなかったのだろう。グラグラとした頭をいきなり動かしたのだ。まともに立てるはずがなかった。


 椅子から立った俺は目的だったエアコンをつけることが出来ずにその場に倒れた。その拍子にヘッドギアははずれ、目の前には何の変哲もない床が見えた。


 これが俺のこの世界で見た最後の景色だった。




 ――――――――――――――――――――


 書きたい時に書くのでエタります。

 もし人気が出そうであれば頻度を上げたいと思います。


 そしてあとがきの部分に少しずつ設定的なものを書いていくのでよろしくお願いします。


 ちなみにこのヘッドギアですが詳しいことはよく分からないのでなにか近未来的な技術で着けている人の脳波を感知してそれに合わせて体を動かしたりできるものと考えてください。要はSA〇だったり〇VERLOADのようなゲーム機と考えていただければ…

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