【ASMR】放課後は、君と同じ場所。

朝巳そると

放課後1、雨。

【SE】屋外の雨の音。

【SE】放課後のチャイムが鳴る。

(チャイムの奥で小さな雨音。以降、会話中も雨の音が窓越しに小さく聞こえ続けている)

【SE】教室の扉を開ける音。


(遠くから)

「あれ?まだ帰ってなかったんだ?」


(近付いて)

「え?雨が止むまで帰らないって……あぁ、傘を忘れたのか」


(教室の窓まで行き、窓越しに外を眺めて)

「でも、いつ止むかわかんないじゃん」


【SE】屋外のやや強めの雨音。


(再び近付いて)

「勉強してんの?期末近いもんね……」


「私?私は今日雨で部活なくなったから、もう帰るところだったんだけど……よかったら付き合おうか?」


「……いや!だってこないだの中間テスト、赤点だって騒いでたじゃん!だから……」


「……私のあれはマグレだよ。いつも学年最高点なわけじゃない。でも数学は……好きだからね」


「ごめん、別に赤点を馬鹿にするつもりはなかった。ただ……本当に、気になっただけだよ」


「別にいいよ、謝らなくて。なんかいろんな人と話すのめんどくさいから、黙ってること多いから陰で色々言われてるんだろーなって思うし。気にしてないけどね」


「いいよ、私の教え方でよければね。テスト範囲の最初からでいい?」




ー時間経過ー


【SE】ペンを走らせる音。


(机の向かいに座って、距離近く)

「……だからね、頂点の座標を求めろって言われたら、平方完成をするしかないの。

4xってことは、半分にして“2”、それを2乗して“4”……だから、

 x²+4x+1=(x+2)²−3。

つまり頂点は……って、ちゃんと聞いてる?」


「え?平方完成が何かわからない?頂点の座標って何って?」


「はぁ……てことは、もっと前の範囲からやり直さなきゃだめだな」


「雨、まだ止みそうにないね。わかった、じゃあ、座標の基本から教えるからちゃんと聞いててね」


【SE】屋外の雨の音。

【SE】最終下校のチャイムが鳴る。

【SE】ペンを走らせる音。


「うん…うん…それで合ってる。よし、ここまで理解できたらさっきの例題、解けると思うよ」


【SE】椅子を引く音。


「まだ雨止んでないけど、もう帰ろ。家はどこ?……電車で帰るの?じゃあ駅まで一緒に行くよ」


【SE】肩掛けのビニール製スポーツバッグを取り出して、シュルシュルと斜め掛けにする音。

【SE】カチャン、と机脇のホックからスクールバッグを出して肩にかける音。


「だって傘ないんでしょ?多分今日は止まなそうだよ。私もこの後暇だし。……あ、でも今度なんかおごってね(笑う)」


【SE】屋外の雨音。

【SE】傘のスナップボタンをプツッと外す音。

【SE】シュルシュルと傘全体の布地を緩め、シュー、パチっと傘を差すまでの音。


(雨の中)

「あれ?(ふふっと笑って)身長、そんな大きかったっけ?」


「ごめん、傘持ってくれる?」




【SE】傘に雨が当たる音。

【SE】シャーッと、脇の車道で車が雨の中走っている音。


「……人に勉強教えたの、今日が初めてなんだ。意外と楽しかったな」


「そう?なんかもっといい説明の仕方があると思うんだけどね……」


「え?悪いからもう教えなくていいって?(笑って)何言ってんの、赤点のままじゃ絶対ダメでしょ!私が暇な時だったらまた教えるよ」


「……誰にでもじゃないけどね」


「え?いや、聞こえなかったんなら別にいい。……ほら、駅着いたよ」


【SE】プツ、シューッと傘を閉じる音。

【SE】人が行き交う雑踏。

【SE】人々が改札を出入りする音。


「じゃーね、また明日」

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