第37話

 三月上旬。合格発表の日。

 俺は、自宅のパソコンで、俺が受験した大学のウェブサイトを開いた。画面に表示された合格者番号の中に、俺の番号を見つけたとき、俺の心は、安堵と、そして、どこか寂しい気持ちで満たされた。


 これで、俺の受験は終わった。

 だが、俺の「後悔のない青春」は、まだ終わっていなかった。


 俺は、華蓮に電話をかけた。華蓮は、俺と同じ大学を受験していた。


「華蓮、どうだった?」

 俺の声は、震えている。華蓮の電話の向こうから、彼女の震える声が聞こえてきた。


「陽介……私……合格したよ!」

 華蓮の声は、涙声で、そして、嬉しそうだった。俺は、華蓮の合格を、心から喜んだ。華蓮は、俺と同じ大学に進学する。それは、俺にとって、最高の喜びだった。


 次に、俺は美咲にメールを送った。美咲は、国公立大学の前期試験を辞退し、自分の本当の気持ちに従い、美術大学を受験していた。


「橘さん。どうだった?」

 俺のメールに、美咲からすぐに返信が来た。


「ええ、日高くん。……私、合格したわ。……完璧な私じゃなくても、ありのままの私を受け入れてくれた、日高くんのおかげよ」

 美咲のメールに、俺の心は温かい感情で満たされる。美咲が、完璧な自分を演じることをやめ、本当の自分を見つけた。それが、俺にとって、最高の喜びだった。


 萌、若葉、そして雫。俺は、彼女たちにも、それぞれメールを送った。

 萌は、嬉しそうに、合格を知らせてくれた。若葉は、クールな返信だったが、その中に、喜びが隠されているのが分かった。雫は、内気ながらも、感謝の言葉を伝えてくれた。


 五人のヒロインたちは、それぞれの道を、歩み始めた。

 華蓮は、俺と同じ大学に進学し、美咲は、自分の夢を追う。萌は、誰かに必要とされたいという願望を、若葉は、甘えたいという願望を、そして雫は、内面世界から抜け出したいという願望を、俺が満たしてあげることができた。


 俺の「後悔のない青春」は、彼女たちを幸せにすること。

 そして、この五人の中から、俺が、生涯を共にしたいと願う、ただ一人のパートナーを選ぶ。


 俺は、五人のヒロインたちとの、この一年間の思い出を、一つ一つ、心の中で思い返した。

 華蓮の純粋な愛。美咲の情熱。萌の孤独。若葉の強がり。そして、雫の内面世界。

 どの思い出も、俺にとって、かけがえのないものだった。


 俺は、五人のヒロインたちを、一人ずつ、呼び出した。

 そして、俺は、その五人の中から、俺が、生涯を共にしたいと願う、ただ一人のパートナーを、選んだ。


「俺が、生涯を共にしたいと願うのは……」


 俺の言葉は、そこで途切れた。

 この言葉の続きは、この物語の最後の結末を告げる、大切な言葉だった。

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