第11話 見事でござった


 カイがラストコールボタンを押した事で俺達の勝利で終わった。ダイブアウトして現実に戻って来る。


「相見さーん、体力回復速度を鍛えるメニューなんとか作れないっすか?」

「それはムリ。体力を増やすなら何とかなるけど、回復速度なんて人体改造でもしない限りムリよ?」

「やっぱアクセの補正頼みか~」

 相見さんに体力回復速度を何とか出来ないか泣きついてみたけど軽くムリって言われた。まあ判ってたけど。


「かと言って毎回カイに走らせるわけにも行かねぇしなぁ」

「どうして?僕がボックス拾いに走ってもいいと思うけど」

「速度の問題が出てくるんだよ。カイは50メートル8秒65だろ?俺は50メートル7秒55だ。同じボックスを狙っている相手がいた場合この速度がモノを言う」

「そっか。先にボックスに触られた時点で所有権を取られるもんね」


「まあここは作戦を決めて、その場その場で臨機応変に対処して行くか。相見さんのナビ能力にも期待しよう」

「うん。それでいいと思う」

「え?私そんなにナビ能力高くないわよ?ちゃんとナビ出来る人も探した方がいいんじゃない?」

 クイズは何とかなるにしても、フィールドワークはもっと練習しないといけないな。


「そんで佐々木、どうだった俺達のバディ具合は?」

「うむ。見ていて楽しかったでござる。見事であった。あの岩を使って跳ぶ勇気、あれには感動を覚えたでござる」

「そ、そうか。で、お前が望む対価になったか?」

(コイツ時代劇か何かの観すぎなんじゃねぇか?)


「十分に対価に値する物であった!拙者の力、貸して進ぜよう。Q  buddyをやっていそうな者を知りたいのでござったな。ここの学校は1組から5組、それぞれ30人おるから全員で150人、3年まで同じ人数、つまり450人の中から探し出せばいいのでござったな?」

「ああ、そこなんだがな佐々木、3年は除外で探してくれ。3年で今から部活に入る人なんていないだろ?」

「うむ。確かにそうでござるな。では300人の中から戦力になり得る人材を探して来るでござる。人数が人数故、暫し時間を頂くでござる。では御免」

 佐々木は小走りに走って行ってしまった。ちゃっかり俺のテックに番号残して行ってるし。

「これでQ  buddy部門の部員が増えてくれればチーム組めるようになるんだがなぁ」

「そうだね。チームルームも欲しいよね。個人ルームだと保管しておける服の数も少ないし」

「あ~、チーム用保管庫な~。あれの容量は結構だもんな。これから服にアクセにと増えて行けば保管庫は必要になるよなぁ。ここは佐々木が誰か探して来てくれるのに期待するか」

 


 こうしてなんやかんやで情報屋佐々木を仲間(?)にするのに成功した。

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