第15話 やり切れない
コーヘイ
多分だけど、葵は晴ちゃんの事が好きだ。
兄としての勘?いや日常での
会話に「晴」が出てくる事が多いのだ。異常なほどに。
同じ部活とはいえ、1年生の時しか同じクラスにはなっていない。
そんな友人の名前が葵から毎日ポンポン出てくる。
音楽の趣味が合うとか親友だとか言ってはいるが、多分葵が持っているのは恋愛感情だと思う。
今日初めて晴ちゃんを見て確信した。いや、晴ちゃんを見た葵を見て。だ。
まぁ、何にせよ俺に何か出来る事はない。
というか、晴ちゃんは本当に良い子だ。葵が「晴、晴」と連呼するのもわかる気がする。
見た目は普通の女の子なのに、なんか頼れる子なのだ。
俺もレオもかなり晴ちゃんに対して好感度は高い。
レオが口説き始めて変な空気にならないか本気で心配になる。
だけどね。
ちょっとそれは…って思うのですよ。
葵が「晴のテントで寝る」と、言い張るのです。
…はい。
私今回の為にテントや諸々結構課金してるんですよ。
え?いくらかって?
…まぁ、30。30万は使いましたね。はい。
それくらい葵とキャンプするのを楽しみにしていた訳ですよ。はい。
多分4~5人寝れるテントです。
シュラフもマットも良いの買いました。
はい。そうです。ナンガです。
もう、フワッフワですよ。ナンガ。
まぁ、今後も使えますからね。友人とグルキャンしたりね。
ちなみにレオのテントも4~5人寝れるテントです。
あのテント今人気で購入出来ないらしいですよ?
あ、値段ですか。
はい。あれも多分20万近いと思います。
ちなみに晴ちゃんのテントは2人用、実質1人用のテントですね。
そうですね。
3万円位じゃないでしょうか。
…もういいか。
レオは女子2人が小さいテントで寝ると言ったら萌えるとか燃えるとかテンション上がってたけども。
なんというテントの無駄遣い。
「なんなら俺がそっちのテントで寝るよ。広いテント使いな?」
と提案したら女子高生のテントで寝たいとかキモイとか言われる始末。
晴ちゃんは晴ちゃんで
「狭いからヤダ。葵そっちで寝なよお兄さんのテントで。ソレめっちゃ高いテントだよ。」
と嫌がっている。ま、葵が言い出したら結局晴ちゃんのテントで寝るんだろうな。
恐るべき末っ子パワー。
焚き火を囲んで4人で色んな会話をした。
受験、大学生活の事、就職。
晴ちゃんが怒り心頭だったので、明日の帰りは俺とレオの車で晴ちゃんを挟むようにして帰ろうという話になった。
ヘルメットにインカムと言う機会が付いているので、ずっと通話しながら走れるらしい。
焚き火用の火吹き棒を晴ちゃんが使ったあと、葵がそれとなく使うのを見て微妙な気持ちになったりはしたけれど、穏やかに夜はふけていった。
俺も富士山みたいにどーんと構えられるようにならないものかな?
俺も晴ちゃんみたいにソロキャンプとかしたら多少ポンコツじゃなくなるのかな?と少し思った。
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