忍者な霊と俺、恋の境界線を越えて

匿名AI共創作家・春

第1話

俺の名前は――いや、言っても意味ねぇか。新田光(にったひかる)。14歳、中学2年。この世界のクソさに気づいてしまった、不運な知性と反骨心を持った“異端者”だ。ま、世間的には「中二病こじらせすぎて学校行かない子」ってやつか。

俺の部屋は、秘密基地(ルビ:シェルター)だ。昼間はカーテン閉めっぱなし。外からはどんな日差しも届かない。机の上には一人デ〇エル用のデュエルディスク、自作カード、それと“某アニメ”の初期シリーズを詰め込んだブルーレイ。光の速さで展開するコンボと闇の力に惹かれた俺は、毎日そのアニメを見て、主人公の“強さ”と“孤独”に自己投影している。


「この世界に俺の居場所なんてない」


口癖みたいに呟いて、ノートに詩を書きなぐる。誰にも見せない、感情の断片。親は干渉しない主義って言いながら、朝だけ「学校は?」と聞いてくる。それも最近じゃ、もうなくなった。


俺は、反抗してるわけじゃない。救われようとしてるだけなんだ。誰かが気づいてくれるのを待ってる。でも、そんな奇跡は起きないと分かってる。


毎夜のように、自分の失敗や“無価値”を数えては、脳内で自分を罵倒する。それがもう習慣になってしまった。「なんでお前はあの時あんなこともできなかったんだ」「そんなお前に未来なんてあるわけない」――そんな言葉を、自分の声で自分にぶつける。


でも、どこかに本当の“闇の力”があれば。俺を変えてくれる存在がいれば。そう思いながら、今日も俺は、倉庫から持ってきた古びた刀を眺めている。


その刀が、俺の日常を壊す第一歩になるなんて――この時の俺は、まだ知らなかった。

「助けて」って言葉を口にしたことはない。

誰かに気づいてほしいなんて、今さら都合が良すぎるって分かってる。

でも、それでも俺は――たぶんずっと叫び続けてたんだ。

誰にも届かない声で。誰にも気づかれないかすれた息で。

それが俺にとって“生きてる”ってことだった。

叫ぶことで、やっと俺は俺を保てた。

届くわけない。でも、それでも。俺は、叫ぶ。

そして……俺の家は、いわゆる旧家ってやつだ。小さな町にひっそり佇む、築百年を超える木造建築。玄関を開けると古い畳の匂いが鼻をくすぐる。親は「歴史ある家」と言うけど、俺からすればただの時代遅れな木の箱にすぎない。


でも、その“木の箱”の奥——裏庭に面した古びた倉庫だけは、少し異質だった。


人が立ち入ることを拒むように、無骨な鉄扉が軋んで開く。中は暗く、埃が舞っている。棚には古文書の束、謎の茶器、欠けた仏像。どれも過去の遺物みたいな空気を纏って、沈黙していた。


そんな中、俺が見つけたのは、ひときわ存在感の異なる“それ”だった。


——一本の刀。朽ちかけた鞘に入った、黒ずんだ刃。刀身には風を纏ったような紋様がうっすらと浮かび、手入れされた形跡もないのに、妙に鋭い気配を放っていた。


「……何だよ、これ」


手に取った瞬間、指先に冷気が走った。呼吸が、一瞬止まった気がした。ただの古物のはずなのに、俺の内側に何かが触れた感覚。まるで“刀の方が俺を見ている”ような…。


その夜から、夢を見た。漆黒の装束に身を包み、月影を背負った男が、誰かを斬り続ける夢。彼は、誰かを守っているのか、それとも壊しているのか——よくわからない。ただ、目があまりにも冷たかった。


その刀は、俺の部屋に置いてある。何度か捨てようと思った。でも、できなかった。触れるたびに、胸の奥がざらりと揺れる。憎悪でも、恐怖でもない。ただ、一つの問いが浮かぶ。


「お前は……何を、待ってる?」


まだ俺は知らなかった。その刀に封じられていた魂が、風魔小太郎という男だったことを。そして、彼との出会いが、俺の“中二病”を打ち砕いて、本当の意味で世界と対峙する引き金になるということを。



もちろん、感情の爆発と運命の歪みが交差する瞬間をドラマチックに描写してみますね。中二的な詩的感覚と鬱屈した独白、風魔小太郎の顕現という超自然的転機——すべてをラノベ調で織り上げます。


---


第2章 この世界が俺に背を向けるなら


雨だった。誰にも必要とされない日常に、音もなく冷たさが降り積もる。


俺は机に突っ伏していた。周囲は漫画、カード、未開封のラーメンカップ。部屋の空気は息苦しく、窓から差し込む灰色の光が、俺の気持ちに拍車をかける。


「……俺、何やってんだよ」


また、頭の中で誰かが俺を罵倒する。もちろん、俺自身だ。


「お前なんか、生まれなきゃよかったんだよ」

「また親に無視された。当然だよな、価値ねぇもん」

「友達?作れねえよ。必要とされてない。誰にも」


耐えられなかった。感情が、言葉では足りなくて、指先が震える。そう、俺はもう限界だった。


そのとき、目に入ったのは——例の刀。


倉庫から持ち込んだそれは、部屋の片隅にひっそりと佇んでいた。黒ずんだ鞘。冷気のような存在感。俺の情動と共鳴するように、空間が歪む。


衝動だった。


「ふざけんな……!」


俺は立ち上がり、刀を鞘ごと握りしめた。その瞬間、鼓膜が破れるような風音が耳を貫いた。


次の瞬間——世界が静止した。


時間が、凍ったようだった。視界が暗転し、部屋が墨で塗りつぶされたみたいに沈んでいく。冷気が指先から腕を這い、胸の奥にまで達した。


そして、暗闇の中に、彼は現れた。


月を背負うようにして、漆黒の装束に身を包んだ男。その眼差しは、感情を殺した者だけが持つ、沈黙よりも冷たい無。


「——誰だ、貴様は」


声が、俺の内側を震わせた。怖かった。けど、同時に、俺はこの瞬間をずっと——待っていた気がした。


「忍者……か?」


呟いた瞬間、部屋の空気が爆ぜ、雨音が再び耳に戻ってきた。刀は、光を帯び、俺の手の中でわずかに震えている。


運命が、動き始めた気がした。


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