第一話

大愛と蓮哉の学園への出発の日がやってきた。


2人は今日15年過ごした孤児院から離れて学園生活を送ることになる。


2人はとても中が良かった入園のタイミングが近く双子の兄弟のように育った、好きな物、嫌いなもの、得意なこと、苦手なこと2人はそのほとんどが同じだった、ただ少し違うところがあるとするなら蓮哉には苗字があり姉がいる、そして魔術を扱うことができるというところだこの3つを大愛は持っていない。


姉は蓮哉よりも8歳年上だった、現在23歳の既婚者であり娘もいる。


なのでもう施設からはとっくに卒園している


「おっと、申し遅れました私この施設の園長を務めています渡會と申します」


「こんな話をしていたら2人はもう施設から旅立って行ってしまいました、では私からはこれで失礼します」



「れんや〜入学式の前にまず何をするんだっけ?」


「まず自分の使うことの出来る魔術を検査するらしいよ」


大愛は大きくあくびをした後に続けて聞いた


「にしても6時30出発はあんまり早すぎたんじゃないのか?」


「姉ちゃんからの助言でさ、魔術検査すっごい人並ぶらしいから早く行かないと平気で待ち時間2時間超えるらしいぞ」


大愛は蓮哉のセリフにとても驚いた、多少の待ち時間は覚悟していたつもりだが2時間は大愛にとっては長すぎるのだ


「だからこんなに早く出たってわけか…」


20分ほど電車に乗ったあとこれから通う学園と、まだ少しだが並んでいる列を見つけた。

2人はそこまで走って向かう、時間は7時00分、検査開始時間は8時だがもうこの列だ早く来て大正解である。

電車を降りてすぐに大愛が問う


「蓮哉は氷の魔術もう使えるけど検査受ける必要あるのか?」


「二属性能力者の可能性があるらしいからな、検査は絶対らしい」


ふーんと大愛は適当に聞き流す。


駅から少し歩いて列の後ろまで来たがもう50人以上は並んでいた、今年の入学者は250人、時間を遅らせて出発していたらどうなっていたかと考えるだけで頭が痛くなってくる。


時間が流れ検査が始まり30分弱ほどで大愛の番が回ってきた、検査はとてもシンプルだった、ただ血液を抜かれるだけである、大愛がほっとすると検査官が言う


「それでは入学式のあとに検査結果をお渡ししますのでこちらをお持ちしておいてください」とカードのようなものを渡された。


入学式は12時頃に始まり1時間ほどで終わった、残りの時間は各自自由に過ごすことになっている、大愛と蓮哉は二人で昼食をとることにした。


そして売店で弁当を買って食べて時間を過ごした


『下校の時間になりました新入生は検査結果を受け取り下校してください、2、3年生は委員会のある人は活動場所に向かってください』


2時半になり下校の放送がなった


「じゃあ大愛行くか!」


「検査結果どうだろうな〜俺なんの魔術が使えるんだろ〜」


大愛が眼を輝かせるのを蓮哉は少し笑う


「なんだよ!楽しみなんだよ!」


「ごめんごめん、そのワクワクする感情が羨ましくてね」


大愛は能力をとても楽しみにしているが、蓮哉は既に氷の魔術を使えるためなんとも思っていなそうな感じだった。


このワクワクをぶち壊すようなことが起こるとはもちろん知るよしもなかった。

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