馬鹿と阿呆それから怪奇探偵社

@のびなやみ

第1話 馬鹿と阿呆

注意⚠️

※自殺描写アリ

※両親逝去描写アリ

※この物語はフィクションで◯◯◯◯

------------−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

現実って不思議です。

創作物の世界より幸せであり、豊かであり

残酷で生きるのが辛い。


そんな現実から目を反らしたくて

家族の遺産と保険金で探偵社を作った。

私は馬鹿なのですぐ漫画とかの影響を受けてしまう

だから、怪異専門の探偵

"奇妙"で"奇怪な家族の死因が分かると思ったんだ

消えてしまった"あいつ"もすぐに見つけて…


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

ドタっ!ドタっ!ドタっ!

遠くから荒々しい足音がする

まぶたの裏を透かす太陽の光が痛くて

意識が覚醒していく、重い目を開けて身体を起こす

ここは探偵社の事務所だ、古い雑居ビルの2階に

ひっそりと営業中の"鈴ノ鹿探偵社"

(スズノカたんていしゃ)

どこぞの小学生探偵みたいに難事件を解決することはないが世の中の奇妙を解決している


"怪異"専門の探偵だ


私は机に突っ伏したまま寝ていたみたいで身体が痛い。"何か不思議な夢をみていた気がする"

身体を伸ばす為に「ぐ〜っ」と伸びをしていると、今にも壊れそうな木製の扉が勢い良く開かれる。

ドォン!

私は伸びをしたまま騒がしい音の主に喋りかける

「朝から、元気だね〜 もみじ"君"」

もみじと呼ばれた女性は扉が開かれた勢いと同じくらいの声量で返事をした。

「ハイッ!!!今日も元気いっぱい愛されキャラの

もみじちゃんだよ!!おっはようッ!!!!!!」

高く結われた赤毛のゆるふわポニーテールが特徴の元気な阿呆だ。

元気な阿呆は私が今いる机の前にある向かい合わせのソファに大きな足音を立てながら腰を落とし、私に言葉を投げかけて来た。

 「ねぇねぇ!狐鼓(ここ)ちゃん、探偵ぶってるのか知らないけど'うち'の事を君付けで呼ぶのやめな、馬鹿っぽいよ、また漫画に影響受けたの?」

馬鹿の自覚はあったが阿呆に言われるとは思っていなかった、なんか腹立じゃないか

「いいではないか!実際に私は探偵だし〜!

"もみじ" だって自分の事を愛されキャラとか言っちゃっさ!恥ずかしくないの!!?」

私はすぐに言い返した

「恥ずかしくないよ?だって事実だし✨それに、 お姉ちゃんとお兄ちゃんね'うち'に毎日言うんだよ

『もみじちゃんは可愛くて愛嬌のある子だから頭が"アレ"でも大丈夫だよ〜』って!」

「えッ…」

私は言葉を詰まらせてしまった…

もみじは満足げな顔でこちらを見ている。

言い合いで勝ったと思っているみたいだ

私は悲しいよ、もみじちゃん



ドヤっていた"もみじ"が、

何か思い出したのか喋り始めた

「ねぇねぇ、そういえば、"サトリ"さんはまだ来てないの?」

「いや、もうすぐ来ると思うけどね〜」

サトリさんはこの探偵社で働く眼鏡の男性だ、

きっちり七三分けの髪形に営業マン・スマイルを

いつも浮かべている、私は正直薄気味悪く感じる

「'うち'気になる、サトリさんは夏なのにスーツを着て熱くないのかな?」

「さぁ〜どうだろうね、"妖怪"の体感温度なんて知らないもん」


もみじと会話をしていると木製の扉がゆっくりと開いた。

現れたのは汗一つない青白い顔をした美丈夫

いつもの、気味悪い笑顔を浮かべる"サトリ"だった

「おはよウございます。出勤ガ遅くなり申し訳ございませン。ご依頼人ヲお連れしておりマした。」

"サトリ"から紹介されて出てきたのは

30代位の男性、堀が深い顔立ちと目のクマが

くっきりとしている駅務員だった。

駅務員はへの字に曲がった口をゆっくりと開いた


「助けてください。

人身事故の遺体が消えるのです」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る