41 恋すてふ わが名はまだき 立ちにけり 人知れずこそ 思ひそめしか

恋すてふ わが名はまだき 立ちにけり 人知れずこそ 思ひそめしか

壬生忠見 (みぶ の ただみ) (平安時代の歌人。三十六歌仙)


若者訳

え、ちょっと待って。

俺が誰か好きってウワサ、もうバレてんの?

まだ“ひとりで勝手にときめいてただけ”なんだけど……!?

片思いレベルで分かるなんて、マジで笑えん。


現代語訳

恋をしている、という私の噂がもう立ってしまった。

誰にも知られないように、ひそかに思いはじめたばかりなのに。


この歌は、 宮中の歌合(うたあわせ) (歌の勝負)で詠まれたと伝わる。

審判は 平兼盛の歌を勝ちとしたと伝えられる。

この“恋の二首”の対決は、宮中や都で評判となり、後世まで語り継がれた。

後世の説話では、「敗北をひどく悲しんだ忠見は食が進まず、ついには病で亡くなった」という物語的な逸話が語られる。真偽は不明。

秘めた恋が噂になる切なさを端的に詠んだ名歌として定着した。



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