鞄島巷談

空空

海岸の砂粒

「また砂浜の砂が盗まれたらしいのよ」

「今度はどのくらい?」

「三粒」

「先週から数えて、もう二十粒を超えちゃってるじゃないの」

「いやねえ」

「集計委員会のコシザワさん、数えるのに熱中して倒れちゃったらしくて」

「あの方、熱心だものねえ」

「今朝の広報に最新の集計結果が載ってるみたいだけど」

「一兆の一兆倍?」

「それって島外のも含めてじゃないの」

「いやねえ」

「コシザワさん、どこまで数えに行っちゃってたのかしら」

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