【朗報】幼馴染をチャラ男に寝取られた俺、寝て起きたら爆速レベルアップできる能力で1年後には人生逆転できた模様〜有名配信者に勝手に配信されたら空前絶後の大バズり!そして、彼は世界を救う者となる〜

霞杏檎

第一章 屑男断罪編 覚醒と始まり

第1話 寝取られ 晒され ボコられ


 岡盛駅から外へと出ると照りつける太陽の日差しが襲いかかってきた。



 太陽の日差しによって熱せられたアスファルトの上を俺は美少女に手を引かれて駆け走っていた。



「ちょ、ちょっと待って! 早いよ美香」


「だってだって! やっと探索者になれるんだよ? 私楽しみにしてたんだから!」



 天真爛漫なこの少女は俺の幼馴染の篠原美香しのはら みか。そして俺はそいつの彼氏の小川圭太おがわ けいたである。



 俺たちは高校卒業後の進路は探索者エクスプローラーになる事を決めていたのだ。



 探索者になる為にはマイクロチップの埋め込みは必須、俺達は今、その為にSTN岩手支社へと足を運んでいる最中である。



 俺は探索者になると言う事はそこまで乗り気ではなかったが、美香の圧も凄いし、特別やりたいこともなかった為、まぁ仕方がなく一緒の進路に進んでやると言うわけだ。



 気分はさながら、一緒に同じ大学に行こうとするバカップルの気分だったが俺は悪い気分ではなかった。



 なんせ彼女は学校では高嶺の花のような存在、彼女が横切れば男は鼻の下を伸ばし、馬鹿な女は卒倒する。



 そんな女の隣に俺がいつも居ることで、周りから向けられる目の全てに殺意が付与されているようにも見えた。



 そんな俺の気にも留めず、美香と俺は健全な付き合いをしていた。


 手を繋いだだけで、まだキスもそれ以上のこともしていない。


 男に理性と言う人間のプログラムが無ければすぐに手が出ているぞ。



 そんなことを悶々とする日々を今日まで送っていたのである。



 まぁ、こんな感じでたわいもない日常が続けば良いなーーって思っていた。



 そう思っていた最中だった。



「あれあれぇーー??? 美香ちゃんじゃーーん!」



 突然、ネッチョリとした俺の苦手なタイプの口調の声が聞こえてくる。



 振り向くと金髪でだぼだぼのアロハシャツみたいなクソダサい服装をしたガングロで巨体のチャラくさい男が複数人現れたのだ。



「あ……葛嶋先輩……お疲れ様です」



 美香は明らかにその男たちを見て、何か怯えた様子だ。



「あれぇ? 美香ちゃん誰こいつ? 彼氏ィ?」



 俺を見て眼飛ばしてくるこいつらはなんだ?



「ち、ちがいます! 彼は幼馴染で……」


「ふーーん、ま、どうでもいいけど。もしかして美香ちゃんも探索者になる感じ??? 俺らと一緒じゃーーん、俺らと一緒に行かね?」



 リーダー格のガングロの男がなれなれしく美香の肩を掴む。



「い、いえ! 私は彼と行きますので」



 そう言いながら美香が俺の後ろに隠れた。



「ちっ……あっそ、じゃまた後でね美香ちゃん♪ それと……オタクくぅ~~ん」



(オタク君?)



 チャラ男たちはゲラゲラと俺を小馬鹿にするように笑いながら、先に進んでいった。



 あいつらがいなくなってから美香は身体の荷が落ちたようにほっと一息ついていた。



「ご、ごめんね圭太……」



「美香が謝る必要ないけど……あいつら誰?」



「水泳部の葛嶋茂くずしま しげる先輩。先輩って言っても今はもう卒業してOB何だけど……先輩はインターハイ入賞者だから後輩の為とか言いながら練習を見に来るの。けど、実際は女子の事をいやらしい目で見てる最低な人よ……」



 なるほど、だからあそこまで馴れ馴れしかったのか……初対面の俺に対してもあの態度だから相当のクズ男を相手にしている美香を大変だなと思いつつ、俺は何処か不安感を抱きながら目的地へと向かった。



 ーー数分後。



 岡盛市合同庁舎の近くに新しく出来た白い建物の前にやってきた。



 ここが、人間を探索者にさせるマイクロチップを開発した株式会社STN(Start Travel Network)岩手支社である。



 俺達は早速中に入ると俺達と同年代……それ以下、それ以上の人たちが受付で並んでいた。



 長い列を見て吐き気を催すが美香に手を引かれ、列を逸れてそのまま受付へと向かう。



 少し受付と話をした後、俺達は奥へと通された。



「俺達は並ばなくて良いのか?」



「実は数か月前から圭太と私の受付は事前に済ませてあるからファストパスですぐ入れるんだよね。言ってなかったねごめん♪」



 俺と美香が奥へと進んでいくと広い空間内に沢山の探索者志望者たちが居た。中央には巨大な機械でできた球体が漂っている。



 部屋に入るとすぐに白衣を着た研究者たちが出迎えてくれた。



「探索者志望の篠原美香様と小川圭太様ですね。お待ちしておりました。すぐにAdamの埋め込みが始まりますのでこの部屋でお待ちください」



「せっかくだから中央に行こ!」



 やはり美香に手を引かれて映画館の席を確保するかのように部屋の中央近くへと向かう。



 向かう途中、人の群れの中にあの葛嶋と仲間たちを見かけてしまったが気づかれるとめんどくさいので見なかった振りをした。



 正面にある大きな球体から触手の様に長く鋭い管の様な物が沢山天井から生えているのが凄く不気味だった。



 そして待つこと数分後、白衣を着た男がマイクを手に取った。



「皆さま大変お待たせしました!! これより探索者の皆様にはAdamを腕に組み込みますので、”Eveイヴ”から伸びた管を手に当ててください!」



 司会者に言われた通り、そのEveと呼ばれる球体から伸びた管の一つを人々は手に取り各々の手の甲に当てる。



 俺もその管を手に取り右腕に当てた。



「では、注入です!!」



 司会者が手元のボタンを押すと球体が眩く光りだすと、一斉に管の中を通って何かが手の中へと入った。



 一瞬の出来事だったので一瞬ちくっとしただけで痛みはそれほどなかった。



 俺の右手の甲を見ると少し赤く腫れており、何かが入った形跡があった。



「おめでとうございます! Eveは正常に動作され無事にAdamが皆様の身体に組み込まれました!! これで皆様も晴れて探索者の一員です!! 早速ですがステータスを開いてみましょう!! Adamは皆様の脳のシナプスから情報伝達を受け、置換された情報をあなたの視覚内に反映されます!! 皆様には初期ステータスと初期スキルがある筈ですので、確認してみてください!!」



 何かゲームの世界みたいだなと思いながら、頭の中でステータスを開けと念じると俺の見ている視界内にウィンドウが開かれた。



 おお! 凄げぇ!! 本当に出てきた!! さてさて、初期スキルは何だろう。もしかしたら、最初から最強のスキルを身に付けていたりして!



 *************************************

 名前:小川圭太

 レベル:1

 職業ジョブ探索者エクスプローラー(初期職業)

 称号:無し


 HP:20/20 MP:10/10


 力:1

 防:1

 知:1

 速:1

 運:1


 スキル:【寝る】


 *************************************




 ……え? 何だ……このステータス……



 俺のステータスはオール1。小中高の成績でさえも並んだことが無いこの1の列に俺は言葉が出なかった。



 それに……なんだよ!! このスキル【寝る】って!!!!!!



 寝るなんて誰でもできるだろ!! 



 いや待て……もしかしたらステータスは貧弱でも能力は強いタイプかもしれない!!



「スキル詳細……」



 *************************************

 スキル:【寝る】

 レア度:ユニーク

 基本効果:効果発動後、起床予定時刻をセットし、使用者を熟睡へ誘わさせHPとMPを回復させる。

     寝ている間は如何なる場合であっても起きることはない。

 潜在効果(本人のみ閲覧可):1日(8時間)寝る度……

 *************************************



 ここで俺はここで堪らずステータスを閉じる。



 ……ただ、寝て回復するだけのスキル、てこと?



 そんな馬鹿なことがあるか!?



「圭太? 大丈夫?」



 俺が項垂れていると横から美香が心配そうな声をかけてくれた。



「あ、いや……大丈夫……うん」


「私たち、これで晴れて探索者だね!! 改めて……これからもよろしくね♪」



 そう言いながら美香は笑顔で俺の手を握る。



 俺の気持ちも知らずに……と言いたいところだったが、満面の笑みを見せる彼女の顔と手から伝う温もりが俺を少しだけ前向きにさせてくれた。



 まぁ……今後色々大変そうだけど美香と一緒なら大丈夫だな!!



 そんな感じに少しでも前向きになって気になっている幼馴染と探索者ライフを堪能しよう。



 そう思っていたのだが……



「よぉ~~す美香ちゃ~~ん♪」



 突然、チャラ男の葛嶋がねっとりと耳障りな声で話しかけてきた。



 またしても、美香の表情が曇り始める。



「先輩……なんですか?」


「探索者になったから、俺との約束……守ってもらうよん」



 そう言うと葛嶋は突然俺から美香をぶんどるように乱雑に美香の手を掴む。



「ちょ!? その事は彼の前で言わない約束じゃ!?」


「や、約束? お、おい!! 一体……なんの話だ!?」



 呆然としてる俺に対して、にたりと笑う葛嶋。



「言わねぇとは言ってねぇよ。おい、オタク……小川圭太とか言ったな……悪いけどこいつはもう俺のものだ」



 俺は葛嶋の言っていることが分からなかった。



「ど、どういう事だ……?」


「実は俺達はもうデキてんのよ! お前らがピヨピヨひよこみたいに仲良しこよししてる間にさぁ、俺達はひよこを作ってた訳。探索者になるまでの間、俺達のセフレで居ることを条件に水泳部の他の女に手は出さないってな。でも気がかわってよぉ……こいつ締まり良くてイイ女過ぎたから探索者になった俺の女になる提案したらよぉ……『分かったぁ♡ なるからぁ♡』ってOKされちゃってよぉ!!」


「「「「「ぎゃははははははは!!!!」」」」」



 取り巻き達が馬鹿にしたように笑う。



 俺はまだ理解が追いついていなかった。



「デキ……てた? おい、美香? う、嘘だよな?」


「……」



 美香は俺から目を逸らし、何も言わなくなってしまった。



 その美香の様子を見て俺は、葛嶋が言っていることが全て現実であることに気が付いたのだ。



「く……葛嶋おまぇええええええ!!」



 俺は爆発した感情と共に葛嶋へ向けて咄嗟に殴りかかる。



「馬鹿が!!」



 しかし、葛嶋が右手を差し出すと赤い魔方陣が浮かび上がり大きな火球が出来上がると、俺へ向けて投擲した。



「ぐぁあああああああああああ!!!!」



 俺は葛嶋の攻撃から返り討ちに会い、そのまま後方へ吹き飛ばされた。



 *************************************


 HP:3/20 MP:10/10


 警告!! 生命に深刻な状態です!!


 *************************************



 たったの一撃で俺のほぼすべてのHPを持って行かれた……くそ……立ち上がれない……



 HPとは別に身体に深刻なダメージを負っているのか、身体が起き上がれなかった。



 周りは俺達が突然争う姿を見てざわめいているだけで俺の事を助けようとする人間はいない。



 そんな俺に向かって葛嶋がにじり寄ってくると、しゃがんで俺の髪を掴んで無理やり顔を挙げさせられる。



「雑魚がよぉ。良いか、俺は探索者になって最強になったんだよ。俺のスキルで俺の強さを特別にてめぇに教えてやる」



 葛嶋の言葉の後に俺の視界に情報が入ってきた。



 *************************************

 名前:葛嶋茂

 レベル:1

 職業:探索者

 HP:108/108 MP:33/43


 力:130

 防:127

 知:50

 速:100

 運:200


 スキル:火炎魔法Lv.2

   :解析鑑定

   :情報伝達

   :身体強化Lv.1

 *************************************



 俺はそのステータスを見て驚いた。



 同じレベル1なのに全ての欄でこれほど雲泥の差がつくものなのか……



「俺のを見せたんだ、てめぇのステータスも見せろ!」



 葛嶋は目を俺に向けると瞳が緑色に淡く光る。



「や、やめろ!!」



 しかし、俺言葉が通るはずもなく葛嶋が等々俺のステータスを見てしまった。



「な、何だこれ!? ふひゃふひゃふひゃ!! おいこいつとんだ才能の持ち主だぜ!! みんな見てみろよ!!」



 葛嶋の言葉と共に俺のステータス情報がこの場に居るもの達に向けて一斉にそうしんされてしまった。



「うわ……何このステータス」

「俺よりも下のやつがいたんだ……」

「かわいそうだけど、俺じゃなくてよかった」



 周りの探索者達にも俺の情報が全て筒抜けとなり、世界が俺のことを哀れんだ眼差しを向けてきたのだ。



 そして、そんな眼差しはもちろんあいつも向けていたのだ。



「み、美香?」


「け、圭太これ……」



 美香は葛嶋から送られてきた俺のステータスを見ると、俺の方を見て軽蔑するような眼差しを向けていた。



「おい美香、俺は優しいから特別に選ばせてやるよ。こんなゴミステータスでお先真っ暗の粗チン幼馴染か将来有望なこの俺か……どちらに着きたい??」



「……」



 美香は俯き、少し間を置いてから俺に背を向ける。



「美香? 嘘だろ?」


「ごめん圭太……」



 その言葉だけを俺に伝えると自ら葛嶋の近くへと歩み寄っていった。



 全てが信じられなくなったような気がして俺は美香の背に向けて手を伸ばすが、その手を葛嶋の取り巻きに踏みつけられる。



「ぐあぁああ!!!!」


「おい、こいつを痛めつけておけ」


「「「「「はいよ」」」」」



 葛嶋が美香の肩を組んで、この場所から去っていく。



 俺はその後ろで5人の手下共に袋叩きされた。



 意識が消え掛ったその刹那、美香の顔が少しだけ見える。



 彼女は最後までとても悲しそうな顔をしていたのだった。



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