第4話 遺産の枯渇

淳平の一日は父がいる時よりも酷いものになった。

連日襲いかかる凸者や、中傷ハガキに業を煮やした近隣住民に怒られるのを避けながら冷凍食品や菓子パンを買い貪る毎日。

淳平は父がいなければ配信ができると非道極まりないことを考えていたが連日の凸でそれも叶わなかった。

そしてある日

ブツン!

「あれ?なんで電気切れただで?」

慌ててフリーWi-Fiのあるコンビニに向かい調べると電気代の未納のようだ

「電気代?なにそれ知らんだで…」

公衆電話から電力会社に再通の依頼をすることになった

「浜田さん、郵便受け見ました?」

「ミテナイ…ヘンナハガキバカリ…」

「はあ?変なハガキ?」

『変なハガキ』とは淳平を中傷したり過去の悪行を告発するハガキである。

「では担当者が催促に向かったときは?」

それもアンチの凸と思い込み居留守を決め込んでいた

「はあ…では明日の12時向かいますね」


翌日、淳平の顔を一目見た電力会社の職員は一目見て彼が要支援者であると感づいた

「本来なら口座かクレカ、それから請求書で払っていただくのですが…よろしければ毎月きましょうか?」

淳平は黙って頷いた

こうしてライフラインはどれも同じ対応で乗り切ることになった

彼は己の顔がイケメンではないと嘆いていたがその顔でどれだけ悪行をしても情をかけられてきたかの自覚はしていないようだ。


それでもアンチへの煽りやセクハラはやめなかった。そのたびに凸者がきて居留守、ストレスからドカ食いしたあとまた煽り…こんな生活でついにその時がきた


「浜田さん、お金足りませんよ」

電力会社の職員は困った顔でいった

ひとまず日延べを依頼しまず始めたのはSNSでの乞食行為だ。

しかしすでに「syabuに金を渡すのは野生動物への餌付けと同じだ」という戒めがネットには流布していた

次に妹たちに集ろうとしたがこれも無駄だった。すでに条件付き贈与で妹の行方はわからなくなっている。

「なんとかしやがれ…」

この期に及んでもまだ自力でなんとかしようとは思わず他人任せにしようとする淳平であった。

「国は何してるだで?オラを助けやがれ!」

驚いたことに淳平は生活保護について「調べて直接持ってきてくれる」という認識であった。

申請する必要があると気付いたのは電気停止の三日前のことであった。

ようやく淳平は重い腰を上げ生活保護の申請に役所にむかった。


「オカネナイ…クラセナイ…」

役所の福祉課でそう切り出した

(この人は障害があるな…軽く話を聞いたらすぐ保護決定が下りるだろう)

応対した役所職員はそう思い必要な質問をしようとした、しかし…

「ではどうしてお金がなくなっちゃったんですか?」

「なんで?なんでそんなこといわなあかんの?」

「え?なんでって…。これから生活保護受けるにしてもお金の使い方とかで話するかもですし」

「オラに指図するだで!?ヴー…オバエアンチ!オニ!アクマ!」

淳平はぷりぷり怒って役所を去ってしまった。

「なんやねんあの職員。あれは水際作戦?に違いないだで!」


そんな筋違いの恨みを抱きこの日は家でふて寝した。

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