『綾瀬蒼の物語』-小学生編-

🟦はじまりの章（小学生編）

――勝ち負けだけじゃない、少年たちの成長と絆を描く“はじまりの章”――

episode1〜episode10

■あらすじ

小学生の綾瀬蒼は、地元のジュニアサッカーチームで名を馳せる天才プレイヤーだった。ポジションは攻撃的MF、時にストライカー。彼にボールが渡れば、試合は動く。歓声が沸き、仲間が躍動し、敵は怯える。サッカーがただ「楽しかった」日々。

そんな蒼の前に、全国レベルのライバルたちが立ちはだかる。初めて味わう敗北。仲間とのすれ違い。けれどもそのすべてが、少年の中に“勝ちたい理由”を積み重ねていく。

これは、「てっぺん」を目指して走り始めた少年の、まだ痛みも知らない眩しい軌跡の第一章。

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■主な登場人物（Season1）

• 綾瀬 蒼（あやせ・あおい）

　ポジション：MF/FW（10番）

　チーム：城東イレブンズ（地元ジュニア）

　俊足とテクニックを兼ね備えた天才肌のプレイヤー。まだ“努力”や“挫折”という言葉に実感はないが、ピッチの上では誰よりも輝く。

• 如月 凌（きさらぎ・りょう）

　ポジション：DF（5番）

　チームメイトで蒼の親友。強靭なフィジカルと冷静な判断力を持つが、どこか影のある少年。

• 矢野 晴翔（やの・はると）

　ポジション：MF（全国選抜）

　全国選抜常連。蒼の前に初めて“本当の壁”として立ちふさがる存在。

• 蒼の父（綾瀬 直人）／母（綾瀬 美智子）

　両親ともにサッカーに関しては“素人”だが、蒼の才能を信じ、見守っている。

　ときに“親の期待”がプレッシャーとなる一面も。

• 監督：北原（きたはら）

　城東イレブンズの監督。蒼の才能に注目しつつも、チームとしての成長も大切にしている

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EP01「名前を呼ぶ声」

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【SCENE 01：朝・自宅前】

（カット：晴れた空、朝露のついたボールが転がる）

ナレーション（蒼）

「名前を呼ばれるのが、好きだった。

　それが“すごい！”って意味だと知ったのは、小学四年のときだった。」

（蒼がボールを蹴りながら登校。母が玄関から顔を出す）

母

「蒼ー！朝練もう終わりにして、遅刻するよ！」

蒼

「あと一回だけ！」

（ドリブルして、ゴミ箱をかわす。壁に当てたリフティングパス→ヘディング→ボレー。見事なフォーム）

母（苦笑）

「ほんとに、あんたの辞書には“ほどほど”ってないのね」

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【SCENE 02：グラウンド・午後／練習試合】

（カット：城東イレブンズ vs 市川ユナイテッド）

（ボールがセンターサークルに置かれる）

北原監督

「蒼。今日はいつもより1枚後ろ。攻撃も守備も、全体を見てくれ」

（蒼、うなずく。凛とした目）

ナレーション（蒼）

「どこにいても、ボールが来るのは僕だった。

　それは、みんなが僕を信じてる証だった。」

（試合開始。実況風に）

試合実況風ナレーション

「立ち上がり早々、蒼が中盤でボールをキープ――浮かせた！味方のランに合わせてスルーパス！

　抜けた、如月が走る！右足シュート――決まったァァァ！」

（チームメイトが駆け寄る）

如月

「マジ、あのタイミング、反則だわ」

蒼（少し照れつつ）

「でも、撃ったのは凌でしょ」

（笑い合う）

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【SCENE 03：試合・後半】

（相手チーム、10番・矢野が投入）

（瞬間、空気が変わる）

ナレーション（蒼）

「初めて、怖いって思った。

　“やばい奴が来た”って、感覚で分かった。」

（矢野が1人でDFを2枚かわす→ボールを奪う→ドリブル→強烈ミドル）

実況風ナレーション

「ズドンッ――！市川ユナイテッド、ついに同点！！これは、矢野の独壇場だ！！」

（蒼の表情が凍る）

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【SCENE 04：試合終了後／ベンチ】

（スコア：2-3、逆転負け）

如月

「……なぁ、蒼。

　もしかして俺たち、ちょっと天狗になってたんじゃねぇ？」

（蒼は何も言わず、ボールを見つめる）

ナレーション（蒼）

「“勝ちたい”って、はじめて思った。」

🟦Season1 - Episode 2

#『ライバルという存在』

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🎬【OP後・SCENE 01：放課後・帰り道】

（風に揺れるランドセルの肩紐。蒼と如月がボールを蹴りながら並んで歩いている）

如月 凌

「なぁ、蒼。昨日の相手、やっぱすげぇな、あの10番」

蒼（黙ってうなずく）

如月

「俺さ、逆にちょっとワクワクした。

　あんな奴がいるなら、まだまだ上があんだって思えてさ」

蒼

「……俺は、悔しかった」

（蒼が立ち止まる。手にしていたボールを見つめる）

蒼

「今まで、ボール持ってたら“勝てる”って思ってた。

　でも、昨日のアイツは……怖かった。負ける、って思った」

如月

「……それが“ライバル”ってやつじゃね？」

（風が吹き、落ち葉が二人の足元をかすめる）

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🎬【SCENE 02：チームミーティング・体育館】

（北原監督がホワイトボードを前に話している）

北原監督

「今回の敗因は、ひとりひとりが“勝ちパターン”に固執しすぎたことだ。

　チームで戦うってのは、信じるだけじゃなく“任せる”ってことでもある」

蒼（小声で）

「任せる、か……」

北原（続けて）

「そして次の練習試合は――」

（ホワイトボードに「全国ユース選抜・千葉キャンプ組」と書かれる）

（ざわめく子どもたち）

北原

「矢野晴翔が所属するチームだ」

（蒼の表情が動く。目に一瞬、炎が灯る）

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🎬【SCENE 03：グラウンド・夕暮れ／個人練習】

（蒼がひとりで、ゴール前に立てたカラーコーンをドリブル突破）

（全力で駆け抜け、フェイント、ターン、シュート）

（ボールはネットに突き刺さるが、本人は不満そう）

蒼（息を切らしながら）

「違う……スピードが、1テンポ遅い。もっと……速く。もっと正確に――！」

（背後からボールが転がってくる）

？

「焦りすぎじゃね？それ、怪我するよ」

（映像：矢野晴翔がグラウンドの端に立っている）

蒼

「……！」

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🎬【SCENE 04：蒼と矢野・初めての会話】

（矢野が歩いてくる。ボールを拾い上げる）

矢野

「偶然。この近くで強化合宿やってる。で、暇だったから散歩してたら……お前が見えた」

（蒼、やや構えた表情で）

蒼

「なんで来たんだよ」

矢野

「別に。興味あっただけ。

　“天才少年・綾瀬蒼”ってどんな奴かって」

（間）

矢野

「昨日の試合。お前、後半からプレーが雑だった。

　悔しさ、顔に出すタイプだろ」

（蒼が言葉を詰まらせる）

蒼

「……俺は、お前に勝ちたい」

矢野（笑って）

「だったら、立ち止まってんなよ。

　焦ってる奴にパスなんか来ねぇよ」

（矢野がボールを蒼の胸元にパス）

矢野

「“自分のため”だけじゃ、ボールは来ない。

　それ、俺が一番痛いほど知ってるから」

（蒼、言葉を失い、ただボールを見つめる）

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🎬【SCENE 05：練習試合・千葉選抜戦（前半）】

（場面転換：ユニフォーム姿の蒼たち、円陣を組む）

北原監督

「全員、やれることをやれ。

　信じて、任せろ。いいか、“お前が決めろ”じゃなくて“みんなで点を奪う”んだ」

如月

「俺らは城東イレブンズ。10人じゃねぇ。11人で、勝つぞ！」

（蒼、深く頷く）

蒼

「行こう」

（ホイッスル）

（キックオフ！スピーディな展開。千葉選抜が激しいプレス。蒼は中盤でボールを受けるが、すぐ囲まれる）

実況風ナレーション

「城東、ピンチ――！蒼、囲まれた！」

（蒼、一度後ろにパス）

（チームメイトが展開→如月がサイドを駆け上がる→クロス→中に飛び込んだ蒼がスライディングシュート！）

実況風ナレーション

「ゴオオオル！！チームで崩した見事な一撃！！

　先制点は城東イレブンズ！！！」

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🎬【SCENE 06：ベンチ・前半終了】

北原監督

「蒼、よく走ったな。でも何より、“任せる”って姿勢が見えたぞ。

　あの1点は、お前ひとりじゃ無理だったはずだ」

蒼（笑顔で）

「……はい。

　でも次は、自分でも決めたいです」

（仲間たちと笑い合う）

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🎬【SCENE 07：試合後・帰り道】

（夕暮れ、蒼が一人歩いている。前方に矢野の姿）

矢野

「1点目、良かったじゃん」

蒼

「……ありがとう。でも、次はもっと」

矢野

「言っとくけど、俺も止まらないから」

（すれ違いざまに、手を振る矢野）

（蒼は少しだけ笑って――空を見上げる）

ナレーション（蒼）

「“ライバル”って、敵じゃない。

　俺が、もっと強くなりたいって思わせてくれる奴のことだ」

🟦Season1 - Episode 3

#『背番号の重み』

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🎬【OP後・SCENE 01：蒼の部屋・夜】

（机の上、1冊のサッカーノート。開かれたページに「#10」の文字）

（蒼が静かにペンを走らせている）

ナレーション（蒼）

「10番。それは、ただの番号じゃない。

　任される重さ、期待の視線、背中で語る責任……。

　それに、俺自身が“それでいたい”って、願ってる。」

（窓の外、月明かりがノートを照らす）

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🎬【SCENE 02：朝練・グラウンド】

（冷たい朝の空気。霧の中でボールを蹴る音が響く）

（蒼、1人でクロスの軌道を繰り返し練習。胸トラップ→シュート→枠外）

蒼（息を切らしながら）

「……全然、精度が足りない……！」

（ボールを拾いに走る）

（如月が現れる）

如月 凌

「10番だからって、全部決めようとすんなよ」

蒼

「でも俺が――」

如月

「“俺が、俺が”って気持ちになると、周りが見えなくなる。

　10番ってのは、周りを活かす番号でもあるんだろ？」

（蒼、はっとして如月を見る）

蒼

「……お前、ほんとDFっぽい考え方するよな」

如月（ニヤッと笑う）

「お前が背負ってるなら、俺が支えるしかないだろ」

（蒼、少しだけ笑みを浮かべてボールを置く）

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🎬【SCENE 03：城東小・チーム集合】

（練習試合メンバー発表）

北原監督

「次の練習試合、対戦相手は市内強豪・高柳レッドスターズだ。

　蒼、10番を任せる。お前がチームの中心になれ」

（ざわつくメンバーたち）

チームメイトA

「やっぱ蒼かー」

チームメイトB（少し皮肉気味に）

「まあ、点さえ取ってくれれば、文句ないけどな」

（蒼、複雑な表情でうなずく）

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🎬【SCENE 04：高柳レッドスターズ戦・前半】

（観客の歓声。高柳の選手たちはフィジカルも技術も高く、組織だったチーム）

実況風ナレーション

「立ち上がりから押される展開！高柳レッドスターズ、ボール回しが巧みだ！」

（蒼が前線でボールを受ける→ドリブル→2人に囲まれ奪われる）

チームメイトB（苛立った声）

「おい、回せよ！一人で突っ込むな！」

蒼（悔しそうに唇を噛む）

（前半終了：スコア 0-1）

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🎬【SCENE 05：ハーフタイム・ベンチ】

（チームの雰囲気が沈む）

北原監督

「蒼、お前が背負うのは点を取る責任だけじゃない。

　チーム全体を“つなぐ”役割だ。

　ボールを運ぶ。味方を生かす。点を呼び込む。

　それが10番の、もう一つの意味だ」

（蒼、しばらく俯いたのちに顔を上げる）

蒼

「……わかりました。

　次は、みんなで“取りに行きます”」

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🎬【SCENE 06：後半開始】

（蒼、動きが変わる。無理に仕掛けず、サイドへの展開、ワンツーで局面を作る）

実況風ナレーション

「後半、城東の攻撃が活性化！蒼の配球からチャンスが生まれた！」

（如月が走り込んで、クロスをあげる→蒼が逆サイドから入り、冷静にインサイドキック）

実況風ナレーション

「ゴォォォル！！同点！！！

　見事な連携からのフィニッシュ！！蒼、これが10番のゴールだ！」

（歓声。仲間が駆け寄る）

如月

「ようやく“チームの10番”になったな」

蒼

「……まだまだこれからだよ」

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🎬【SCENE 07：試合後・帰り道】

（蒼と如月、汗まみれで並んで歩く）

蒼

「10番ってさ、想像してたより重かった」

如月

「でも、背負える奴にしか背負えないよ」

（蒼、少し前を向いて）

蒼

「俺、もっと強くなる。

　自分のためじゃなく、チームのために」

🟦Season1 - Episode 4

#『“負け”を知る強さ』

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🎬【OP後・SCENE 01：団地前・早朝】

（カット：朝露に濡れた芝の上を転がるサッカーボール。蒼がひとり黙々とリフティング）

（近くの歩道に、引越しトラック。段ボールを抱えた女の子がふと蒼を見る）

少女（モノローグ）

「すごいな……一回も落とさない……」

（その少女が一歩前に出る）

少女

「ねぇ、それって難しいの？」

（蒼が振り向く。少し驚いた表情）

蒼

「え……？」

少女

「その、足でボール浮かせてるの。私、見たことなかったから」

（蒼、少し照れてリフティングを止める）

蒼

「……慣れれば誰でもできるよ」

少女

「ふーん……じゃあ、私もそのうちできるようになるかな？」

蒼

「練習すればね」

（少女はにっこり笑う）

少女

「須藤唯っていいます。今日からこの団地に住むの。よろしくね、リフティングの人」

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🎬【SCENE 02：校庭・放課後】

（蒼、如月、チームメイトたちが次の大会に向けた練習）

北原監督

「今度の相手は、県ベスト4に残ってる桐山サザンクロス。

　フィジカルも、組織力も段違いだ。

　でもお前らの武器は、“つながり”だ。信じて、挑め」

（蒼、静かにうなずく）

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🎬【SCENE 03：団地・夕暮れ】

（蒼が帰宅途中、団地の階段下で唯が壁にもたれている）

唯

「おかえり、蒼くん」

蒼

「……名前、なんで知ってるの？」

唯

「今日、同じクラスになったから。よろしくね」

（唯、ランドセルの中から小さなサッカー雑誌を取り出す）

唯

「私、実は小さい頃からサッカー見るの好きなの。

　でもプレーはしたことないから、こうして近くに選手がいるの、ちょっと嬉しいかも」

（蒼、少し照れながら）

蒼

「……へぇ。じゃあ、今度試合あるから、よかったら見に来なよ」

唯

「うん！応援する！」

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🎬【SCENE 04：試合当日・桐山戦／スタジアム】

（大勢の観客。プレッシャー。蒼、緊張の面持ち）

実況風ナレーション

「県ベスト4の桐山サザンクロス、強烈な立ち上がり！プレッシャーが速い！」

（試合開始。蒼がボールを受けるが、プレス2人に囲まれてロスト）

（その後もパスミス、ポジショニングミスが続き、前半で2失点）

実況風ナレーション

「試合は完全に桐山のペース！城東、何もできない……！」

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🎬【SCENE 05：ハーフタイム・ロッカールーム】

（重たい空気が流れる。誰も声を発さない）

（蒼がゆっくり立ち上がる）

蒼

「ごめん、俺……自分ばっかりになってた。

　全部自分でなんとかしようって……勝たなきゃって、焦ってた」

（間）

如月

「……バカ。そんなの、チームの誰だって同じだよ」

チームメイトA

「やられっぱなしで終われるかよな！」

（みんなの表情が変わる。一人ずつ声が出始める）

北原監督

「その悔しさは、成長の糧になる。

　さぁ、もう一度行こう」

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🎬【SCENE 06：後半開始】

（攻防が続くが、得点できず。終盤、蒼が体を張ってボールを奪い返し、最後まで攻め続ける）

（試合終了――スコア0-3、完敗）

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🎬【SCENE 07：試合後・スタンド前】

（観客が帰り始める中、1人だけ拍手を続ける声）

唯（スタンド）

「ナイスファイト、蒼くん！！」

（蒼が顔を上げる。唯が手を振っている）

ナレーション（蒼）

「勝てなかった。でも、あきらめなかった。

　初めて“負け”を受け入れた日。

　あの拍手に、救われた」

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🎬【SCENE 08：団地・夜】

（蒼が階段下でリフティングをしていると、唯がやってくる）

唯

「3回しか続かないんだよね、私」

（唯がぎこちなくリフティングを始める→2回目で落とす）

蒼

「……でも、やめてないじゃん。

　それ、すごいと思うよ」

唯

「負けても、次があるって信じてるから。

　……だって、蒼くんもまた走ってたし」

（蒼、しばらく黙ってから――）

蒼

「……ありがとう」

🟦Season1 - Episode 5

#『俺たちの11人』

🎬【OP後・SCENE 01：放課後・体育館前】

（落ち葉の舞う夕方。蒼が校庭を歩くと、ボールを囲んで輪になっている仲間たちの声が聞こえる）

チームメイトA

「さすがに、あのままじゃまずいって！」

チームメイトB

「てか、俺ら、もっと話すべきじゃね？

　自分のポジションとか、動き方とか――なんとなくじゃなくてさ」

（蒼が静かにその輪に加わる）

蒼

「それ、俺も思ってた。

　今まで、上手くいってたのは“なんとなく”だったのかもしれない」

如月

「……もう、勝てなきゃ意味ねぇしな」

北原監督（オフで声だけ）

「お前ら、いい顔になってきたな」

（カメラ振り返ると、体育館裏で黙って聞いていた監督がにやりと笑う）

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🎬【SCENE 02：作戦会議・体育館内】

（ホワイトボードに選手の名前とポジションを書きながら、監督が語る）

北原監督

「今までのフォーメーションにこだわる必要はない。

　このチームの強みは、ポジションにとらわれない柔軟性だ」

（蒼→トップ下ではなく、やや低めの攻撃的ボランチへ）

北原

「蒼は一歩後ろ。前に出るタイミングは“判断力”で勝負してみよう」

（如月→センターバックから、リーダー的にディフェンスライン全体の統率役に）

北原

「如月は声を出せ。お前が舵を取れ」

如月

「……やってやるよ」

チームメイトC（今まで控え）

「え、俺スタメン！？マジで！？」

（全員、やや驚きつつも、空気に活気が宿る）

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🎬【SCENE 03：団地の階段下・夜】

（蒼が自主練をしていると、唯がやってくる）

唯

「今日、みんなで話し合ってたね。なんか楽しそうだった」

蒼

「……ようやく“チーム”になってきた気がする」

唯

「“勝ちたい”って、ちゃんと話せる仲間がいるって、いいな」

（唯が、蹴ったボールを受け止める蒼の姿を見つめる）

唯

「私も、何かできることあればいいのに」

（蒼、しばらく考えてから微笑む）

蒼

「来てくれるだけで、力になるよ」

（唯、少し照れて笑う）

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🎬【SCENE 04：練習試合・市原スカイブルー戦】

（新フォーメーション初導入。桐山戦の反省を活かした戦術）

（試合序盤、蒼がやや後ろからゲームメイク、サイドの選手が積極的に飛び出す）

実況風ナレーション

「ボールは中央で蒼がさばく！タイミングを見て、スルーパス――！」

（味方MFが裏に抜け、トラップ→シュート）

実況風ナレーション

「ゴール！！先制は城東！！繋ぎから生まれた、美しい得点だ！」

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🎬【SCENE 05：試合・後半】

（同点に追いつかれるも、如月が声を張り、味方を鼓舞）

如月

「前、焦るな！一回落ち着け！後ろから組み立て直すぞ！」

（如月→DFでインターセプト→ロングパス→蒼→ワンタッチで前線へ）

（全体が有機的に動くチームへと変わっている）

（終了間際、左サイドからの折り返しに蒼が走り込み――）

実況風ナレーション

「蒼が決めたァァァ！！！再びリードを奪う！！」

（ベンチも総立ち。ピッチの選手たちが集まってハイタッチ）

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🎬【SCENE 06：試合後・帰り道】

（蒼と如月が、泥だらけのユニフォームで並んで歩く）

如月

「なんか、今日の試合、俺……楽しかったわ」

蒼

「勝ったから？」

如月

「それもあるけど……“みんなで取った点”って感じがしたから、かな」

（蒼、うなずきながら）

蒼

「11人で、ひとつになれた気がする」

（夕陽に照らされた2人の影が、地面に伸びる）

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🎬【SCENE 07：ラスト・唯のノート】

（唯が家の自室。ノートに何かを書いている）

（見開きのページに「今日の蒼くん」）

・蒼くん、今日は後ろからいっぱいパスしてた。

・前だけじゃない“繋げる人”になってた。

・きっと、みんなからの信頼もパスされてたと思う。

（唯、照れたようにページを閉じる）

🟦Season1 - Episode 6

#『小さな背番号、大きな一歩』

（30分アニメ脚本形式／情景・心理・行間詰め／“控え組”主役の回）

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🔻追加キャラクター　今話初登場

• 二階堂 翼（にかいどう・つばさ）

　背番号14／ポジション：サイドハーフ（控え）

　快活でムードメーカー。ベンチでも声を出し、チームの空気を作る存在。だが内心では「ずっと補欠の自分」に焦りも抱いている。

• 岸田 悠真（きしだ・ゆうま）

　背番号16／ポジション：GK（控え）

　正GKの陰に隠れるが、黙々と努力を重ねる少年。プレーで目立つことはないが、誰よりも仲間の背中を見つめている。

• 佐々木 一誠（ささき・いっせい）

　背番号18／ポジション：MF（守備的）

　昨年まではスタメンだったが、今季ケガ明けで控えに。落ち着いた性格で、蒼や如月に客観的な視点で助言する存在。

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🎬【OP後・SCENE 01：ベンチ横・試合中】

（先週の市原スカイブルー戦の後半）

（映像はピッチ上の熱戦、しかしカメラはベンチ側にフォーカス）

二階堂 翼（立ち上がり声を張る）

「ナイス、蒼ぉぉぉッ！！ラスト5分、集中してこ！！」

（岸田が水筒とタオルを手に、ベンチ端まで走る）

岸田 悠真

「凌、これ！すぐ戻るよ！」

（ベンチに戻って、息をつく）

二階堂

「なあ、俺らって“出ない”けどさ……」

（佐々木が静かに返す）

佐々木 一誠

「“出ない”んじゃない。“出番を待ってる”んだよ」

（カット：試合終了直前の歓声）

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🎬【SCENE 02：練習翌日・チーム内ミーティング】

（監督がホワイトボードにメンバー表を貼る。控え組には変動なし）

（翼がじっと紙を見つめている）

二階堂（モノローグ）

「もう何試合、俺の名前は“予備”なんだろう。

　声を出しても、笑っても、内側はずっと、悔しいままだった」

（練習後、体育倉庫でボールを片付けながら岸田と話す）

岸田

「正直、出たいって思ってないと、嘘になるよな」

二階堂

「でも、チームが勝ったら嬉しいんだよな。変なの」

（佐々木が奥から出てくる）

佐々木

「その“変なの”が、チームの力なんだよ。

　出てなくても、支える奴がいる。

　“11人”だけで勝てる試合なんか、ない」

（沈黙。だが3人の中に静かな火が灯る）

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🎬【SCENE 03：次戦・強豪・東野レイヴス戦（前日練）】

（正GKが体調不良で欠場の可能性）

（岸田が急遽GKユニを着て、練習に入る）

北原監督

「岸田、今日はお前が入れ。可能性はゼロじゃない」

（仲間たちの目が変わる。蒼も驚いた表情で見つめる）

蒼（小声で）

「岸田が……試合に？」

（翼も手を止めて、その姿を見つめる）

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🎬【SCENE 04：試合当日・東野戦】

（観客席の後ろに唯の姿）

（試合開始直前、翼がベンチで深呼吸している）

二階堂（モノローグ）

「ベンチからでも届く声があるなら、叫び続けよう。

　“俺もこのチームの一員だ”って、証明するために」

（開始早々、蒼が倒されてPK獲得→キッカーは如月→シュート→GKにセーブされる）

（リバウンドを誰も詰められず、会場がどよめく）

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🎬【SCENE 05：後半・ベンチの叫び】

（ピッチに疲労の色、動きが重くなり始める）

（ベンチから翼が叫ぶ）

二階堂

「もう一歩いけるって！声出せぇぇぇぇ！！」

（その声で蒼が振り返る→うなずく→逆サイドへ展開）

（ゴールへ繋がるクロスへ！→同点弾！）

（仲間たちがベンチに駆け寄り、翼とハイタッチ）

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🎬【SCENE 06：終盤・GK岸田のプレー】

（相手のカウンター→1対1のピンチ）

（ゴール前で冷静に読み、足元でボールをカット）

（歓声！チームが盛り上がる！）

（ピッチ脇、唯が思わず立ち上がる）

唯

「すごい……！」

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🎬【SCENE 07：試合後・夕暮れのグラウンド】

（スコア：1-1 引き分け。格上相手に堂々の内容）

（北原監督が全員に向かって）

北原監督

「今日の引き分けは、ピッチに立った選手だけのものじゃない。

　支えた奴ら、声を出した奴ら、準備し続けた奴ら――

　“11人を動かした、もう一つの11人”のおかげだ」

（翼、岸田、佐々木、それぞれ顔を見合わせて、小さく拳を握る）

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🎬【SCENE 08：唯の部屋・夜】

（唯がノートに綴っている）

今日のヒーローは、

出てた人じゃなくて、ベンチで支えてた人たちかもしれない。

小さな背番号が、チームを守っていた。

……それって、すごくかっこいいと思った。

🟦Season1 - Episode 7

#『ラスト10分の勝負』

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🔻追加キャラクター（今話初登場）

• 赤嶺 豪（あかみね・ごう）

　背番号10／ポジション：CF／所属：赤羽ユナイツ

　爆発的な決定力を持つエースストライカー。小学生離れしたフィジカルとシュートレンジを誇り、蒼にとって“打ち負かしたい相手”の一人。

• 水野 玲司（みずの・れいじ）

　監督／赤羽ユナイツ

　冷静で戦術的。子ども相手でも容赦のない“勝利至上主義”のスタイル。

　「勝ち方を教えるのが俺の仕事」が信条。

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🎬【OP後・SCENE 01：前日・グラウンド】

（蒼が走り込み。蒼の声にチームが応えて連携練習を繰り返す）

蒼（モノローグ）

「勝ちたい。ただの一勝でも、それが次へ繋がるなら――

　この10番は、勝利にしがみつくための番号になる」

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🎬【SCENE 02：試合当日／対・赤羽ユナイツ】

（前半開始。赤羽のテンポが早く、次々に攻め込まれる）

実況風ナレーション

「開始5分――赤嶺が抜け出す！シュート！ゴール！！早すぎる先制！！」

（蒼たちの顔が強張る）

（その後も中盤を制圧され、立て続けに失点→スコアは0-2）

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🎬【SCENE 03：ハーフタイム・ベンチ】

（蒼、タオルで顔を覆う）

如月

「なあ、蒼……お前が前にいると、全員ついて行きたくなる。

　だから――引っ張ってくれ。勝ちたいんだよ、俺も」

（チームメイトたちもうなずく）

佐々木

「“繋ぐ”だけじゃない。

　“決める”蒼、見せてくれよ」

（北原監督も静かにうなずく）

北原監督

「お前たちは、もう“点を取れるチーム”になった。

　あとは――勝ちに行け」

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🎬【SCENE 04：後半／残り15分】

（スコア0-2のまま時間が進む）

（岸田が再び見せ場→1対1でビッグセーブ）

（そこからチームの空気が変わる）

（翼のベンチからの声→「あと15分！信じろ、自分たちを！！」）

（蒼、中央でボール奪取→左サイド展開→中へ戻ってスルー→如月のミドル）

実況風ナレーション

「決まったぁぁ！！城東、1点返した！！！1-2！！」

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🎬【SCENE 05：ラスト10分】

（蒼、ボールを持つ。敵陣深くで詰められ、身体をぶつけられる）

赤嶺 豪

「悪いな、“天才少年”。ここは勝たせてもらうぜ？」

蒼（ゼェゼェと息をしながら）

「勝たせない……俺が、勝つんだよ……！」

（蒼、ボールキープ→細かいターン→右足で強烈なパス→翼が走り込む→グラウンダーのクロス）

（中央で如月が引きつけて空いたスペースへ――蒼が飛び込む）

（スロー→スパイクが芝を蹴り→ボールにスライディングシュート）

実況風ナレーション

「決まったァァァァ！！！ラスト10分、ついに同点！！！2-2！！！！

　蒼、気迫のゴールだ！！！！！」

（観客、ベンチ、唯、全員が歓声を上げる）

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🎬【SCENE 06：アディショナルタイム】

（チーム全体が前掛かり）

（赤羽は動揺し始める。赤嶺のシュートはポスト直撃）

（カウンター発動→蒼がドリブル→3人に囲まれながらもボールキープ→パス→翼→如月）

（如月→浮き球パス→佐々木がスライディングでゴール前へ落とす）

（再び蒼――逆足でコントロール→タイミングを外してシュート！）

実況風ナレーション

「シュートォォォォ！！！！

　入ったァァァァ！！！逆転！！！！3-2！！！

　城東、劇的な勝利ィィィィィ！！！！」

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🎬【SCENE 07：試合後／整列】

（蒼と赤嶺が握手）

赤嶺

「負けたけど、いい試合だった。……またやろうぜ」

蒼

「うん……今度は、もっと余裕で勝つよ」

（赤嶺、にっと笑う）

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🎬【SCENE 08：試合後・夕暮れ】

（蒼が一人で芝に寝転ぶ→空を見上げる）

（唯がベンチ脇で手を振っている）

蒼（モノローグ）

「勝つって、こんなにも嬉しいんだ。

　この10番を“勝たせる番号”にしてやる。何度でも」

🟦Season1 - Episode 8

#『約束のゴールネット』

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🔻追加キャラクター（今話初登場）

• 綾瀬 直人（あやせ・なおと）

　蒼の父。元アマチュアサッカー選手。現在は仕事が忙しく、息子の試合をなかなか見に来られない。蒼に最初にサッカーを教えた人。

• 綾瀬 美智子（あやせ・みちこ）

　蒼の母。優しく支える存在だが、蒼の“勝ちたい”気持ちが強すぎることを少し心配している。

• 海斗（かいと）

　蒼が幼少期に出会った“初めてのサッカー仲間”。近所の公園で一緒にボールを追いかけた少年。引っ越しで別れたが、彼が残した“ある言葉”が蒼の原点。

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🎬【OP後・SCENE 01：休日・団地の公園】

（唯がベンチに座っている。蒼が少し遅れて到着）

唯

「お疲れ。最近の試合、すごかったね」

蒼

「ありがとう。……でも、勝ってもなんか心が騒がない時があるんだ」

（唯が首をかしげる）

蒼（モノローグ）

「気づけば“勝たなきゃ”ばっかりになっていた。

　あの日、何が一番楽しかったんだっけ――？」

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🎬【SCENE 02：回想・幼少期の公園】

（4歳の蒼、小さなゴールポストにボールを蹴っている）

（そこに現れるのが海斗）

海斗

「お前、ボールうまいな！俺と試合しよ！」

（2人で笑いながらボールを追いかける）

（夕焼け、ゴールネットがオレンジに輝く）

海斗

「なぁ蒼、ボールがゴールに入る時って、世界で一番“すごい”音がするんだぜ。

　“ドン”って、胸の中で響く音」

蒼（幼少）

「そうかな？」

海斗

「うん！その音、俺らでいっぱい聞こうぜ！」

（回想フェードアウト）

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🎬【SCENE 03：現在・蒼の家】

（蒼がアルバムを開いて、海斗との幼い写真を見つける）

美智子（母）

「懐かしいわね。あの子、引っ越してから音沙汰ないけど……

　蒼、サッカーを始めたきっかけって、あの子だったわよね」

蒼

「……そうだった」

（父・直人が帰宅。スーツ姿のまま蒼に声をかける）

直人（父）

「蒼、今度の試合、久々に見に行くよ。お前の“ゴールの音”を、聞きたい」

（蒼、驚いたように顔を上げる）

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🎬【SCENE 04：自主練・夕暮れの校庭】

（蒼がゴールネットに向かって全力でシュートを打ち込む）

（ボールが「バン！」とネットに突き刺さる音）

蒼（モノローグ）

「これだ。この音を、もっと聞きたい。

　海斗、今もどこかでサッカーしてるかな……

　俺、まだあの約束を覚えてるよ」

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🎬【SCENE 05：唯との会話・公園ベンチ】

唯

「“ゴールの音”？」

蒼

「うん。サッカーって、点を取るだけじゃない。

　誰かの心に響く音を鳴らすのが、一番楽しいんだと思う」

（唯が少し笑って）

唯

「じゃあ、私も聞きたいな。蒼くんの“響くゴール”」

蒼

「今度の試合、絶対鳴らすよ」

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🎬【SCENE 06：次戦・試合前のロッカールーム】

（蒼がチーム全員を見回す）

蒼

「今日は勝ちたい。でもそれ以上に、“響くゴール”を決めよう。

　みんなで作って、みんなで響かせる音を」

（如月がにやり）

如月

「そういうの、いいな。俺も“響く守備”しとくわ」

（全員、笑顔で円陣）

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🎬【SCENE 07：試合開始（描写ダイジェスト）】

（細かい試合描写：蒼が中盤でのキープ、如月のクリア、翼の突破）

（決定機→蒼がシュート！→ネットを揺らす“バンッ”という音）

唯（観客席で）

「……あ、これか。蒼くんの音」

（父の直人もスタンドから見ていて、そっと笑う）

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🎬【SCENE 08：試合後・父と蒼】

（試合終了後、父が蒼の肩を叩く）

直人（父）

「いい音だった。お前、ちゃんと“サッカーしてる”な」

（蒼、少し照れながら）

蒼

「……もっと聞かせるよ」

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🟦Season1 - Episode 9

#『追いかける背中』

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🔻赤嶺 豪（再設定＆掘り下げ）

• 赤嶺 豪（あかみね・ごう）／12歳

　ポジション：CF（ストライカー）／赤羽ユナイツ背番号10

　沖縄出身。元Jリーガーの兄を持ち、常に“比較される存在”。「兄より上へ行け」と家庭からも期待を背負っており、自らを鼓舞し続けている。

　勝利にこだわる理由は、“家族のため”。誰にも見せない焦りと怒りを心の奥に抱えている。

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🎬【OP後・SCENE 01：再戦前の知らせ】

（北原監督がホワイトボードを前に話す）

北原監督

「再戦だ。赤羽ユナイツ。前回ギリギリで逆転した相手だ。

　油断も、情けもいらん。勝ち切れ」

（蒼が拳を握る）

蒼（モノローグ）

「あの10番――赤嶺豪。

　勝ったはずなのに、今でも背中が焼き付いている」

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🎬【SCENE 02：赤嶺サイドの回想】

（赤嶺、試合後の夜、兄の部屋のトロフィーを見つめている）

赤嶺（モノローグ）

「俺の勝ちは、まだ誰にも認められてない。

　“豪は兄貴にはなれない”――

　そう言われた背中を、何度追いかけたか分からない」

（画面：幼少時、兄が得点王になった試合のビデオを何度も繰り返し見る豪）

（“兄を越えろ。お前ならできる”という父の声が響く）

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🎬【SCENE 03：試合直前・蒼と赤嶺のすれ違い】

（ウォーミングアップ中、蒼と赤嶺が一瞬、目を合わせる）

赤嶺

「前回は運が良かったな」

蒼

「そう思ってるなら、今日、証明してよ」

赤嶺

「そのつもりだ。“追いかける側”は、今日で終わりだ」

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🎬【SCENE 04：試合開始】

（前半、赤羽ユナイツの圧力が強く、城東は押され気味）

実況風ナレーション

「序盤から攻め立てる赤羽ユナイツ！中央の赤嶺がボールを受ける！」

（蒼がカットに入るが、体をずらされて交わされる→強烈なミドルシュート！）

実況風ナレーション

「ズドンッ！！先制点は赤羽！！赤嶺豪、容赦なしの一撃ッ！！」

（スタンドの家族席、赤嶺の父と兄が見つめる。兄は無表情）

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🎬【SCENE 05：前半終了・ベンチ】

（蒼が唇を噛んで黙っている）

如月

「お前、前と違うな。…怖がってる？」

蒼

「……ううん。あいつの“勝ちたい理由”が、伝わってきた気がして」

佐々木

「でもな、俺たちも負けられない理由、あるだろ？」

（翼が小さくうなずく）

翼

「ベンチでもずっと信じてるよ。だから、逆転しようぜ」

（チーム全員で円陣）

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🎬【SCENE 06：後半・蒼の覚醒】

（蒼がボールを受ける。パス→ワンツー→ドリブル突破）

実況風ナレーション

「蒼が切り裂く！この動きは前回以上だ！！」

（クロス→如月がヘディングで同点弾！）

（1-1）

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🎬【SCENE 07：ラスト5分】

（赤嶺がロングボールを収める→ワンフェイント→左足シュート→バー直撃！）

（跳ね返ったボールを蒼が拾い、カウンター開始）

実況風ナレーション

「ラストチャンス！！蒼、走る！！走る！！」

（如月→翼→蒼→左足のインサイド）

（スロー映像：ボールがゴール右隅へ吸い込まれる）

実況風ナレーション

「決まったァァァァ！！逆転ゴォォォル！！蒼がまたも勝負を決めた！！！」

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🎬【SCENE 08：試合終了・握手】

（赤嶺が手を差し出す）

赤嶺

「……今日の俺は、まだ“兄の幻”だったかもな」

蒼

「俺も、まだ“誰かの背中”を見てた。

　でも、少しだけ並べた気がした」

（固い握手。観客席から静かに拍手）

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🎬【SCENE 09：赤嶺兄弟の帰り道】

（兄が黙って歩いている）

赤嶺兄

「……豪。次の試合、見に行くよ」

（赤嶺、思わず立ち止まって目を見開く）

🟦Season1 - Episode 10

#『名前を呼ばれる日』

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🎬【OP後・SCENE 01：朝・校門前】

（校門の掲示板前、人だかり。紙に書かれた「地区選抜メンバー発表」）

（蒼、遠くからゆっくり歩いてくる）

蒼（モノローグ）

「名前を呼ばれるのは、嬉しいことだと思ってた。

　でもその日は、胸の奥が、ざわざわしていた」

（掲示板前――唯がそっと立っている）

唯

「……おめでとう、蒼くん」

（蒼が掲示板を見つめる）

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🎬【SCENE 02：教室・沈黙】

（チームメンバーが机につく）

（佐々木が無言で椅子に座る。翼が隣で気を遣うように目を伏せる）

（岸田は鞄を握りしめたまま、言葉を探している）

如月（ぽつり）

「……選ばれなかったやつも、俺たちのチームだよな」

（誰も、うなずかない。ただ静寂）

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🎬【SCENE 03：放課後・倉庫前】

（翼が1人、荷物を片付けながら蒼に話しかける）

翼

「サプライズ、ってやつだったらしい。

　“控えでも声出してた”とか、“最後まで走ってた”とかさ」

（少し笑う）

翼

「……でもな、たぶん俺、本気で嬉しいんだ。

　選ばれたってこと、やっぱり、ちゃんと見ててくれたんだって思えるから」

（目元が赤いのをごまかすように、倉庫の扉をガチャンと閉める）

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🎬【SCENE 04：グラウンド・夕暮れ】

（佐々木が1人でボールを蹴っている。蒼が遠くから見ている）

（やがて蒼が近づく）

蒼

「佐々木くん……練習、付き合うよ」

（佐々木、少し笑って）

佐々木

「……負けたな。

　お前みたいな奴に“声かけられたくない”って思ったのに、

　本気で悔しかったのに、

　でも、ちゃんとチームの10番してるなって思った」

（ふたり、無言でパス練習を始める）

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🎬【SCENE 05：帰り道・蒼と唯】

（団地の道。並んで歩く）

唯

「蒼くん……選ばれて、嬉しかった？」

（蒼、少し歩いてから）

蒼

「……うん。でも、同じくらい、苦しかった。

　名前って、呼ばれるだけじゃなくて――

　呼ばれなかった“声”も背負うんだなって思った」

唯

「……だから、名前って重いんだね」

（蒼が小さく笑う）

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🎬【SCENE 06：翌朝・教室】

（選抜組とそうでない者が一緒にいる）

（佐々木が笑顔で蒼に言う）

佐々木

「お前らが代表なら、俺たちの分までやってこいよ。

　“選ばれた意味”を証明してこい、綾瀬蒼」

（その一言で空気が変わる。皆が蒼たちを見て、笑顔になっていく）

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🎬【SCENE 07：練習再開】

（蒼たちがランニング、如月・翼・岸田が後ろから声をかける）

（そこに唯がグラウンド端で見ている）

唯（モノローグ）

「“名前を呼ばれる日”って、ただ選ばれる日じゃない。

　きっとそれは、“誰かを思い出す日”でもあるんだね」

つづく。