第4話 悪役転生だけど、幼馴染と仲良くしよう!
俺たちは、貴族向けのカフェのようなところに来ていた。
主に話しているのは母さんたち。
その会話の中で俺は、新たな情報を手に入れた。
母さんと親しげに話している美人さんの名前はエリー・キースさん。
そして、白髪の可愛らしい女の子がティアナちゃんだ。
ノット家とキース家は、昔からの友好関係にあり、母さんとエリーさんも幼い頃からの親友で、今も変わらず仲が良いとのこと。
しかも両家は、この国の四大貴族の立場にある。
四大貴族というのは、王族の次に権利を持っている存在のこと。
つまり、王族以外ではほぼ頂点の立場というわけで……。
アークの家が公爵の位と分かった時は「偉いんだなー」ぐらいに思っていたけど……。
四大貴族の1つと言われたら「めっちゃ偉いじゃん!?」と驚きである。
それに、残り2つの家の人物とは、原作で何やら深い関係がありそうだな。
でもそんな原作……やっぱり俺はプレイした覚えがないんだよなー。
俺が悪役に転生したのは確実だと思うけど!
そんなことを考えつつ、俺はケーキをうまうまと食べていた時。
「ところで、アークくんには許嫁などはいらっしゃるのですか?」
エリーさんが興味深そうに問いかけてきた。
「そうねぇー。昔のアー君だったら無理そうだったけど……今のアー君だったらもう、婿入り希望が殺到よね〜」
……やっぱり元々のアークの評判は相当、悪かったらしいな。
って、まだ俺10歳なのに許嫁の話になるの?
いや、異世界だと成人が早い分、結婚とかも早いんだっけ?
しかも、婿入り希望殺到って……。
また分からないことが増えたなー。
「それでしたら、ぜひ、うちのティアナを候補にしてください」
「っ!?」
さらりと爆弾発言をするエリーさんに思わず、ケーキが詰まりそうになる。
なんとか、紅茶で流し込んで落ち着いた。
しかし、エリーさんはにっこりと微笑んで続けた。
「ティアナはとても優秀で、小等部の魔法学園では常に首位ですし、傍にいれば安心です。アークくんを完璧に守ってくれるでしょう。何よりも、こんなに可愛いのですから」
「ティアナちゃん、可愛いわよね〜。ほんと天使みたいだわ〜」
確かに、ティアナちゃんは可愛いが……。
「それに、ノット家とは親友としてではなく、家族としても仲を深められたらいいと長らく思っていましたから」
「いいわね〜。素敵だわ〜」
エリーさんの言葉に、母さんもにこやかにうんうんと頷く。
いやいや、そんな軽いノリで許嫁候補を決めていいのか!?
これ、俺も賛同したら、このままティアナちゃんが俺の許嫁になる流れじゃないの?
あまりにも話が早すぎるだろ……。
ちらりと、ティアナちゃんに目を向ける。
「……」
ここに来てからも、彼女はほとんど口を開いていない。
最初は、単なる人見知りかと思ったけど……もしかして、過去にアークが何かやらかしたのかもしれない。
悪役ポジションの幼馴染なんて、1番被害を受けやすい立場だし。
もし、この場で間違った選択をしたら、ティアナちゃんまで悪役ルートに突入しかねない。
最悪、ティアナちゃんが悲惨な死を迎えることも……。
「アー君はどう思うかしら〜?」
母さんが俺に話を振ってきた。
そりゃ、どう思うかって……。
「俺は、まだ許嫁とかは早いと思うし……」
一拍置き、ティアナちゃんを真っ直ぐ見つめる。
視線を受けた彼女は小さく肩を震わせた。
……やっぱり嫌だよな、この話。
「それに、ティアナの意思が1番大事だと思うから」
きっぱりと告げると、母さんもエリーさんも同時にこちらを見る。
ティアナちゃんも驚いたように目を見開いた。
「ティアナ。言いたいことは、言えるときに言った方がいいぞ」
「!」
そう付け足した。
これでティアナちゃんが嫌なことは嫌っていってくれるといいけど。
口下手ってだけで損はしたくたいだろうし。
ついでに、俺の破滅ルート回避に繋がるかもだしな!
「……そうですね。アークくんの言う通りですね。私は娘の気持ちを優先するべきでした。ごめんなさい、ティアナ」
「い、いえ……私は大丈夫です、お母様……っ」
おっ、ティアナちゃん話せたな。
声も可愛いとは……。
場の空気がふっと柔らぐ。
これで一件落着……なので、俺は言葉を繋げる。
「ところでティアナって、魔法が使えるんだよね?」
突然の問いに、ティアナちゃんは少し戸惑ったように瞬きをした後……こくりと頷いた。
「す、少しだけだけど……」
「でも、魔法学園で首位なんだろ? 凄いじゃん! ティアナは頑張り屋なんだなっ」
「!!」
俺がそう言うと、ティアナちゃんの白い頬がほんのり赤く染まった。
俺はエリーさんの発言でもう1つ気になっていたのだ。
『ティアナはとても優秀で、小等部の魔法学園では常に首位ですし、傍にいれば安心です。アークくんを完璧に守ってくれるでしょう。何より、こんなにも可愛いのですから』
小等部の魔法学園にティアナちゃんは通っている……つまりは、魔力の使い方にはある程度、慣れているってこと!
何故か、母さんが講師を雇ってくれない中で……ティアナちゃんは希望の光である。
「良かったらさ、俺に魔力の使い方を教えてくれないかな?」
「えっ……?」
「俺も魔法とか使えるようになって自分の身は自分で守れるようになりたいからさ。それに、ティアナと一緒に練習できたら、楽しそうだし!」
「っ!」
ティアナちゃんは一瞬、目を見開いた後……顔を俯かせた。
あ、あれ? 調子に乗りすぎたかな?
「……いいですよ」
「ほんと! ありがとう!」
耳まで赤くしてそう言うティアナちゃんに俺は喜びの声を上げる。
「あらあら〜、アー君ってば、また魔力強化のことを考えて……」
「良いのではないでしょうか? 男の子とはいえ、自己鍛錬をしておいて悪いのとはありませんから。それに、ティアナも良いと言ってますし、私としてもティアナの良い刺激になると思いますから」
「そうかしら……。じゃあ、アー君。やると決めたらちゃんとやり遂げるのよ」
「もちろん!!」
これからは魔力強化もできる!!
俺と女遊びをするという計画がうまくいきそうだなー。
この時の俺はテンション爆上がりであったが……。
まさか、これがのちに……俺の女遊びを牽制する1つ目の理由になるとは思わなかった。
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