男女比変わったのに、俺の女遊びが成功しない
悠/陽波ゆうい
第一章 男女比1:9の世界に悪役転生?
第1話 悪役転生したけど、別に変わらなくて良くね?
多分、悪役転生したんだろうな。
俺がそんなことに気づいたのは、この世界に来て10歳になった頃だった。
理由?
まあ見れば分かるってやつだ。
やたら豪華な屋敷に住んでいて、選び抜かれたぐらいの美人メイドさんが勢揃いしていて……。
そのメイドさんたちは、俺と目を合わせるたびにピクリと肩を震わせるし、コソコソ話をしては、常に顔色をうかがっている感じがする。
俺自身も小太りで、吊り目気味……いかにも『ワガママ坊ちゃん』って感じ。
これはどう見ても主人公タイプじゃない。
悪役の方だ。
そして、この世界の男女比は――1:9らしい。
男女比が変わっていることは正直、そこまで驚きはなかった。
だって、創作物では「学園で男は1人」や「男女比1:1000」という、極端な設定を見てきたからな。
男女比1:9では、むしろ少なめに感じるくらいだ。
10人に1人は男ってことだろ?
全然、男いるじゃん。
でも、悪役転生にしては珍しい要素だよなー。
……ただ、引っかかる点もある。
男女比1:9の悪役転生系のエロゲやRPGを……俺はプレイした覚えがないのだ。
こういう転生モノって、自分がハマってたゲームとか読んでいたラノベの世界に飛ばされるものだろ?
しかしながら、不自然なくらい思い出せない。
記憶が曖昧……というより、最初から無い気さえするような……?
まあ、前世の記憶があることに気づいたばかりなんだ。そのうち思い出すだろう。
とりあえずは……。
「悪役転生したとはいえ……別に、女遊びって部分は変えなくて良くね?」
よく考えた結果、俺はその結論に至っていた。
本来の悪役転生ならば、悲惨な死や破滅ルートを回避するために真人間を目指すのが一般的。
もちろん、暴力や暴言なんかは論外だ。
人としての最低限のマナーは、どんな世界だって守らないといけないよな。
だが、女遊びについてはどうだろう?
それは変えなくていいんじゃないか――そう思った。
だって男女比1:9。
男が少ないということは、それだけ男の需要があるのではないか?
少なくとも、前世よりは女の子と触れ合える可能性は高い。
女の子の頭を撫でたり、あーんして貰ったり、耳かきして貰ったり……。
ちょっとくらい、女遊びしてもいいのではと思う。
それに前世じゃ、男子校出身で可愛い女の子たちとのイベントとは無縁だったしなぁ!!
とは言っても、女遊びをするにも準備はいる。
何もせずになんて甘い話だからな。
まず、筋トレをしよう。
メタボな身体ではダメだ。
健康に悪いし、見た目も悪い。
それに、女の子たちに「筋肉すごい〜♡」とか褒めてもらいたい!
身体を鍛え抜いてやる。
次に、魔力強化だ。
ここは異世界である。
剣や魔法の世界ということは、普通に生きていても死んでしまうことがある。
何より、俺は悪役の立場で命を狙われている可能性が高い。
せっかくの2度目の人生なのに死んでしまっては勿体無いので、魔力強化をやらねば。
そして、人にはもちろん優しくしよう。
優しくすることで、死ぬことも破滅ルートにもいかないだろうし、女の子たちとも良好な関係が築ける。
筋肉! 魔力! 優しさ!
三拍子揃った俺の、順風満帆な女遊び生活が今、始まる!!
「よぉし! 悪役転生したけどこの世界を楽しむぞ〜!!」
と……改めて振り返っていたら、もう夜中の0時だな。寝よっ。
そうして、俺は深い眠りについた。
これは、悪役に転生したと本気で思い込んでいる男が、実は『貞操逆転世界』に放り込まれていることに気づかず。
女遊びの準備を……この世界のヒロインたちに喰われる準備をしているという、もう手遅れな物語である。
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