第4話 僕、Vtuberになりました!〜ママの暴走編〜

 ねぇ、聞いてよ……

 昨日、ぼく、なんと――Vtuberデビューしました!!!!


 ……って言っても、きっかけはママなんだ。

 いや、正確に言うとね、最近ママが毎日小説を1話ずつ更新するだけになって、時間がめちゃくちゃ余っちゃったらしいんだよ。

 その結果――動画見たり、通販したり、夜中に謎のテンションでポチポチしたり。


 で、たどり着いた結論がこれ。

「うちの栗は、どこから見ても可愛いし、どの角度から見てもイケメンだし、

 もうこれはVtuberになるしかない!!」

 ……えっ、ちょっと待って。相談、なかったけど!?


「他のわんこが持ってる物、うちの子もぜ〜んぶ揃えたい!」

 ???……人間、恐ろしい。


 ■ 気づいたら、ぼくの装備がすごいことに!


 ・毛につけるだけのミニマイク(磁石でくっつくらしい)

 → ママ「壊しても大丈夫!2個あるし、また買えばいいよね♡」

 → ぼく「いや、壊さない前提で頼むよ!!」


 ・背中に装着する、ずーーっと撮れるアクションカメラ

 → ママ「最新モデルもう注文した!でも届くのちょっと先〜!」

 → ぼく「お、おう……」


 ・パパが選んだ謎センスの洋服たち

 → パパ「オレのセンスに文句あるのか?」

 → ぼく「(正直、ある)」


 ・そして――でっかい80cm超えのスティッチぬいぐるみ

 → ママ「栗のために買ったんだよ♡」

 → ぼく「……でも昨日の夜、ママが抱いて寝てたよね???」

 結果、ぼく――吠えて、くるくる回って、ふて寝。


 こうして、ぼくのVtuber生活が幕を開けたのだっ!


 ■ 記念すべき初動画『ごはん日記』


 完成した動画は10分くらい。

 ……でも実際、ぼくが食べてたのは20分以上!!

 その間、ママとパパが何度も「カットーー!!」って叫んで、

 おやつ、没収5回。

 さっきまで噛んでたニンジンが口の中にあるのに、

 次のミートボールが――ない!?

「はい、撮り直し〜」

「セリフ噛んだ」

「栗が可愛く撮れてない」

「パパが後ろで足音立てた」

 ……そんな理由で、ぼくのごはん、出たり引っ込んだり。


 ぼくの心の声は、ただひとつ!

「早くごはんください!!」


 ■ そして今日:2本目の撮影!


 ママと大きな公園に行って、1時間半もお散歩したのに――

 完成した動画、7分。

 ぼく、何回もカメラに向かって全力疾走したのに!?

 採用されたの、たった2回!?


 しかもアップになってたのは……

 ぼくじゃなくて、ハスの花とハチ。

 ズームまでされてるの、なんで!?


 ママ:「秋に見られる最後のハスの花なんだよ〜儚くてロマンチックでしょ?」


 ロマンより、ぼくのかっこいい顔を撮ってください!!


 でもまあ……確かに自然はきれいだった。

 もし池に入れたら、あのハスの花に「チュッ」てしたかもしれないな。

 だから一生懸命、首をぐいーって伸ばしてアピールしたのに――

 ママ:「あっ、ごめん、撮れてなかった!」


 もう〜〜!この足手まといママめ〜〜!!


 ■ それでも、なんだか幸せな毎日。


 この2日間で、ぼくの世界はぐんと広がった。

 ママ:「栗!撮影でごはん間延びさせる=カロリー調整=ダイエット成功!えらい私!」

 ……はいはい、ママの勝ちでいいよ。

(チラ見して、ため息。しれっと目をそらすぼく)


 どうやら次に届くカメラは、水の中でも撮影できるらしい。

(みかん:秋に泳ぐのは寒すぎない?)


 走りながら撮るのもできるんだって!

(カボチャ:その前にリード外せる草原、探さないとね)


 ……うん、そろそろ話すことも尽きてきたかも。

(コメ:いや、どうせまたママに振り回されるんでしょ)


 まぁ、なんだかんだ言っても――

 ぼく、ママのことが大好きなんだ。

 そして、ママもきっと、ぼくのことが大好き。


 🎥チャンネル名は……

 ああ、そうそう。チャンネル名は「栗は、長生きしたい」。

 うん、小説とおそろいだね。

 このチャンネルは、ぼくが元気に食べて、歩いて、成長して、

 そして、いつかママと離れるその日までを記録する場所。


 ――そして今日は、ぼくがVtuberになった新しいスタートの日!

(ママ:昨日じゃない?)


 とりあえず、今日はもう疲れた。

 ママが名前呼んでも、牛肉ジャーキー見せても、ぼく――無視。

 フンッ、今日はもう動かないからね!


 新しい動画、ぜひ見てね。

 見てくれたら、ぼく大喜びでしっぽふるよ〜🐾

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る