『青いバナナが笑うわけ』

それでも

青いバナナは笑った

「好きにすればいい」



例えば、青いバナナがあったとしよう。

緑色で、熟す前のきれいなやつ。


青いバナナは

まだ甘くないし

毒も含んでいた


なのに

「甘い」だけをみんなで押し付けて

勝手にむこうとする


置いておくと、勝手に黄色になる。

甘くなる。

放り過ぎると斑点ができて、それでも、中身が無事で最高に甘くなる


見放すと真っ黒になる

皮をむくと

それでも最高潮に甘いか

残念ながらぐちゃぐちゃに腐っているのだ。

むいてみるまでわからないんだけど。


もしも。

バナナが出荷されたくないとしたら。

そのまま木になっていたかったら?


たぶん、メロンになりたいなんて思ってなくて。

メロンの代わりになってやろうなんて思ったことない。

そのまんまで、いたかったのかもしれない。


だけど、ポテンシャルはあったので。

まわりが放っておかなかった。


「あはは〜、困ったねぇ、好きにしてよぉ?」


こうして、緑色のバナナはメロンの代わりではなく、限りなく近いのに、別の何かにされて、諦めたのかもしれない。



──ただ、そのままで

受け入れてほしかっただけ、なのに。


それでも、青いバナナは笑っていた。

「好きにしたら、いいよ。どっちでもいい。もう、どうでもいいんだ」


──甘いか、腐っているかは、むいてみるまでわからないのに。


ただ、そのままでいたかっただけ、なのに





《舞台裏》

バナナについて、今まで考えたことなかった。あえて、擬人化して話しかけてみたら、とんでもない病みをかかえていて、びっくりしたね。


うん、夏場って痛みやすいし仕方ないね。冷凍庫で缶詰のパイナップルやみかんと一緒に凍らせるのもおすすめ。


ゴメンて、ちゃんと美味しく食べるよ。


アルミホイルに、包んで野菜室もよい保存法らしい。


腐らせても、美味しいのかなコレ?

みんなは、バナナをどうしたいの?


たぶん、笑って受け入れてくれるんだろうけど。


案外、毒バナナは凍らせたら、釘が打てるくらいの、とんでもない武器の可能性


花は凍らせるとバラバラになるけど。

バナナってめっちゃ強い説。


多分、仲良くした方がいい。

栄養バランス大事かもしれない、ね?


朝食やおやつにしてる。

ありがとう!バナナ!!


 #寓話 #短編 #比喩詩 #果物の気持ち #ちょっと病んでるけど平和

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