第13話 大好きとありがとう
(どうする……ここから逆転できる方法は⁉ 何か、無いか……いや、学習しろ、アイツの動きを全て理解しろ!)
『……ふーっ』
「はぁあーーーーっ」
二人して居合の構え。なら、先手必勝。
〝一刀閃華〟
斬撃の瞬間に触手を拡張し、その威力を伝える剣。
勇者のように風圧剣は使えない、なら腕を伸ばせばいい。伸ばせる腕があるのなら、俺は何度でも使おう。
守るために、俺は!
『あ……』
「? どうしたの……?」
勇者が魔王(違う)を心配するなよ――。
まあでも、
『……いやぁ、可笑しくてなぁ。
「……にししっ。 やっぱり面白いや……優しい魔王だよキミは!」
『……さぁ、話は――』
「うん、これくらいにしよう」
今できる、最高の技を―――!
速度の百花繚乱
手数の千変万化。
そして、身体を最大限使う螺旋剣。
この全てを動員し、目の前のライバルを打倒する!
身体を限界まで圧縮し、バネのように捻る。
ちさなんに聞いた東洋の技術……螺旋に纏めた膂力を一気に開放。
そして、総勢百本の触手を展開。
先端を鋭利にして貫通力を高める。それを超高速で薙ぎ払う、俺だけの剣技。
≫スキル発動を確認。専用絶技001を習得。
(おっせーよ……だけど――――――ナイスタイミング)
『……これが俺の全力だ!』
〝
勇者を百本の触手刀が襲う。
しかし、勇者は――――――、
「すごい……すごいよ。ならおれも、最強の技で応える!」
『⁉』
なんだ……アイツの威圧感が、膨れ上がった⁉
エネルギー急上昇、防御不能、回避不能――――――〝死〟。
「―――
勇者の剣から光――――闘気が溢れ、山をも越えるかという巨大な刀身を生み出した。
それが、落ちてくる。降ってくる。
怖い。
これが恐怖。
死。
絶望。
死にたくない。
死ぬ。
ダメだ……もう、どうしようもない。
全力で逃げたって、範囲外に逃げられない。
なら、やることは一つだ。
「スライムくん……!」
ちなさんを、死んでも守る!
『――――――うぉおあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ――――――ッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』
咆哮と絶叫。
そんなものでスライムの膂力が上がるわけでもない。
だけど、叫ぶ。叫んでやる。
少しでも……1%でも
でも、現実は無情だ。
連撃が押し切られる。
もう、この手はダメだ。なら、次だ。
次の行動を起こせ、スライムである俺よ。
お前の身体は、何故弾性を持っている。何故、不定形な形状をしているのだ!
攻撃から、衝撃から身を守るためだろ。
ならそれを、大切を守る為に活用しろ!
『ごめん、ちなさん』
「え――――――⁉ すら」
「「「⁉」」」
ちなさんが言い切る前に彼女の全身を俺の肉体で包み込む。
これで、ちなさんだけは助かるはずだ。
「むぐぅぅうう……ダメだよ! スライムくん!」
喋れるのか。
はははっ、おもしれー声してらぁ。
……そこで見ていてくれ。
『俺の、最後の雄姿をな!』
二つだけ、言ってなかったことがある。
でも、これは言わない。
言ってしまえば、彼女の心に傷を負わせると分かっているから。
……心というものを、知ってしまったから。
ただ、ただ――――――!
ありがとう。
――――――そして――――――大好きだよ。
「だめぇええええええええええええええええ――――――っ!!!!!!!!!!」
光の大剣が身体に触れ、俺の肉体は吹き飛んだ。
そして一つだけ残ったのは、彼女の手に。
俺の、スライムの命――――――水色の魔石。
それだけだった。
「――――っ! スライムくぅうううううーーんっ!」
その時確かに、俺の命は潰えた。
そこで、物語は――――――終わらない。
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