スライム、成長す。
ronboruto/乙川せつ
第1話 誕生と無垢
ここは剣と魔法の世界。
多くの人間種――ヒューマン、エルフ、ドワーフ、ホビット、獣人、巨人や、他にも妖精、精霊、屍人、吸血鬼等多くの種族が生きる大地。
それらの共通の敵とされる生物、それが魔物。
魔力の塊である魔石を核として生まれる凶暴な存在。龍などといった凶悪な魔物は国すらも滅ぼす。
そしてその王、魔王。
人間にとって最も大きな災害であり、魔物を統べる者。
しかしこの物語は、魔王など関係ない(と思われる)お話。
一匹のスライムの成長物語。
◇◇◇
(……)
そのスライムは、《森》で生まれた。
スライムは基本的にどこにでも生息できるが、この森には魔力も多く、魔物の楽園となっている。
親個体から分裂して生まれ、新しい生命となった。
≫ユニークスキル・《繋がる者》が発現。常時発動を確認。
そう、それがこのスライムの最強スキル(スライム比)。
権能としてはただ単純。学習速度・習得速度の極限加速。
事実上、下級魔物が使用不可な魔法以外の全てを習得可能になるということ。
ただし、一般スライムができることの延長線上に限られるが。
しかしながら、生まれたばかりのスライムにそんなことは分かるはずもない。
他の同族と同じように、草木を喰らい、日陰で休むといった生活を繰り返していた。
「…………」
「…………」
スライムたちはノーマルスキル・念話を用いて意思疎通をとっている。
口がないため進化した能力だ。
といっても自我が薄い魔物の念話は何がしたいか、どういう気持ちかといった原始的な情報しか流れない。
犬同士が吠えるよりも単純な会話。
そして誕生から99日。
「…………⁉」
イレギュラースライムであるそれが足を滑らせ、洞穴に落下した。
「―――――~~~~~~!」
べちゃり、と嫌な音を立てて岩に激突。
未知の領域であるそこに、スライムは僅かな高揚感を感じていた。
目がないスライムは魔力感知・物体把握の技能に長けていて、それを用いて空間を調べていると、何か目立つ物体を発見。
それは、岩に突き刺さる《なにか》だった。
光る装飾、金属でできているそれは、一種の神器のようにも思えた。
「…………?」
疑問が芽生える。
これは、自然に生まれたものだろうか?
しかし、他に似た存在は見たことがない。
勿論、同族にこんなものは作れない。
なら、何が創ったのだろうか?
知りたい。未知が目の前にある。生まれて初めての感情。
それがスライムの中で弾け合っていく。
まるで実験をする科学者のように、口の無い体で笑っていた。
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