君だけに秘密の約束

ミナ

第1話 偶然の秘密


春のやわらかな陽ざしが図書室の窓から差し込む。


高校2年生の月瀬愛華は、静かな空間で本のページをゆっくりめくっていた。図書部に所属していて、読書と絵を描くことが好きな彼女は、クラスでは陽キャと陰キャの間にいるような控えめな性格だが、密かにモテるタイプでもあった。


「おはよ、愛華」


幼なじみであり、何でも話せる親友の花咲結衣が明るく声をかけてきた。結衣は元気いっぱいで、彼氏もいる。愛華にとって大切な存在だ。


「おはよ、結衣。今日もいい天気だね」


結衣が窓の外を見やると、学校のバスケ部キャプテンで、みんなの憧れの的、進堂蒼馬が颯爽と歩いていた。三年生の蒼馬は、告白された回数が二十三回もあるという噂で、明るく面倒見のいい人気者だ。


愛華は視線を逸らし、本に集中しようとしたが、緊張で手が滑ってしまう。大切にしていた本がすべり落ちてしまい、慌てて拾おうとしていると、背後から穏やかな声がかけられた。


「落としたよ。えっと、月瀬さん?かな?」


振り返ると、蒼馬が優しく本を差し出していた。その瞳は真剣そのものだった。


「ありがとうございます……」


愛華は照れながらも、先輩に対して敬語で答えた。


その時、廊下から騒がしい声が聞こえ、蒼馬は眉をひそめて立ち上がる。彼はその場へ向かい、クラスメイト同士のトラブルを穏やかに収めた。


再び戻ってきた蒼馬は、愛華に向かって静かに言った。


「これ、誰にも言わないでくれる?秘密にして」


愛華はその言葉に驚きつつも、彼の誠実な瞳に心を動かされる。


「はい。必ず守ります」


それが、二人の間に生まれた小さな秘密の始まりだった。

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