悪人が登場しない?!完全無欠なやさしい世界 〜『電気』魔術を極めたら理想郷はぶっ壊れた〜
UMA
序文
生きている『今』に違和感を覚えたことはないだろうか?
それは夜一人で寝ようとする時、何の予兆もなくふいに訪れたりする。
心と身体が分離し、身体が巨大な物体に置き換わり、心が押し潰されてしまいそうになる。
ロボットに乗っていて、視野いっぱいの映像を見せられているような感覚。
その感覚に意識を囚われ続けていると、時間の流れが遅くなる。
実際、時計から聴こえる秒針の間隔も長くなる不思議な体験。
同時、得体の知れない恐怖がにじり寄って来る。
『グー、パー、グッ、パッ』
両手を眼の前に広げ、握って開いてを繰り返す。
ちゃんと思い通りに手が動くことで、身体との繋がりを確認する。
恐怖は少し遠のいた。
だが、まだ終わらない。
次、生きている『今』に違和感を覚える。
心が無性にナニカにしがみつきたくなる。
生きている『今』が不安定で、本来はもっと安定した別の何処かにいるように思えてくる。
それを意識した途端、『今』への恐怖が身体の芯まで染み渡る。
あまりの恐怖に耐えきれず、声を出すか立ち上がって身体を動かす。
そうすることで、内への意識を紛らわせて進行を阻んでいた。
この違和感を追求し続けると、これまで積み重ねてきた自分を続けることが出来なくなってしまう。
漠然とだが、そんな予感がする。
物心がついてから幾度か、こんな違和感と恐怖を繰り返してきた。
何歳になっても、終わることも慣れることもない。
ただその日は、恐怖を乗り越えていつもより一歩踏み込んでしまった。
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