第10話:運命



「あ!魔法で拘束する前にちょっと見ておきたいことがあるから良い?念の為!」



 これから魔法で拘束して分解を始める予定だったがキキがふと思い出してイッセイに許可を求めた。

「構わないけど・・・なんかあった?」

「うん、念の為!分解とか外部からの衝撃?とかが加わったら何か起こる仕組みになってるかなって。分析魔法くらいじゃ問題なくても例えば攻撃魔法にだったらこの機械が反応しちゃうとか!条件満たしたら動いちゃうならその条件が何かをもし探れたらって・・・!」


 キキが言いながら巨大機械メカに近づいて前回と同じように魔法を使った。




 ヴォオオンーーーーー









「キキ様が魔法を使うデス!」

「光ってるわっ!!しかもピンク色だわ!!ああ言う感じの可愛い色のマスクが良かったわっ!!」


 キキがココを出した時以来、遠くから初めて魔法らしい魔法を見たリリ。


「全く意味わからないわね!!」

「あれは分析魔法デス!あの謎の大きいのを分析してるんデス!」

「魔法って、使い過ぎたら疲れたりしないの?あんなに大きな光となんか機械の周りをぐるぐる文字みたいのが巡ってるけど」

「キキ様ほどなら、そこまで疲れないデス!さっきの話の続きで、核探しの為の力の配分を間違えて暴走してしまったらその時は流石のキキ様も意識を飛ばしてしまうかもとは元の世界の狐神キツネがみ様達が言ってたデス!」

「意識を飛ばすよりも暴走の方が怖いわねっ!何が起こるのよ?!」

「キキ様暴走したこと見たことないのでわからないデスっ!」

「ちゃんとアナタが見張ってて頂戴」

「もちろんですっ!」









 ゴォオオオオオオーーーーー


「魔法耐性アリ!!攻撃魔法時に何か対抗する反撃魔法式が組まれてる!それ以外にも外部からの衝撃を感知した場合に機械的プログラムが組まれてる・・・っ!分解するのちょっと待った方が良いかもっ・・・!」


「・・・でもいつ機械が動き始めるかわからないだろう。何か他に手はないのか?」



 キキが分析をしている少し後ろで最上が質問した。一旦魔法を解いたキキがイッセイたちの元に戻ってきて最上の質問に答えた。


「速さを優先するならこの場所を封鎖して、周囲も衝撃に備えた上で爆破させるくらいしか思いつかないわ!それなら一瞬だから!硬いところは無傷だとしても、内部の配線だけでも破壊できれば良いでしょ!物理的衝撃に対抗できるのは電子的なものだけらしいから。魔法で何とかしようとしてもそれに対する魔法式が組まれてるから私じゃ壊すことは出来ないわ!」

「あの大きさを物理的破壊するとしたら多分通路が近過ぎて無理だな・・・防壁を準備するにしても今日中の手配は・・・」

 イッセイが防壁の材料の手配と設置を提案し、その指揮を取ることになるだろう最上を見た。

「今日は無理だ。早くて明日明け方だ」

「また朝早くかいっ!!年寄りが全員お天道様より早く起きる訳じゃないかんなっ!!?」



「だけど、このまま放置するのもなぁ・・・」

「娘!防壁に変わる魔法は出来ぬのかっ?!」

「出来るけど、でも、魔法がその時にちゃんと発動し続けられるかわからないわ!一応前回と今は魔法を使えたけど、最初にこの世界に来た時に魔法が使えなかったのも気になるから、大事な時にポンコツになるのは嫌だし。っていうかもし爆破の時に限って魔法が効かなかったらこの辺壊れちゃって困るのアナタ達でしょ?」

「ぐぬぬぬぬぬっ!その通りでぐぅのねも出んわっ!!」



 最上は早速防壁の手配を始めるが、イッセイとキキが念の為の保険としての作戦を考える。あーだこーだとずっと話しているが中々に良い案が出ない。ずっと離れたところで見ていたリリは全員に声を掛けた。



「ねぇ!!全然決まらないならお弁当食べながら決めましょうよっ!!!」













「んーー!!五目おにぎり美味ひぃーー!!」

 キキが頬に片手を添えて大層美味しそうに嬉しそうな顔をして食べる。

「やっぱり魔法使うとお腹は減るのよねぇー!しかも相手の腹の中を探るような魔法って神経使うし!!」


 通路に戻って、シートを敷いて一行はお弁当を食べていた。


「ばあさんの五目握りと唐揚げの相性が・・・!!くぅーー!最高じゃわい!!」

「この揚げたお芋さんが美味しいデス!!赤いソースつけるともっと美味しいデス!!」

「ココ!アナタ私と食の好みが合うのね!!これはフライドポテト!!そしてこの赤いのが『ケチャップ』よ!!」

「美味しいデスーー!!」




 ほのぼのとご飯を食べているがイッセイだけが緊張を解けなかった。おにぎりを一口食べただけでその続きを食べるの忘れてずっと左手に持ったままでいる。あぐらをかいた右足の上にパソコンを置き、右手だけでずっと動かしている。



「攻撃魔法への何かしら反応を起こす対反撃魔法・・・物理的衝撃に対しての電子プログラム・・・つまり時限式が組まれている場合は、時間が来ない間はこちらが何もしなければ勝手に動くことはない可能性があって、しかし、遠隔の可能性も捨てきれない。キキが読めない時限式は、隠されているのか、そもそも時限式を組まれてないのか・・・」




 ずっとブツブツと言うイッセイをキキは隣で卵焼きを齧りながら見ていた。イッセイはご飯を食べるのを忘れている。



「こんなもんじゃよ。パソコン与えてたら常にこんなんじゃ。機械オタクじゃからなっ!」

「本当、機械の虫ね・・・」

 リリが呆れた顔をして言った。


「大体動くならもう動いていても良いだろうに・・・やっぱり動けない理由があるのか?魔法が遠隔で使えない・・キキもこの世界に来たばっかりの時は使えなかったが今は使えてる・・・。キキの魔法が使えて遠隔は使えない・・・」

 昨年、異世界人だが魔法を使える人間がいると初めて知った。リリのいた世界の人間の話だ。しかし、実際に見た事はなかった。一年経って、今キキが目の前に現れた初めて魔法を目視した。


 今までは自分の意思とは無関係に異世界に飛ばされてわけがわからない人とは違い、今は『自分の意思で異世界にきたキキ』『それを追ってきたであろう謎の巨大機械』そして『沢山の異世界の存在』。そして『核』の存在。


 全て初めての情報であり情報過多な状態なのだが、どれも大事な情報で何一つ捨て置く事はできない。全てを含めて考えなければならない。

 しかし、安易に核の情報を最上には言えない。できれば全てを穏便に済ませたいイッセイ。最上は色々配慮してもらっているがやはり機関の人間でしかも指揮官である。彼を丸め込むこと自体は問題ないが、それで機関の応援や手助けを借りてしまったことが後で露見した時が問題だ。

 彼の地位が危うくなる。降格や退所位で済めば良いが、反逆者、隠蔽などと言われて罪人扱いされた場合はあまりにも不憫である。



「これはっ・・・!!」

「パパどうしたの?」

「美味いっーーー?!」

「おばあちゃんのご飯すごく美味しいでしょ?!」

「こんなにバランスの取れた味付けの料理があるのか・・・!」


「・・・お前さんたちの家のメシは普段どんなん食わされてるんじゃ?」



 この隣に座っている一家族の幸せも考慮して



「んんーーー!!やっぱり卵焼き美味しいわー!!ほら!イッセイも食べなさい!!はい!あーん!!」



 反対側に座っているこの女性と、その精従、そしてこの者たちの帰りと核を待っている異世界の者



「何どさくさに紛れてイッセイに変な事してるのよ!!」

「リリさん、そんなに変なことではないデス!餌付けです!!」

「十分変なことよっ!破廉恥だわっ!!」


「女子に興味が無い奴程モテるこの法則、ワシ納得いかんわー!孫ながらにー!」



 そして、自分の大切な家族のその平穏と幸せを護る為に


 考えを止めることは出来ないのである。







「ーーイ!」



「・・・・イッセ・・・!」



「こらイッセイーーー!!」


 自分が考え込んできる間に随分と周りが仲良く、そして楽しそうにというかだいぶ賑やかにご飯を食べていることに気づき始めたイッセイ。


「・・っ!!ごめん、ちょっと考え事してた」

「ちょっとじゃないわよ!!ずっと考えてたわよ!!おにぎりまだ一口しか食べてないのよ?!ポテトはリリちゃんとココが全部食べちゃったわよ?!」

「あぁ・・・ポテトは良いよ」

「ほら!!卵焼きとっておいたから食べなさい!」


 キキがイッセイに再び卵焼きを食べさせようとした時だった。



「あ、最上さんお疲れ様です。・・・お食事中でしたか、すみません」



 スーツを着た長身のとんでもない顔面偏差値の高い男性が扉を開けて入ってきた。


神風かみかぜか、どうした?」

「んぉわっ!!?イケメン太郎か?!久しぶりじゃな?!」

時雨しぐれじゃないの!!おにぎりだけならまだあるわ!!食べなさい!どうせ今日まだ何も食べて無いんでしょ?!」

「あ、はい。そうなんですがそれよりも巨大機械メカについて周辺住民からの問い合わせがやはり増えてきて・・・」



 その男性が周囲を見て一人の女性・・・キキを見た。


 そして、キキもその男性を見て目が合った。


 その瞬間ーーー





「ふごっ??!んんーー!!んんーーー?!」



 イッセイの口の中に卵焼きと箸が喉元まで突っ込まれた。

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