悪を持って制しよう
西音寺 秋
第1章~終わりと始まり~
プロローグ 終わりと始まり
「グハッ…。」
黒いローブに黒い仮面を付けた私ことリオン=アークライト。またの名を『空虚のリオ』は剣に胸を貫かれ血の海へと崩れ落ちた。
─ あぁ…。これはもう助からないな。
「やった…。魔王軍参謀『空虚のリオ』を討ち取ったぞ!」
周囲の有象無象がそう騒ぐ中、変装が解けた私を見て顔を青ざめさせた人物が1人だけいた。
─ 私を剣で貫いた『勇者リオナ』ことリオナ=ヴァレンシュタイだ。
「…。そんな…。何故貴方が…。
ポロポロと涙を流しながらリオナは私を抱きしめた。
─ まぁ、ショックだよなぁ…。何せ
「…。私の身に…。何があったかくらいは知ってるだろ?リオナ…。」
「知ってるけどっ!!だからって何故よっ!!」
「全てを…。壊したかったからだよ…。全て奪われるだけの世界なら私は…。いらない。」
私は吐き捨てるようにそう答えた。
─ 父も母も妹も殺され、挙げ句自分は頭のおかしい連中に実験体にされ…。家には戻れたが父の弟を名乗る人物に家は取られ、厄介者扱いだ…。嫌にもなるさ。
「そんな…。」
「…。コラ、リオナ…。『勇者様』が悪人の死にそんな顔しちゃダメだろが…。ましてや泣いちゃダメだろ?」
「そんな事言われても無理だよっ!!」
「…。まったく困った子だなぁ。だが、もう早くここから去るんだ。ここ、『
─ ここ、『夢幻城』は私の衣装同様、私のユニークスキル『創滅』で創った物だ。私がもうすぐ死ぬ以上、ここはもうすぐ消滅する。
「ごめんな…。こんな道しか選べなくてさ…。」
「そんな事いいよ。いいから…。死なないでよっ!」
リオナは強く私を抱きしめた。
─ 無理を言わないでくれよ…。
「それはもう無理…。だな…。さあ、早く行くんだ…。城が崩れる前にここを…。出るんだ。」
「嫌だよ!!リオン兄ちゃんも一緒じゃなきゃダメだよ!」
「わがまま言わないでくれ。私を…。心配…。させる…。つもりかい?」
「そ…。それは…。」
「…。良い子…。だから…。私に構わ…。ず…。行く…。ん…。だ…。」
パタリと私の手は糸が切れたように床へと投げ出された。
「リオン兄ちゃん!!嫌だよっ!目を覚ましてよっ!私、まだ貴方にっ ─ …。」
私の意識はここで途切れた。
これか私の人生だった。
世界を恨み憎んだ私は悪として勇者に倒された。
「ハズだったんだよなぁ~。」
そして、倒されたはずの私はどういう訳だか5歳の頃に戻っていた。
そして、ここで私は気が付いた。今なら私を襲ったあの悲劇を全て無かった事に出来ると言うことを。
「悲劇なんてくそ食らえだ!私は全てを取り戻して見せよう!そう…。例え悪となろうとも。」
こうして私の運命への反逆が始まった。
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