【現在改稿を超えて改稿中】男女比1:100の世界で、魔法の才能がある僕は、特例の2年前倒しで学園に入園しました。けれどそのせいで、貞操が奪われそうです……

白染 虚

プロローグ

“ ○△□○視点 ”        


 外部からの光が遮られ、唯一キャンドルに灯された炎だけが部屋を照らす。部屋にはキャンドルの置かれた机と、木製の椅子がそれぞれ1つずつ設けられている。


 中央に設けられている椅子には、美しい銀髪をもつ少年〈ルネット〉が手足を椅子に縛られ座らされている。さらにルネットは目隠しをしており、細い首には首輪が巻かれている。また、その首輪からは”悍ましいほどの力”を感じ取れる。


〝チャリ‥、‥チャリ〟


 ルネットが縛られている小さな体で動いた。どうやら意識が戻ったらしい。ルネットはとても賢い子である。だからか、すぐに自分が置かれている状況に気づいた。それからは死に物狂いで、拘束を解こうと抗っていた。


 途中、ルネットは”魔法”を使おうと意識を集中させていた。ルネットはこの世界で唯一の、”無詠唱魔法”の使い手である。ルネットは魔法を行使すれば拘束が解けると考えたのだろう。だが、その考えは儚く散った。


〘首輪〙


 ルネットに巻かれている首輪は、”魔力封じの首輪”と言い、魔力を奪い魔法に制限を掛けるという滅多に手に入らないはずの品物である。それがルネットの首にはつけられている。


〝チャリ‥‥、ガタゴト、チャリ‥‥‥〟


 ルネットは焦っているように見える。筋力が人一倍弱い彼にとって唯一の頼みであった魔法が使えなかった。それは、彼が拘束を自力で解くことができないことを示していた。


〝カチャ〟


 部屋にたった1つしかない扉がゆっくりと開かれた。そして、とある人物が入ってきた。ルネットは音のした方向、つまり扉の方向を目が見えないながらも向いた。


 その様子からは”恐怖”を感じ取れた。まぁ、監禁されていれば当たり前に抱く感情であろう。だか、ルネットの恐怖は何かが違った。


 なにか、目の前にいる人物が誰か分かっており、監禁されたという行為より、”その人物に恐怖”するかのように。


 そして声を聞き、一層おびえる。心の奥を見透かされているような、少女の声を。


△□△○□:「やぁ、ルネット!調子はどうだい?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る