第3話.⑦

 課題に手を付ける。

 国語も問題集は、多い。

 この量は、先生のせいではないのかもしれないけど。


 異常だよ。この学校は、ブランド感覚で高校を選んでしまった私も悪いのかもしれないけれど。大学に入ることが、人生においてどれだけの意味をもつのか――そんなことが分かるのは、5年もあとのことだと思うけれど。でも、そのために3年の月日をかける価値があることなのかに関しては分からない。


 時は金なりと、日本人も欧米人も言う。

 それでも為替のように時の価値は変動する。

 忙しい日の休憩時間はとても貴重で、作業時間は重要ではない。

 とてつもなく暇な日はまるで逆、何か出来ること出来る時間を欲する。


 乙女の十六から十八歳の希少な三年は、今後の人生を、生きる世界を得るために必用なのかと考える。たぶん、その不等式は偉い学者が人生を費やしても解けない式だろう。そして、たぶんこれは数学ではなく、国語の問題だ。いや文学の問題かもしれない。


 私は頭を切り替える。

 目の前の、問題を解くことを。

 そこには、問題集。

 その隣には、ケータイ。

 あの日のメール。




 私が解くのは、どっちの問題だろう。

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