ソロでダンジョンに潜っていたら、S級モンスターを討伐しているところを配信され鬼バズってしまいました。

八宝菜美人

第一章 ダンジョン配信者への道

第一話 ダンジョンにはソロで潜るな

 ダンジョン、それは人類にとって最高の未知。


 未知の宝や、未知の魔力、人類に夢と希望をもたらした、そんなダンジョンが世界各地に現れてから十余年、ダンジョンは我々の生活に多大な影響を与えた。


 まず、ダンジョンの中の不思議な武器や道具は人類の常識を覆した、永遠に燃え盛り続ける炎の剣、何度壊れても再生する盾、透明になるマント、中でも長距離を瞬間移動するボタンなんてものは国家間で取り合いになったほどだ。


 そして何より、ダンジョンの中に現れるモンスター、非常に好戦的で、ダンジョンの中にノコノコと入ってきた者を攻撃してくる。危険度の低いものならば一般人でも必死で戦えば辛勝といったところだが、それ以上のモンスターには命がいくらあっても足りない。


 おまけにダンジョンの中では銃火器…中、遠距離武器の類が意味をなさない。何故かというと、魔力の存在が邪魔をするからだ。


 ダンジョンの中では魔力が全て、魔力でないとモンスターにダメージを与えることはできない。そしてその魔力は人々の体の中に、多い少ないはあれど存在する。


 ダンジョンの中ではその魔力を自由に扱える。拳や武器に纏ったり魔法を使ったり。しかし銃火器の類には魔力が通りづらく、魔力が通ったとしても、銃弾が放たれれば、それに纏われた魔力は使用者から離れれるにつれ消えていく。だから基本的にダンジョンの中で重火器はNGだ。


 じゃあどうやって倒すのか、さっき言ったように魔力を纏わせた剣や拳、そして魔法だ。


 ダンジョンの中では魔法が使える。ダンジョンの中で見つかる魔導書で魔法の使い方を学び、魔法を使う、意外とこれは努力が大事らしい。しかし魔法の威力は絶大、魔力を消費して炎の玉を放ったり雷を落としたりできる。これは魔導書によって覚えられる魔法は変わる。


 で、そんなすごい魔法を覚えたとしても、1人でダンジョンを攻略できるかっていうとそうではない。ダンジョンの中のモンスターも様々、魔法が効きにくいやつ、飛ぶやつ、単純に硬いやつ、魔法を使ってくるやつ。


 勿論1人で全部カバーできるわけがない。3人以上のパーティで戦うことを国から推奨されてる、剣とかの近距離で強いやつ、魔法を使える遠距離で強いやつ、あと一人は奇襲を仕掛ける暗殺者とか、罠を探知するスカウトとか、聖職者、タンクとか、これはダンジョンによって必要な人材も変わる。


 ソロはほぼ自殺志願者か、よっぽど腕に自信があるやつか、基本的にソロでダンジョンを攻略するっていうのは異常者だ…まぁ


俺はソロだけど・・・・・・・


 俺、丸崎 童がんざき どうはソロダンジョン攻略者だ。今もダンジョンに潜っている。


 さっき色々と講釈たれたが、スマン、自虐も含んでる。でもまぁ実際言ってる事自体は正しいのだ。


 ダンジョンっていうのはマジで危険で死と隣り合わせ、その危険を少なくする為に、ダンジョン攻略者っていうのはパーティを組んでお互いの弱点をカバーし合う。


 だけど、それじゃあスリルがない・・・・・・


 生きるか死ぬか、ダンジョンの中では明日がある方が珍しい、強敵と戦い、死に物狂いで生きるために戦う。そんな戦闘が俺は好きだ。


 背中を合わせられる戦友だとか、いざという時に頼れる仲間もいなくていい、俺はこのスリルを味わうためにココにいる。


「ワイバーンが二匹…ランクは確かBか、下層にしては結構キツイな」


 空飛ぶトカゲを発見する、まだ気づかれていない。モンスターの中でのランクはE級からS級があって、Bは上から3番目だ。結構っていうかマジ強い。S級は近年追加されたSPECIALランクってやつで、最初はAまでしかなかったからその頃は2番目だ。それが二匹、結構死ねる。


 ダンジョンは基本的に上層、中層、下層、近年発見された深層と、下になるにつれ強いモンスターが湧く。このダンジョンでは下層が、開けた空洞の洞窟のような広いフィールドになっている。このダンジョンはそれほど難易度が高くないが、ヤバい所だと普通にA級がうじゃうじゃいるらしい。


 「気づかれてないなら、まぁ奇襲を仕掛けるか」


 まずワイバーンの羽を撃って機動力を無くし、地上戦で岩とかの立体物を遮蔽物にして隠れながらガンガン撃っていこう。


 と、二丁拳銃を抜きながら考える。


 おいおい、銃はダンジョンじゃアウトなんじゃなかったのかと思うかもしれないが、この銃はダンジョンの素材を使って作られた特注品なので落ち着いてほしい。


 この二丁拳銃、まぁ使い勝手がいい、ことダンジョンにおいては。


 ダンジョン産の銃っていうのは実弾じゃなくて、魔法みたいな魔力弾を放って攻撃する。引き金を引けば簡単に魔力弾が放たれるから、魔法よりも速射性に優れるし、扱いやすい。その代わりに威力、射程は魔法に劣るから、まぁ一長一短。


 俺は魔法を覚えられるような努力家でもないし、剣とか拳とかよりはこっちの方が飛ぶ相手とかに対応出来る、そんな理由で銃を持ってるんだ。


「3…2…1…ドン!」


 距離を詰め、2匹のワイバーンの死角から魔力弾を放つ、放たれた魔力弾は2匹のワイバーンの片翼を貫く。


 慌てるワイバーンは先程こちらをいた方を睨むが、俺は撃った後すぐ岩陰に隠れたから見つからない。


「ギィギ!」「ギィシャーー!!」


 2匹のワイバーンが口から炎の玉を吐き出し、あちこちを焼いていく。炙り出す作戦か…ちょっとマズイな、このままじゃこっちに撃たれるのも時間の問題だ、さっさと両翼落とそう。


「コッチだノロマ!」


 岩陰から飛び出し、2匹のワイバーンの撃たれてない方の片翼を撃つ。元々片翼を撃たれてぎこちなかった飛び方が、更にぎこちなくなる。


「ギイ…!?」「ギギッ!ギィィ!!」


 慌てふためく2匹のワイバーン、こちらに向かって火の玉を乱射するが、コッチは距離を詰めつつ2匹のワイバーンの翼を狙って魔力弾を放っていく。


 2匹のワイバーンは翼を撃たれ続け、地面へ墜落する。


「残念だけど、これで終わりだ!」


 墜落した2匹のワイバーンの頭に魔力弾を何発も何発も撃ち込む、B級の生命力は半端じゃないから、これでもかってほど撃ち込まないと奇襲食らって死ぬ、妥協してはいけない。


「ギッ…ィイ…」「ィ…ギイィ…」


 2匹のワイバーンは力尽き、塵となって消えていく、残ったのは輝く石だけだった。


「B級の魔石2個、でも小さいな…やっぱB級の中でもそんな強いやつじゃなかったか」


 魔石っていうのはダンジョン攻略者がダンジョンへ潜る理由の一つでもある。


 魔石には未知のエネルギーが眠っている、このエネルギー資源がめっちゃくちゃ効率いいってんで、高く買い取られる。大きい魔石であればあるほど純度が高く、価値も高い。強いモンスターであればあるほど魔石も大きくなるのでダンジョン攻略者は強いモンスターと戦うってわけだ。


「やっぱ飛ぶやつはだめだな、翼撃たないと一方的になっちゃうけど、墜落したらしたで一方的だ、スリルがない」


 なんてボソボソと呟きながら、魔石をしまう。


「これで今日はB級8匹目、A級いないなー、そろそろ帰ってもいいけど、進むか帰るか…どうせなら進もう、A級と戦いたいし、深層手前まで進んで、それでもA級がいなかったら帰ろう」


 この判断が後に、最悪の結末を導く・・・・・・・・のだが…この時の俺は、知る由もなかった。

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