1話・モン娘に助けられて
なんとか動くようになった体を起こして、『宝物庫』のある部屋へと逃げ込む。
「ここなら…」
通路を抜けてゴブリン達を迎え撃つ。改造P90モデルガンのBB弾にマヒ薬を流し、撃つ。
パパパ!
ストンピングパワーは実銃に劣るも、肌に傷を付けるくらい出来る。
「ぎゃっぎゃ?!」
パパパパ!
がむしゃらに弾をばら撒いて、怯ませるだけで良い。少しずつ毒が回ってゴブリン達の動きが鈍くなる。
「オレに構うな! お前らのボスを弔うなりしてやれよ!」
人語を理解するかわからないモンスターへの、ただの命乞い的な妄言なのかも知れない。
パパン!
やっぱり、ゴブリン達は二の足を踏みながらも諦める様子がない。
パン!
こっちの弾数も目減りし、もう水場を使ってタクティカルバトンを振り回すしかなくなる。
「くそっ!」
パンパンパン!
最後の銃弾を使い切って、『宝物庫』に向かって走る。
「え?」
そこで気付いた。
『宝物庫』である正方形が開いている…? いや、まずゴブリンをどうにかしないと。
傷が海水で痛むがオレは水辺へと入る。
「え?」
そこで気付いた。
「……」
「カオー?!」
なんで女の子の顔が水面から出てる?! こっちを睨んでるんだけど!!
「死にたくなければさっさと走り抜けろ」
水面から裸の上半身を出した女性は、シッシとオレを後方へと促す。
「喧しいぞ、騒音機どもが。【ファイアーファング】」
彼女の生み出した炎の獣牙が、一瞬にしてゴブリン達を噛み砕き焼き尽くす。
一旦は無事を確認して、オレは助けてくれたのだろう女性に話しかける。
「……アナタは? いや、スキュラ? この階層まで降りてくるのは珍しいな…」
危険とはわかりつつも、視線を外して、その目端で蠢くタコのような触腕から彼女の正体を理解した。
まぁ、一応はお礼言う。
「ありがとう」
「小煩い雑魚を倒しただけ…と言いたいところだが、何の間の話し相手だったからな。あぁ、ドーマへの慈悲に感謝しているんだ」
「そ、そう…」
顔を赤めて理由を話されると、変な関係だと勘違いしてしまいそうになる。透き通るような白い長髪に、艶のある黒い肌は蠱惑的って言うのか。
「えっと…『宝物庫』を見てくる」
「う、むぅ…」
スキュラの複雑な表情を見ていられず誤魔化す。あっちが気になるのは本当だ。
今のところ、存在だけがウワサされているだけに『宝物庫』…。
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