ミサイル攻撃

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 ──ミサイル攻撃



 ミサイル巡洋戦艦シャルンホルスト級、マッケンゼン級。


 今のところ、この世界でミサイル巡洋戦艦を名乗る艦艇はこの2種類だけである。


 ともに主砲とともにビーネ艦隊防空ミサイル、そしてハッサー対艦ミサイルを大量に装備し、他の艦艇と比較して攻撃力を高めた艦艇である。


 このハッサー対艦ミサイルというのは、オストライヒ空軍の前身であるオストライヒ陸軍航空隊がかつて運用していた初期の巡航ミサイルをから進化を遂げたものだ。


 誘導は慣性航法と終末誘導にアクティブ・レーダーホーミングを用いる。つまり一定の距離までは何の電波も発さず飛行し、敵艦隊に近づいた時点でミサイル自身に搭載されたレーダーで目標を探すのだ。


 このハッサー対艦ミサイルをシャルンホルスト級では10発、マッケンゼン級では12発搭載している。まさにミサイル巡洋戦艦だ。


 このシャルンホルスト級のシャルンホルスト、グナイゼナウの2隻とマッケンゼン級のマッケンゼン、グラーフ・シュペーの2隻がコロンビア海軍の艦隊に向けて前進し、狙いを定めていた。


「潜水艦からの情報の解析完了です。敵艦隊の具体的な位置と進路が出ました」


「よろしい。発射準備に入れ」


 シャルンホルストではハッサー対艦ミサイルの発射準備に入っていた。


 慣性航法を行うジャイロスコープに方位などの位置情報を入力し、ランチャーを目標に向ける。そして、ランチャーが完全に敵艦隊の方に向けられると──。


「撃ち方始め!」


 次々にランチャーから対艦ミサイルが発射される。


 シャルンホルスト、グナイゼナウから計10発、マッケンゼン、グラーフ・シュペーから計12発。敵艦隊を葬り去るための対艦ミサイルが発射された。


 ハッサー対艦ミサイルは高度200メートルを飛行して進み、慣性航法で飛行を続ける。この接近にまだコロンビア海軍が気づいていない。


 コロンビア海軍が搭載しているレーダーは海面反射や地球の曲率などで、太平戦の向こうから低い高度で接近する対艦ミサイルを早期には探知できないのだ。


 ハッサー対艦ミサイルはコロンビア海軍に気づかれぬまま進んでいき、コロンビア海軍が探知したときには既に手遅れな位置に迫っていた。


「対空戦闘、対空戦闘!」


 口径40ミリ機関砲や口径127ミリ速射砲が火を噴き、対艦ミサイルを迎撃しようとするが、高速で飛来するそれを相手にはなかなか難しい。


 またコロンビア海軍の艦対空ミサイルはセミアクティブ・レーダーホーミングであり、母艦からレーダーで誘導する必要だった。しかし、そのレーダー誘導が行えるのは1、2機程度の目標に対してであり、何十発ものミサイルには無力。


 ハッサー対艦ミサイルはは一部が迎撃されるも、コロンビア海軍の戦闘艦に突入して弾頭の爆薬を炸裂させた。


 駆逐艦ならば一発で沈む威力の爆薬を食らって、駆逐艦は轟沈。軽巡洋艦と重巡洋艦も大打撃を受けた。


 満身創痍のコロンビア海軍は撤退を開始。沈んだ駆逐艦の乗員を救助し、それから戦闘海域を離脱していった。また戦闘艦の後方を進んでいた輸送船団も引き返し始める。


「とりあえずは勝利だ。これからどうなるかは分からないがな……」


 マルシャル上級大将はそう呟いた。


 コロンビア海軍の壊滅は、コロンビア合衆国政府に動揺と怒りをもたらし、彼らはオストライヒと神聖同盟に対して『戦争状態』であることを宣言。正式な宣戦布告は行われないままに両陣営は戦闘に突入した。


 コロンビア海軍大西洋艦隊はまずアイスランド付近に集結。


 その存在感を誇示すると同時に、彼らはある作戦に打って出た。それはアイスランドから戦略爆撃機と飛ばし、アルビオンを爆撃するという作戦だ。


 最初に目標となったのは、アルビオン海軍の拠点であるスカラ・ブレイ湾だ。


 コロンビア空軍の戦略爆撃機部隊は途中まで護衛戦闘機の護衛を受けながら飛行し、アルビオン島に向けて飛行。


 当然ながらアルビオン空軍はレーダーでこれを探知し、迎撃準備はいる。


 空軍基地から要撃機が発進し、迫る戦略爆撃機の編隊に向けて飛行。


『目標視認、目標視認!』


 そしてアルビオンの要撃機は戦略爆撃機に襲い掛かった。


 コロンビアの戦略爆撃機は搭載されている前大戦から変わらず装備されている機銃などで応戦するが、ジェット戦闘機を相手に効果的とは言えなかった。


 1機、また1機と巨大な戦略爆撃機が撃墜されて行く中でも、耐えた戦略爆撃機がアルビオンの海軍基地上空に到達して爆撃を実行。


 大量の爆弾と機雷が降り注ぎ、これによってアルビオンの戦艦1隻と駆逐艦3隻が打撃を受けた。さらに降り注いだ機雷によって一時的に海軍基地は使用できなくなってしまうという被害が。


 しかし、コロンビア側も多くの戦略爆撃機が撃墜されてしまい、その損害を前にこれ以上の護衛戦闘機なしでの爆撃は中止されることになる。


 さて、どうしてコロンビアが稚拙な作戦でもアルビオン海軍の基地を叩くことを急いだかと言えば、コロンビアはアルビオン侵攻を企図していたからだ。


 アイスランドの海軍基地では、大西洋艦隊は十分な支援が受けられない。それ故にアルビオンをまずは下し、そこを拠点としてオストライヒに侵攻するという計画をコロンビアは立てていたのだ。


 そのため戦略爆撃機による港湾攻撃そのものは中止されず、次は空母の援護を受けて行われた。空母艦載機の護衛を受けて、戦略爆撃機はアルビオンの海軍基地に対する爆撃を実行した。


 これにはアルビオン側も苦戦を始め、港湾施設は次々に打撃を受ける。、


 オストライヒもアルビオン救援のために空軍を派遣してるものの、オストライヒは東で今まさにルーシと交戦中だ。そこまでの戦力は抽出できない。


 それでもオストライヒはアルビオンの救援のために大きな作戦に打って出た。


 それは敵空母に対する攻撃だ。


 海中に潜む潜水艦がアルビオン沖の複数のか所に潜伏し、偵察を行う。その目的はコロンビア海軍大西洋艦隊の空母をとらえること。


「艦長。空母と思しきスクリュー音を検知しました」


「来たか。すぐに通報しろ」


 今回オストライヒ海軍は彼らの誇る大洋艦隊を展開していない。敵空母艦載機とアイスランドからの飛行する哨戒機が、先に行われたような攻撃を警戒しているからだ。


 そこで主役になるのは潜水艦隊である。


「敵艦隊の位置の報告を受けた。これより攻撃準備に入る。浮上!」


 潜水艦にもハッサー対艦ミサイルは装備されている。ただし、潜水したまま発車することはまだできない。発射のためには一度浮上する必要があった。


「撃ち方始め!」


 そのハッサー対艦ミサイルを装備した潜水艦が複数の方向で浮上し、一斉にコロンビア海軍の空母に向けてハッサー対艦ミサイルを発射。


 コロンビア海軍の空母に向けて十数発のミサイルが飛来した。


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