第17回 理解
「では、水野雄二さんと妻緑さんとの話し合いにうつります。」
弁護士が述べると、雄二がそれを遮った。
「君にも聞きたい。どうして不倫したんだ。俺はそんなに悪い夫だったか。俺は君を大事に思っていたし、君を愛していた。それなのになぜなんだ。」
雄二の目や表情は、怒りというより悲しみや失望に満ちていた。
「不倫した女がこんなことを言って信じられないと思いますが、私は、今日自分の本心をあなたに伝えたいと思って来ました。聞いてもらえますか。」
「分かった。」
「ありがとうございます。」
「私は、あなた、雄二を心から愛しています。一人の人間として尊敬しています。美紀と真紀の父として最高の父親です。私はあなたと家族でいられて幸せでした。美紀と真紀は私の宝物です。私の命より大切です。」
「それなのになぜ・・。」
そう、その答えを私は言わなければならない。
「その答えを言ったら、あなたはきっと気分を悪くする。私はあなたに伝える覚悟をもってきましたが、もしあなたが聞きたくないと思えば言いません。」
「言ってくれ。」
雄二は覚悟を決めたようでした。
「私は、小倉の私の体めあての甘い言葉やプレゼントの攻勢に負け、体を許してしまいました。彼とのセックスの快感は、私の女としての欲望を呼び覚まし、私はその欲望に溺れ、私の理性は負けて、不倫を続けました。」
話しながら、涙があふれた。でも私は話すのをやめてはならない。
「そのことが、どれほどあなたや子どもたちを傷つけ、私が何よりも大切な、家族と幸せを手放すことを忘れるほどに。」
「私は、セックスに溺れた 愚かな妻、母で・・・・・・・。」
嗚咽を抑えられずに、言葉を続けられなかった。
「お、俺は女としての君を愛せていなかったのか・・・・・。」
雄二も涙を流していた。
私は、首を振るしかなかった。
「君をもっと求めていれば・・セックスをしていれば・・・・。」
雄二はつぶやいていた・・・。
私たちは、自分たちに起きた事実を理解した。
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