第11回 溺惑

 翌日、パートに出勤した。いつもより念入りに化粧をした。下着も出掛けに選んで換えた。

「お疲れ様です。」

 小倉は、今までと何も変わらずさわやかに挨拶を交わす。あれは、一夜の過ちだったと思い込もうとしたとき、バックヤードですれ違う時、お尻を触られた。体に電気が走った感じがした。

 休憩室で2人きりになった一瞬に抱きしめられた。振りほどくこともできたのに、

できなかった。

「今日、パート終わりいいですか。近くのコンビニで。」

「え?」

 断れたのに、足がコンビニに向いてしまう。コンビニの建物の陰に副店長の車があった。ドアが開く、助手席に滑り込む。車は、そのまま郊外のラブホテルに。

 

 そこで、小倉とこの前以上の激しく下品なセックスをした。2回目の不貞は、罪悪感を薄めた。私は、肉欲に溺れた。


 玄関を開けると、美紀の靴があった。ドキんと心が跳ねた。

「おかえり、遅かったね。」

「ただいま、美紀早かったね。」

「何言ってるの、明日から期末テストでしょ。」

「ああ、そっか。」

忘れていた。美紀は訝しそうに私を見てる。

「ご、ご飯のしたくするね。」


 一瞬、慌てたが夕飯の支度をしながら、体と心は小倉とのさっきまで絡み合ってたセックスを思い出していた。


 

 

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