バズる?バズらない?そんなことより主人がバカすぎて、家電が家出したんだが。

しゃお

第1話 サンマと掃除機が恋に落ちたんだが。

ある日、我が家のリビングで事件は起きた。


夕飯に焼いたサンマが、なぜかテーブルからスルッと落ちたのだ。




そしてその瞬間、彼女と彼は出会った。




「……美味しそうな香りだわ」




掃除機・MC8000型(通称:ミチコ)。


我が家の自動掃除機であり、勝手にしゃべるし、勝手に動くAI搭載の厄介なヤツだ。




「な、なんだこの吸引力……! 吸い寄せられる……!」




サンマ(焼)・本日特売198円。


脂のノリが抜群で、焼かれながらも“自我”に目覚めていたらしい。




「お願い…吸わないで……僕、君に吸われたくないんだ……!」




「あなたの脂……最高よ。吸い込みたい。けど、それじゃ……終わっちゃうものね」




妙な空気が漂うリビング。


俺は箸を持ちながら硬直していた。




「ミチコ! ただの魚だぞ! 吸うなって! 夕飯が台無しだ!」




「これは恋よ、主人。私は今、掃除機としての生き方を捨てる覚悟がある」




「魚だよ!? 焼き魚だよ!?」




サンマも叫ぶ。




「僕は……僕は焼かれても、生きる意味を探してた! まさか最後にこんな出会いがあるなんて!」




「あなた、脂が…滲んでる…」




「君の排気フィルターが……輝いてるよ……」




ダメだ、こいつら完全に入ってる。


こっちはただの夕飯、向こうは運命の出会い。




「……ふたりで逃げよう。君を吸わない場所へ」




「でも私、電源コードが2メートルまでしか……!」




「延長コードがあるさ!」

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