第18話

ラクザンカ達は先に進んでいると探知魔法を掛けていたシュンランが何かを感じ取った。「ん...?気を付けな...何か来るぞ...!」

「え?」

シュンランの一言にラクザンカは驚くが、すぐにその反応は現れた。

『グオォォォォォォォ!!』

現れたのは全長3mはある狼。その巨体でラクザンカ達に突進してきた。

「うおっ!?」

ラクザンカは咄嗟に避けるが、その巨体に吹き飛ばされてしまう。

「ラックッ!!」

ユリは吹き飛ばされたラクザンカを心配する。しかし、ラクザンカはすぐに地面に上手く着地し、体勢を整え直した。

「大丈夫だッ!それより気を付けろッ!こいつ結構素早いぞッ!」

「皆さん、戦闘準備を!」

ミザァの言葉にユリ達は武器を構える。

「でもどうする?あのデカさにあの素早さ...マトモな攻撃じゃ大したダメージは与えられないかもよ?」

ネモネアは異質な魔物に対して今のままでは確かな勝ち目が無いことを理解していた。だが、敵はそんなことお構いなしに攻撃を仕掛けてくる。

『グオオォ!!』

ラクザンカは攻撃を避けながら反撃の機会を伺うが、反撃しきれない攻撃が続く。

「クソッ……!こいつの爪、切れ味が尋常じゃねぇ!地面や岩盤をバターのように抉りやがるッ!」

ラクザンカは攻撃を避けながら悪態をつく。

「ラクザンカさんッ!このままじゃ埒が空きませんッ!ここは私とシュンランさんの魔法で倒しますッ!」

「あぁ……ミザァの言う通りだッ!ラック、アンタは下がってなッ!」

ミザァとネモネアはラクザンカに下がるように促す。しかし、ラクザンカはそれを拒否して足を構えたまま前に出る。そして……

『グオオォ!!』

「うおぉぉッ!!」

ラクザンカは狼の爪攻撃を紙一重で避けると、その勢いで回転しながら飛び上がり、狼の顔目掛けて渾身の一撃を叩き込んだ。

「ぶっ飛べぇええッ!!」

『ギャウゥンッ!!』

狼はラクザンカの強烈な一撃により吹き飛ばされる。しかし、タフなのかすぐに起き上がりラクザンカ達を睨みつけた。

「チッ……タフだな……!おい!シュンラン!ミザァ!アタシらも魔法で一気に倒そう!」

ネモネアの提案にミザァとシュンランは頷くが、ユリは“待って!”と3人を止めた。よく見るとラクザンカはまた足を溜めて狼の方を睨んでいた。瞬間、ラクザンカは狼に向かって走り出し、狼の懐に潜り込み……

「ウォォォォオラァァァァアッ!!!」

『グオオオオオオォ!!』

2度目のより強烈な一撃を食らわせた。その攻撃は狼の身体をくの時に折れ曲がる程になって吹き飛ばされた。狼は上空にまで飛ばされ、ドシンッと落とされた。そして狼は二度と動かなかった。

「おぉッ!スゲェ!!」

ネモネアはラクザンカの一撃に興奮していた。ユリとミザァも驚いていたが、一番反応が大きかったのはシュンランだった。

「ラック.....お主、やれば出来るではないか.....」

「フゥ........フゥ.......フゥ......相手が獣なら単純な動きですぐに読める。それにこの先、これくらいやらねぇと勝てねぇ奴だっているからな....」

「ラックッ!凄く凄くカッコよかったよッ!」

「ぬぉっ!?いきなり背後から抱きつくんじゃねぇ!びっくりするだろうが!?」

背後から抱きついてきたユリに驚くラクザンカ。それを見てたネモネアとミザァは『仲がいいなぁ……』と言う目線で眺めていた。

そんな時だった。ポコッと1つの石ころがラクザンカの後頭部に当たった。

「……?何だこれ?」

ラクザンカは落ちてきた石ころに触れようとすると、またラクザンカの後頭部にポロポロと石ころが落ちてきた。その後、上から叫び声と一緒に人が落ちてきた。

「うわああぁあっ!?」

「ちょっ!?」

ラクザンカ達は驚愕するが、直ぐに冷静さを取り戻して何とかその人をキャッチ出来た。

「……く、…た……助かった……!」

「ら、ラクザンカさん!ユリさん!大丈夫ですか!?」

ネモネア達が急いで駆け付けると、ラクザンカ達はスーツらしき服装をしている白髪ロングで垂れたうさ耳のある赤い目をした少年を抱えていた。

「おいおい大丈夫か!?ラック!ユリ!それと....ウサギの子供...?」

「え....?あ、はい……僕は大丈夫です...」

少年は降ろして貰うと何とか立ち上がり、身体のあちこちを見た。その様子を見ると何とも無さそうだった。それを見て安心したのかネモネア達も少し気が楽になった。

しかしラクザンカだけは少年の頭に付いてるうさ耳を見る。自分のと同じ獣人だった事に少し驚いていた。そうしてる間、ミザァは少年に質問をしていた。

「私はミザァです。周りにいる人達は同じパーティーの仲間なので安心して下さい。それで、君の名前は?」

「あ、はい!僕は『ノキ』って言います!」

「そうか、ノキって言うのか。それで、お前、何で木の上何かに居たんだ?」

ネモネアがノキに続けて質問するとノキはうつむきながら少しずつ答えた。

「じ、実は...奴らのアジトから逃げて来たんですが....あの狼が追いかけてきて、何とか木の上に逃げてきたんですが狼がずっとあの場に居て...もうダメだと思ったら貴女方が狼を倒してくれたので、安心してたらつい気が緩んで...」

ノキは途中で言葉に詰まってしまい、“うぅぅ……”と蹲ってしまう。するとラクザンカがポンッと肩に手を置く。

「つまり、アタシらがいなかったら危うくあの狼に喰われる所だった……って訳か?」

「……はい」

ノキは更に縮こまってしまい、ユリはそんなノキの背中を優しく擦った。

「ま、まぁ無事だったんだし良かったよ!ね?ラック!」

ユリがフォローを入れると、ラクザンカもそれに同意するように頷いた。しかし、シュンランはノキが言っていたある言葉を聞き逃さなかった。

「ちょっと待てノキとやら。お主さっき“アジト”とか言っとたのぉ。もしやそのアジトってのはこの山で暴れておる“巨大生物”共のか?」

「……はい。僕はその“巨人”共が根城にしてる山から逃げてきたんです...」

「「「巨人!?」」」

ノキの言った“巨人”と言う単語にラクザンカ、ネモネア、ユリが同時に驚いた。

「な……何?その“きょじん?”ってのは?」

ラクザンカはミザァ達に質問すると、ミザァはラクザンカに巨人について説明していた。

「……成る程、つまりその巨大生物とやらの正体は巨人で、そいつらに捕まって飼われていたが、何とか逃げてきたと?」

「はい……でも、僕1人じゃ何も出来なくて……だからお願いします!どうかお姉ちゃんを....皆を助けて下さい!お願いします!」

ラクザンカはノキをチラッと見て何かを決めたかの様に口を開こうとする。だが、それより早くミザァが口を開く。

「任せて下さい!私達はその巨人討伐の依頼に来た者です!私達にそのアジトを教えてくれませんか?」

「え?」

「……なんじゃ随分、時期早々じゃのう?まだ巨人がどんな奴なのかも決まっておらぬのだぞ?」

ミザァの提案に戸惑うノキとシュンラン。しかし、ユリもネモネアも賛成だったようで、『うん!』と頷いていた。そしてラクザンカはと言うと……

「アタシは別にいいぜ、さっきの狼のようにぶっ飛ばすだけだからよ。」

ラクザンカはサラリと答えていつでも出発する準備が出来ていた。それを見たシュンランはやれやれと溜め息を吐いて、賛同してくれた。

「うむ……分かった。そういう依頼だからな。ワタシも協力しよう。だが、巨人は巨大な魔物よりも厄介だ。何せ普通の人間が只でかくなった訳じゃないから。中には強力な個体だっておるかもしれまぬ。そうなったらお主にはかなり荷が重いぞ?」

シュンランの言葉にノキは少し考えた後、口を開いた。

「……確かにそれは分かりますが、僕は早くお姉ちゃんや皆を助けたいんです!だから……!」

「はい!任せて下さい!私達が必ず、皆を助けて見せます!」

ミザァが自信満々に宣言すると、ノキも覚悟を決めた。

「それでは皆さん!これより改めて、巨人討伐、及び拐われた人達の救出を開始します!」

「「おぉッ!!!」」

ミザァの宣言にラクザンカとネモネアは拳を突き上げ、ユリとノキとシュンランもそれに合わせて拳を振り上げた。

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