第16話
【廃れた古城で神隠し多発、原因を調査し、解決せよ。報酬は一人金貨5枚】
この依頼を終えたアタシ達はギルドに報告をした。原因は古城に潜んで居た盗賊に襲われ、その内の一人に触れた人を灰にさせる奴が証拠隠滅をしていたのだ。その事を唯一の生存者であるアマリネが証人となって事の顛末を話した。一方で再起不能になったシャウとエッセンは騎士団に刑務所に連れていかれた。ラクザンカ達はそんなギルドで任務完了の書類や周りの人達から感謝の言葉を浴びる程聞いて、ヘトヘトになってボロ宿に帰った。
「ふあ~、疲れたのぉ...机に向かってカリカリカリカリするのだけは何年経っても好きになれん。」
「あ~、あたいはまだ興奮して眠れないぜ!極悪盗賊を圧倒するなんてな!くぅ~!あたいも参戦したかったぜッ!」
「でも、私がもっと強かったシュンランさんやラックにあんな怪我させなかったのに。」
「いや、ユリは十分強いぞ。只、相手が悪すぎた。それにアタシも油断していたからな。」
「でも~、やっぱり悔しいよ!」
ラクザンカ達はそんな会話をしながら狭っ苦しい部屋の空いてるテーブルで夕食を食べていた。するとそこにドアを叩かずに入って来た一人の老婆が現れた。
「あら?あんた達、やっと帰ってきたのかい?」
「ん?誰だアンタ?」
「あっ!管理人さん!只今、戻りました!」
ミザァが頭を下げて挨拶をしているのは、この宿のロータスさんであった。御歳80歳であるが、雰囲気や容姿はとても20歳若く見えた。
「あんた達がラクザンカとユリかい?住居人が増えるのは良いことだが、あんま騒ぎを起こすんじゃないよ?」
ロータスはラクザンカ達の前の椅子に座った。そして、ミザァがお茶を淹れてロータスに差し出した。すると彼女はお茶の匂いを嗅いでから一口飲んだ後、話を始めた。
「それで?ネモネア、また依頼をこなしたのかい?もう何回目かの報酬を貰ってきたんだろう?」
「あ~……えっと、今回で4回目になりますね。」
「そうかいそうかい。良かったじゃないか!まぁ、そのお陰で金貨は余裕な程あるのだからな。また貰えるとしたら何日後になりそうだねぇ?クフフ!」
ネモネアとロータスの会話を聞いているラクザンカ達は呆れた様子だが、確かに幾らあっても足りないくらい持っていたら勿体無い気もするので黙って聞いてた。そしてミザァが書類をロータスに見せると彼女は鋭い眼でそれを見ていた。
「……ほうほう、中々の高額の依頼受けてきたねぇ。なら、滞納してた家賃もはらえるのねぇ?勿論、2~3ヶ月前分の滞納分も払えるよねぇ?」
「へっ?家賃?」
「た、滞納してたんですか...?」
ラクザンカとユリは驚きの表情をロータスに向けると、彼女は悪魔のような笑みを浮かべた。
「二人共気付いていなかったのかい?……ねぇ?ネモネア。」
「……はい。」
シュンランがロータスの言葉に頷くとラクザンカ達は土下座をする勢いで手を合わせた。
「た、頼む!今すぐ払わせてくれッ!追い出すのだけは勘弁してくれんかッ!」
「ほ、本当に申し訳ありませんでしたッ!!」
それを見たミザァもシュンランも慌てて手を合わせて謝罪した。
「ならさっさと家賃払いな小娘共ッ!!」
ロータスはそう怒鳴って立ち上がり、ネモネア達から金貨の入った袋を貰った後、部屋を出て行った。そしてネモネア達は安堵の溜め息を吐きつつ、座った。
「はぁ~……良かったぁ……追い出されたらどうしようかと……」
「全く、ここに何年か住んでるが、あの婆さんにはおっかないのぉ。とても年下とは思えんわい。」
「あたいは面白かったぜッ!ははっ!」
「笑い事じゃありませんよッ!!元はと言えば貴女が打ち上げと申して食費を大幅に出したり、揉め事起こして慰謝料払わなきゃいけない事になってたんですよッ!!少しは自重して下さいッ!!」
ミザァはネモネアに対して怒鳴り散らしていた。そんな彼女を見た二人は苦笑いをしていた。
「しかし……まさか家賃滞納していたなんてなぁ……よく今まで追い出されなかったもんだ」
「アハハ....そうだね...」
ラクザンカとユリはボソッと呟いた。するとまた扉を叩かずにロータスが入ってきた。
「ちょっといいかい?あんた達?」
「うげぇッ!?お、管理人さんッ!?金払っただろッ!!」
ネモネアがそう答えると、ロータスは睨み付けて怒鳴りだした。
「何がゲッだいッ!ゲテモノ見たような反応しやがってッ!」
「すすすすみませんッ!ネモネアさんには厳しく言っておくのでッ...!」
「そ、それで管理人さん、まだ何か...?」
「あぁ、そうそう。あんたらに会いたいって娘が来てるよ。なんか古城の事でお礼したいって...」
それを聞いてラクザンカ達は一斉に部屋を出て、宿の出入口に行った。そこにはアマリネがモジモジしながら待っていた。
「あっ!やっと来たッ!」
「おぉ、アマリネか?元気にしとったかい?」
ラクザンカがアマリネに話し掛けると彼女は手をブンブン振った。
「はい!お陰様で元気です!だってシュンランさんが敵をとってくれたお陰ですから!」
アマリネはシュンランの方を見ながら言っていたが、シュンランはそれが空元気なのだと瞬時に察した。
「.....なぁアマリネ、あまり無茶はするんじゃないぞ?何かあったらワタシらの事を頼ってええからの....まぁ、何で出来る訳ではないがなぁ.....」
それを聞いたアマリネは笑顔と涙声が入り交じった表情で、シュンランに抱きついた。
「あっ、ありがとうございますッ!私……貴女達が来てくれて本当に良かったです……!」
こうしてアタシ達はアマリネと別れ、ネモネアがお疲れ様会としてギルド近くの食堂で夜を過ごした。そしてラクザンカ達の全財産は金貨一枚となってしまった。
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