第25話:バトルロイヤル終了!

賞について:

バトルロイヤルでは優勝以外に3つの賞があり、それぞれ1人ずつ受賞者が選ばれる。


・スペック賞

異能力の強さ、武器も含めた参加者本人の強さ、戦略性、戦闘スタイルなどを考慮に入れて、バトルロイヤルを戦い抜く総合的な能力が最も高いと思われる参加者に贈られる。


・タイマン賞

シンプルな1対1の対決を想定した場合に最も強いと思われる参加者に贈られる。


・リバース賞

事前予想を覆して好成績を収めた参加者に贈られる。


――――――――――――――――――――


 バトルロイヤルが終わり、表彰式が始まろうとしていた。ステージ上には運営によって蘇生された参加者たちが揃っている。

 重影、霊泉、闇沢の3人は第四大陸からの参加者のため控え室が同じであり、会話しながらステージまで一緒に来ていた。


「いいな〜闇沢ちゃん」

「今回は優勝が賞金100万円で3賞がそれぞれ30万円だっけ」

「……なんか緊張してきました」


「最終決戦の前に殺しておくべきだったな」


 すぐ近くに冬海 凍次も来ていた。


「闇沢、優勝おめでとう」

「ありがとうございます」

「……」

「どうかしたか?」


 冬海は重影に尋ねる。


「想像してたより機嫌良さそうだなって思って。今までずっと優勝し続けてるって聞いてたからさ」

「連勝の記録が途切れたって? そんなの気にしてねぇよ。むしろ今回が一番良い経験になったよ」


 冬海は大モニターに映し出された最終戦績を見る。


「本当、最初から最後までこんなに苦戦したデスゲームは初めてだよ。……あ、でもキル数1位は取れてるな」


(今気付いたのかよ)


「ていうか、」


 冬海は続ける。


「生存1〜3位が3人とも第四大陸組か。驚いたな」

「それは俺も思った。はるばる来た甲斐があったよ」

「私は凍次さんと組んだおかげですけどね」








 4人が会話していると、ついに表彰式が始まった。歓声と拍手がステージ上に集まっている参加者たちを包む。


「今回のバトルロイヤルを制したのは、闇沢 千里選手です! 並み居る強敵たちを押し退け、見事に勝利を掴みました! 皆さま、大きな拍手をお願いします!」


 闇沢は優勝トロフィーを受け取ると観客たちに向かって掲げ、観客からは大きな拍手が起こる。


「さて、3賞は誰になるかな」

「ん〜特にリバース賞が読めないよね。闇沢ちゃんで間違い無いと思ってたけど優勝しちゃったから」


 基本的に3級以下のバトルロイヤルではスペック賞等は優勝者以外から選ばれることになっている。


「ざっくりした戦績しか見てないけど、八刀島とか取りそうだよな。上位の参加者相手に2連勝してるし」

「いや、俺は佐呂間 雪かな」


 八刀島 凛がリバース賞と予想する重影に対して、冬海は別の参加者の名前を挙げる。


「集落に雪降らせてた女の子?」

「そう。お前らと会ったとき、俺の頭に大きな傷があったろ。あれは佐呂間にやられた傷だ」

「まじ? 天候系の異能力者だしひ弱なイメージだったんだけど」

「しかも初の負傷だったからな。糸瀬や暴川と戦ったときですら無傷だったのに」




「続いて各賞の発表です。まずはスペック賞。異能力の強さ、武器の扱い、戦略性などを考慮に入れ、バトルロイヤルを戦い抜く総合的な能力が最も高いと思われる参加者に贈られます」


 ドラムロールが鳴り響き、会場に緊張が走る。


「スペック賞は、高い潜伏能力と索敵能力、そして何より圧倒的な物量が高評価でした」






「東条 時雨選手です」


 東条は前に出るとトロフィーを受け取る。


(やっぱりスペック賞は東条か。俺たちが偶然近くにいなかったらあのまま優勝していただろうしな)


「続いてタイマン賞の発表です。タイマン賞は、他の優勝候補たちと激闘を繰り広げ、会場を大いに沸かせてくれました」






「重影 翔選手です」


(俺か。まあ今日はやたら強敵と当たってたからな)


 重影はトロフィーを受け取り、指定の位置につく。隣にいた東条が話し掛けてきた。


「おめでとう、重影くん」

「ありがとう」


(これで30万円ゲットか。デスゲームでこんな大金もらうの初めてだな。大切に使おう)


「最後にリバース賞の発表です。リバース賞は、格上を連続で相手取るなど、天候系能力者のイメージを覆す戦いぶりが見事でした」






「霧峰 柏太選手です」

「フォォォォォォオ!!」


(あいつマジでダル過ぎだろ)


「ふふっ、顔に出てるよ。重影くん」


 重影の隣にいた東条が笑う。


「あれで後半まで生き残ったのがそもそも予想外ですよ」

「いやいや、戦闘できる人と共闘されたら厄介だよ」


 ゴーレムの視界を通して霧峰たちの戦いを見ていた東条は彼の強さを冷静に分析する。


「霧で敵の視界を奪えるのは大きいからね。支援役として私のクランに欲しいくらいだよ」

「東条さん、クランに入ってるんですか?」

「正確にはこれから入る感じだね。知り合いのクランからお誘いを受けてて、今日は腕試しに参加していたんだよ」


 実況者が締めくくる。


「これで今回のバトルロイヤルは終了です。全ての参加者、観客の皆様に感謝を! そして、激闘を繰り広げた参加者の皆さんに大きな拍手をお願いします!」


 観客席から再び拍手が湧き上がる。参加者たちは控え室に転送され、バトルロイヤルは幕を閉じた。

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