異世界歯科、恋も診察中!~「あの口、診ていいですか?」
べすこ
第1話 「異世界に来たら、俺は歯医者だった件について」
目を覚ましたとき、俺は天井を見上げていた。
青空じゃない。木造の梁がむき出しの、どこか中世っぽい天井だ。
……うん、完全に異世界だな、これ。
「なんで歯科医の俺が、召喚されてんの?」
つい独り言が漏れる。もちろん誰も答えてくれない。
俺の名前は内藤 千景(ないとう・ちかげ)。
28歳、開業医じゃなく、ふつうに街中の歯医者で働いていた。
帰宅中、駅前の歩道で謎の光に包まれ、目が覚めたらこのザマだ。
「勇者様、どうかこの世界を――」
みたいな展開を覚悟してたが、目の前にいたのは――
「お口、見ていただけますか、先生……!」
金髪のエルフ美少女(しかも泣きそう)だった。
「え、えぇと……はい?」
まごつく俺に、少女は耳をぴこぴこ動かしながら唇を震わせた。
「わ、わたくし……ずっと前歯が尖ってて、うまく笑えないんです。
でも先生なら……この世界に、召喚された“伝説の歯科医”様なら、きっと……!」
召喚理由そこかよ!?!?!?!?
俺の背後には、いつの間にか歯科ユニットが召喚されていた。
※ちなみに椅子もライトも吸引も揃ってた。完璧すぎて怖い。
「……わかりました。とりあえず、口を開けてみてください」
こうして俺は、異世界初の診察をすることになった。
目の前のエルフ娘、ルアナちゃんは頬を染めながら口を開いた。
「――あーん」
(なんだこの乙女ボイス)
口腔内をのぞいた瞬間、俺は言葉を失った。
緑色の八重歯が生えてた。
※エルフは葉緑素が多いので、歯も若干グリーンがかってるらしい。
「……萌えすぎてヤバいな」
「あ、あの!? なにか……異常でしょうかっ」
「いや……問題はないです。ちょっと、可愛すぎるだけで」
「えっ」
その瞬間、診察椅子に寝かされたルアナちゃんは、
真っ赤になってフラフラと立ち上がり――
バコッ!
頭をライトにぶつけて倒れた。
「な、なんか……先生に“口を見られる”って、すごく恥ずかしいですぅぅ……!」
ああ、そうだな。たしかにそうだ。
恋は、口を開けたその瞬間から始まるのかもしれない。
――こうして、俺の異世界歯科医ライフは始まったのだった。
次の患者は、オーガのお姫様で口臭が悩みらしい。
口臭ケアで世界を救う時が来たか……!
🪥To be continued...🪥
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