第8話  人生は自分で決めるもの!


 壇上に引っ張られる中、多くの人達の目線が突き刺さる。


 キリッとした目で、青髪のポニーテールをした目元に龍の刺青が掘ってある女性。

 俺と同じ年齢の子供を二人引き連れた緑髪の女性。

 その他大勢。

 そしてこの中に男はいなかった。


「さっきは雑な態度をとってしまったが、太陽に批は無いぞ、だがその目は良くないな」


 母と二人で壇上に立つが母を一切見ていない、コイツは...ダメだ。


「金剛様なぜ太陽をここに上がらしたのですか?」


 母も鋭い眼光を飛ばした。


「なに、太陽と話したかっただけだ、大した理由はない」


 目を俺から話さず淡々と言葉を返してきた。

 

「それはそうと太陽よ、お主いい目をしている、それに【男性値】が濃い、話には聞いていたがこれほどまでとは思わなかった、百聞は一見にしかずとはよく言ったものだ」


 顔がどんどんと近くに寄ってくる。

 それに【男性値】とはなんだ?


 俺と金剛の間に手を入れて金剛を睨みつける母。


「よし、やはりお主を私の婿にしよう」


 !?


 ざわざわと周りから声が飛び交う。


「ちょっと話が違うじゃないですか!」


 今までで聞いたことの無い母親の声が部屋中に響く。


「あぁだから今変えた、この者は私に相応しい」


「くっ」


 母親は押し黙ってしまった、分が悪いのだろうか。


「どうだ太陽、お主も良いな?」


 正直、いい話な気がする。

 お金持ち達を束ねる金剛家、金剛の顔も身体も文句のつけようがない、強いて言えば年齢ぐらいだ。だが。

 

 こいつは悪知恵が働きそうだ。

 普通の6歳なら結婚の単語は知っていても、どういうものかは知らないはず。

 小さい頃に話をつけて証拠として立ち会った傘下を証人とする。

 そこはでして夫が欲しいのか?行き遅れか?

 結論から言えば性格が悪い。

 こんな女と一緒にはいたくない、どうせ俺のこと道具としか見てないだろうからな、だから。


「嫌です!」


 ざわざわ...。


「ほう」


 またしても周りがざわつく。

 そして片眉をピクピクとしながら苦笑いをする金剛。


「!どうやら太陽は嫌がっているみたいですね、私は太陽がいいと言うなら何も言わないつもりでしたが、本人の気持ちを大事にしたいので」


 母はとってもニコニコとしていた。


「あ、あぁ、一つ理由を聞いてもいいか?」


 どうしようか、優しい嘘をつくか正直に話すか。ここは前者だ。


「僕はあなたが嫌いです」

 

 おっとまずい本音が。


「クックッ、ハッハッハッハッ」


 あっ壊れたか?


「面白い、実にな!尚更諦められなくなった!」


 いや、なんでだよ。


「ジャンケンをしよう」


 は?ジャンケン?


「金剛様!何を考えているのですか!」


 全くもって母の言う通り、タチの悪い冗談、最初はそう思ったが、周りの反応からして何か違いそうだ。

 ため息を吐く者、真剣に見つめる者。


「お主が勝てば、お主を婿にするのは諦めよう、だが妾が勝てば今すぐ、婿入りしにこい」


 人生を左右するジャンケン、条件は不利、ここは家柄の差だけど。


「分かりました」


「太陽?!」


「大丈夫だよお母様」


 完全に五分のジャンケンでの勝負、普通はそうだが。


「ではいくぞ、ジャン!ケン!」


「「ポン!」」


 結果、金剛はチョキ。俺はグーを出した。


「なに?!」


 金剛、これだけの地位を持っているんだ、神様の状況が分からないいじょう、断言はできないが【幸】の値が多いのではないか、そう思った、だからこのジャンケンは今までの金剛にとっては茶番、我儘を確実に通すためのものだったに違いない、しかし相手が悪かったな俺も同じく幸運者だ。確率は通常の五分のジャンケンに過ぎない。(普通に負けたら危なかった)


「お前は、一体!」


 

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