第11章「告発の夜」
“裏切者を見つけろ”──その言葉が、仲間たちの心に不信の影を落としていた。
神崎柚葉は冷静に言った。
「まず全員の行動記録を照合しましょう。感情で動けば、真実を見誤る」
天城悠人は歯を食いしばった。
「……俺たち、信じ合ってここまで来たはずなのに」
そんな中、榊翼の目に一つの違和感が映る。
七海紗良の言動──襲撃時、なぜ彼女だけ刺客の動きを正確に予測していたのか。
翼は静かに彼女を呼び出す。
「紗良……お前、何を隠してる?」
彼女は目を伏せ、こう答えた。
「ごめん。私、彼らの“連絡役”だった。でも……私は、あなたを裏切ってない」
「連絡役?」
「ゲームが始まる前、家族を人質に取られて、強制的に情報を送らされてたの……。
でも、途中から本当に皆と一緒に生きたいって思った」
翼は黙って彼女の目を見た。
そこに、偽りの光はなかった。
だが、ゲームは冷酷だ。
「証拠が提出された。“裏切者:七海紗良”──処分まで残り12時間」
神のごとき宣告が、空気を切り裂いた。
仲間たちは揺れ動く。
誰もが彼女を信じたかった。
だが、証拠は揃っていた。動かせない事実として。
翼は決断を迫られていた。
仲間を“犠牲”にするか、あるいは──システムに背くか。
彼の手の中に残された、ただひとつの希望。
それは、まだ誰にも見せていない**自らの“特殊能力”**だった。
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