No.4 『ファッションセンステスト』?何それ?
------駅の改札の音、人々の歩く音と話す声。
------スニーカーで走ってくる音。
「おっはよう!
ごめん待った?
昨日は楽しかったね。
君があの後色々作ってくれたからさ。
サラダも食べてて嫌にならなかったし。
健康面も安全だし!
君って料理上手なんだね!
意外だったよ。
それで今日はどうしたの?
『休日の過ごし方テスト』?
……『ファッションセンステスト』?
なんかよくわからない……。
まあとりあえず行こっか」
「で、何すんの?
『軍資金あげるから軍資金範囲内でお洋服買ってみて。王子様のイメージに近いかどうかをテストする』
だって?
なんか説明されてもよくわからないんだけど……」
------駅アナウンス。
------ドアオーペンの音。
「うっわ、通勤ラッシュじゃん……最悪。
『転ばないように気をつけて』?
わ、分かってるよ。
もう♡」
------ドアクローズの音。
------ガタンと電車が揺れる音
「うわぁっ!
あ、ありがとう……え?
守ってくれてるの?
優しい……好き(ボソッ)え?
『なんか言ったか』って?
そそそ、そんなわけないじゃん!
み、耳壊れたんでしゅか〜?
……(電車が揺れる音)きゃっ、え?
君……!
その体勢は!
いぃろいろと勘違いされちゃうよ?
かかっ壁ドンっていうか……どきどきしちゃうよ……!
『告白かよ』ですって?
そんなわけないじゃぁん♡
ほらもう着くよ、ダーリン♡」
------ドアオーペェェェンの音。
------スニーカーの音が二つ。
「……さっきのダーリンは違うからね!?
その、王子様言葉に慣れようとしてて……
あはは……。はいはい早く歩く!
スピード大事!
スピード重視!」
------改札の音。
「えぇっと、ショッピングモールまでは……あと少し。
ふふっ!
君にこの前のエスコートテストの成果っ!
見せてあげるよ!
くらえ、『腕にギュー』!
そしてぇ……『耳に囁く』……
(吐息がかかるほどにまで接近)
ねえダーリン♡
僕って本当に王子様なのかなぁ?
王子様だよね?
ああどうしよう。
王子様なのに君にドキドキしてばっかりでまともに振る舞えないよぉ♡
責任はとってもらうからね♡
『やっぱ告白してるよね』?
ばぁか♡
んなわけないでしょ。
頭沸いちゃった?
んふふふ……♡
っといけない。
今はショッピングを楽しまなくちゃね」
「とうちゃぁーく!
はい着いたよ!
おっ、なんかそれっぽいがま口財布!
おっけいこれで行ってきまぁす!
ほら付いてきて!」
------スニーカーで早歩きしている音。そこまで急ぐことないよね、と内心苦笑する。
「はいこれ、オーバーサイズの裾を結んでいるタイプのTシャツと、カーディガン、そしてラインがはっきり出る黒いジーパンだ!
すごいよ。
自分の才能を疑ってしまう。
ということで着替えてきます!」
------カーテンが閉まる音。
「……
(服脱ぐ時の布が擦れる音が断続的に)
のぞかないでね?
あぁでも……。
他の人がいないなら別にちょっとなら……。
のぞいても良いよ♡
え、遠慮しておく?
じゃあ良いや。
ちぇっ。
えっちな展開かと思ったのに……。
『そういうのは彼氏とやれ』?
……うん分かった♡
じゃあそうするね♡
というか着替え終わったけど見る?
…分かった。
ということでオーペェェェン!」
------カーテンが開く音。
「どお?
似合う?
かわい?
かっこい?
『似合うよ』で終わりなの?
なんか僕にいうことない?
……『かっこかわいい』?
うぇへへへへへへ♡
うれしいなぁ♡
ダーリン♡
あぁ♡
なんかもう落ち着かないよぉ♡
もう君は僕だけのもの♡
大事にするから♡
『やっぱり告白してるよね』?
うっそぉ。
そう思うの?
まぁとりあえずもうちょっと待てみなよぉ♡
というかこれは合格?
『合格』って……。
これは基本中の基本なんだよね。
まさか君ファッションには疎い?
まあいっか。
それよりもっと遊びたいな!
別のところ行こ!
あ、この服お会計行ってそのまま着てくるからよろしく!
(耳に超接近して)
ちょっと待っててねダーリン♡」
>>>>>次回に続く
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